設計士(意匠デザイナー) の仕事
岡田 朋子さん (株式会社竹中工務店)
設計士の中でも「意匠デザイナー」は,建物の全体的なデザインや内側,外側をどう見せていくかを担当します。建物を建てたいという人や会社に対し,用途や規模に対する要望を聞きながら,建物の内外をデザインしていきます。建物の丈夫さや,地震に耐えうるかどうかという建物のいわば“骨格”を決める「構造デザイナー」,内部の空調・電気・水道の計画をする「設備デザイナー」と一緒に,法律に即しているかも確認しながら建物を設計していきます。
まずは,敷地の中にどういう建物を建てるかを,発注者と相談しながら決めていきます。どういった目的の建物で,希望する使い方を実現するには,何階建てでどのくらいの大きさにするのか。どんなデザインで,どんな雰囲気の建物にしていくか。建物のイメージを具体的にするため,完成予想図のスケッチを描いたり,3Dプリンターなどを使って模型を作ることもあります。実際に設計を始める前に,「どんなものを建てたいか」というイメージを発注者ときちんと共有しておくことが大切です。
建物の計画から完成までには,長い時間がかかります。例えば完成まで3年かかる建物だったら,計画と設計に約1年半,工事に約1年半。設計の仕事は,工事が始まって,実際に建物が建ち始めたときがいちばん忙しくなります。設計士が描いた図面をもとに,何十人もの職人さんがいっせいに作業をするので,さまざまな疑問点が山のように出てきます。誤解がないようそれを説明したり,時には図面を修正したりもします。細部の仕上げは全体の印象に大きく影響するので,大変ですがとても大切な仕事です。