橋梁技術者 の仕事
髙岡 怜さん (三井住友建設株式会社)
建設分野において,“会社の強みとなる新しい技術”を生み出す仕事をしています。2つのプロジェクトに関わっており,1つは「斜張橋の研究」で,コンクリート橋梁の可能性を追求するというプロジェクトです。斜張橋は,塔から橋げたまで斜めに張ったケーブルで橋げたを支えるという構造の橋です。現在,世の中にあるコンクリートでつくられた斜張橋の中で,最長約500mである塔と塔の間の間隔「支間長」を800mまで伸ばした場合の課題を見つけ出し,その課題を解決していくことで,世界最大のコンクリート橋を実現する方法を研究しています。
私が関わるプロジェクトのもう1つは,3 Dレーザースキャナーと専用のソフトを使い,橋梁などの大きな構造物を立体的に計測するシステムの開発です。ICT技術を使い,生産性を向上させるのが目的です。橋梁など,大きなものをつくる建設の現場では,完成した部分が設計図通りの形にできているのか,建設する節目ごとに,計測して検査する作業が必要です。現在は人の手で計測をしていますが,この開発しているシステムを使って自動化することで,計測に必要な人手も時間も少なくて済み,工期の短縮にも役立ちます。
新しい技術を生み出すにあたっては,常に新しい知識を身につける必要があり,毎日,勉強しなければいけないことがたくさんあります。疑問や問題点に突き当たることもありますが,勉強を重ねて疑問点が1つずつクリアになった瞬間は,とても大きな達成感を感じます。また,「世界一」や「日本一」というものはいつか塗り替えられてしまいますが,「世界初」「日本初」など“初めて”の記録は,絶対に塗り替えられることはありません。自分は“初めて”のものをつくり出している,このことが日々の原動力になっています。