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- 福井県に関連のある仕事人
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1979年 生まれ
出身地 福井県
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仕事内容
越前打刃物の工房を経営しながら,打刃物職人として包丁やナイフを作る。
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自己紹介
すごく負けず嫌いで頑固。仕事に関しても,この日はここまでやると決めたら何が何でもやり遂げます。休日に,妻と3人の子どもと一緒に県外へ旅行に行くのが一番の楽しみです。
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出身高校
- 【このページに書いてある内容は取材日(2017年06月09日)時点のものです】
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えちぜんうちはものしょくにん越前打刃物職人
黒﨑 優 -
仕事内容
越前打刃物の工房を経営しながら,打刃物職人として包丁やナイフを作る。
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自己紹介
すごく負けず嫌いで頑固。仕事に関しても,この日はここまでやると決めたら何が何でもやり遂げます。休日に,妻と3人の子どもと一緒に県外へ旅行に行くのが一番の楽しみです。
「越前打刃物」の技術で包丁を作る
私は,打刃物職人として,刃物を作る仕事をしています。私の工房は福井県越前市にあるのですが,この地域には「越前打刃物」という約700年の歴史を持つ刃物づくりの技術が伝わっていて,多くの工房があり,職人も数多くいます。私は10年以上,親方の下で修業をしていましたが,3年前に独立し,2年前には自分の工房を建てました。
私が作っているのは,料理用の包丁が8割,アウトドア用のハンティングナイフが2割です。多くの家庭の台所で使われている料理包丁は,ほとんどが,大きな工場で機械によって大量に作られているものです。しかし「越前打刃物」の包丁は,多くが手作業で作られています。私も一本一本手作業で作っていて,すべてに「黒﨑優」の名前を刻んであります。私にしかできない技術やデザインが人気を呼んで,今では1本数万円で販売されるようになりました。
私の包丁を使ってくれているのは,日本料理の料理人やフランス料理のシェフなどさまざまで,国内だけでなくアメリカ,ヨーロッパ,アジアなど,世界中から注文があります。食材を切る際の切れ味の鋭さはもちろんですが,刃の表面のツヤや輝きを,まるで芸術品のように大事にしてくれる人もいます。 -
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えちぜんうちはものしょくにん越前打刃物職人
黒﨑 優 -
仕事内容
越前打刃物の工房を経営しながら,打刃物職人として包丁やナイフを作る。
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自己紹介
すごく負けず嫌いで頑固。仕事に関しても,この日はここまでやると決めたら何が何でもやり遂げます。休日に,妻と3人の子どもと一緒に県外へ旅行に行くのが一番の楽しみです。
金属を繰り返し叩いて鍛え上げる
一般的な洋包丁は,鋼などの金属を機械によって包丁の形に型抜きした後に,鋭く研いで作ります。それに比べ日本の打刃物の特長は,古来の「火造り」の技術で作ることです。これは鋼や鉄などの金属を,約800度という高温の炉で熱して叩く作業を繰り返すことによって,強く丈夫に鍛え上げる技です。
鋼や鉄など包丁を作るための材料となる金属は,普段は非常に硬いものですが,高温で熱すると少しだけ柔らかくなって加工しやすくなります。刃物が完成するまでの工程としては,まず炉で石炭を燃やして,包丁のもととなる金属を真っ赤に熱し,取り出してハンマーでカーン,カーンと強く叩きます。機械を使って叩く工程もあります。これを何度も繰り返します。繰り返し叩くことで金属の組織が均一になり,刃こぼれしない強い刃になっていくんです。
多くの包丁は柔らかく衝撃に強い鉄を地金にし,刃の部分には鋼を張り合わせて作ります。鋼だけで作る包丁もあります。張り合わせる場合は,地金と鋼をくっつけて叩くことで一体化させたり,伸ばしたりして形を整えていきます。それらの工程のところどころで,加熱した金属を自然に冷ます「なまし」や,素早く水につけて急冷させる「焼き入れ」という作業を織り交ぜることで,刃がよりしなやかで丈夫になるのです。そうやって鍛え上げた金属を包丁の形に切り出し,回転するヤスリの機械で丁寧に研ぎ,さらに磨くことで,包丁の表面の美しいツヤと抜群の切れ味が生まれます。 -
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えちぜんうちはものしょくにん越前打刃物職人
黒﨑 優 -
仕事内容
越前打刃物の工房を経営しながら,打刃物職人として包丁やナイフを作る。
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自己紹介
すごく負けず嫌いで頑固。仕事に関しても,この日はここまでやると決めたら何が何でもやり遂げます。休日に,妻と3人の子どもと一緒に県外へ旅行に行くのが一番の楽しみです。
包丁を楽しみに待ってくれている人がいる
私はだいたい朝8時から仕事を始めて,ひたすら鋼を叩いて鍛え続けます。研いだり磨いたりして仕上げる工程はほかの従業員に任せています。一本の包丁が出来上がるまでには,かなりの体力と気力が必要なので,調子がいい時でも一日に10~15本を仕上げるのが精いっぱい。だから,一か月に250本,年間3000本ほどの生産量です。
鋼を叩く作業をしているときは,全神経を集中させているので無心です。しかし一本一本,絶対に手は抜きません。目の前の包丁を使う人の気持ち,料理する人の気持ちを絶対に忘れないようにしています。私にとっては何千本の中の1本でも,使う人にとっては,その1本がすべて。そう思うと手は抜けませんよね。
実は今の段階で,すでに何千本も注文が入っていて,新しく注文をいただいても,出来上がるまでに半年以上待ってもらう状態です。私の包丁を楽しみに待ってくれている人がいるのは,本当に大きな励みになります。もし私がけがや病気でもしたら,代わりに作る人間はいないので,注文してくれている人に大きな迷惑をかけてしまいます。だから,日常生活の中でも病気やケガをしないよう,つねに体調管理に気をつけるようにしています。 -
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えちぜんうちはものしょくにん越前打刃物職人
黒﨑 優 -
仕事内容
越前打刃物の工房を経営しながら,打刃物職人として包丁やナイフを作る。
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自己紹介
すごく負けず嫌いで頑固。仕事に関しても,この日はここまでやると決めたら何が何でもやり遂げます。休日に,妻と3人の子どもと一緒に県外へ旅行に行くのが一番の楽しみです。
自分の工夫一つが結果に出る
ものづくりでは,自分の工夫一つが,すべて結果に跳ね返ってきます。例えば,包丁のデザインにも流行や定番というものがあって,金属を重ねて包丁の側面に波のような模様を出す「ダマスカス模様」というのが人気です。しかし私は独立したてのころ,あえて人気の模様ではなく,ランダムな手打ち感のある「槌目」の模様を包丁の側面に施しました。誰もやらない方向を狙ってみたんです。そうしたら,その模様を気に入ってくれる人が多くて,海外でも「クール」だと評価されました。そうして,槌目の包丁は私の看板商品のようになりました。こういう部分は,ものづくりの醍醐味ですね。
私の工房は,福井の中でも田舎の方にあって駅からも遠いのですが,全国各地からわざわざ工房を訪ねてきてくれる人も多いです。中には大企業の社長さんや,国内でも有名な料理人もいます。遠く離れた東北地方から,一人で電車を乗り継いで工房を見に来てくれた高校生もいました。私自身も時折,全国各地や海外に出張して,現地のお店を訪ねたり,イベントで包丁を研ぐ実演などもしています。みなさん驚くほど熱烈に歓迎してくれます。「あなたの包丁の大ファンです」と,海外の一流のシェフたちが言ってくれて,料理をごちそうしてくれたりもします。そうやって,日本中や世界中に,私の名前の入った包丁を使ってくれる人が増えるのは,本当にうれしいですね。 -
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えちぜんうちはものしょくにん越前打刃物職人
黒﨑 優 -
仕事内容
越前打刃物の工房を経営しながら,打刃物職人として包丁やナイフを作る。
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自己紹介
すごく負けず嫌いで頑固。仕事に関しても,この日はここまでやると決めたら何が何でもやり遂げます。休日に,妻と3人の子どもと一緒に県外へ旅行に行くのが一番の楽しみです。
越前打刃物を盛り上げたい
今,日本中のものづくりや伝統工芸の現場はけっこう大変なんです。工場で大量に作った安い製品があるから,一生懸命に手作りした品物がなかなか売れません。また若い人が後を継いでくれずに職人がお年寄りばかりになってしまって,技術が廃れてしまうことを心配する声も多いです。越前打刃物の工房でも,よくそういう悩みを聞きます。
だから私が頑張って「ものづくりや伝統工芸ってかっこいい」というところを見せたいと思っているんです。最近では,いろんな雑誌や,テレビなどのメディアに取り上げてもらうことが増えました。メディアを通して私の姿を見た人が,越前打刃物に興味を持ってくれるとうれしいです。いいものを一生懸命に作れば,福井のような地方からでも,日本や世界を相手に大きく活躍することができる。ものづくりは,すごい可能性を秘めている仕事なんです。
現在,私の工房には福島県出身の弟子がおり,来年春にはもう一人,神奈川県 出身の若い人を雇う予定です。二人とも,私の下で働きたいとやってきました。私は弟子には,自分の知っていることすべてを教えようと思っています。私も,親方や先輩たちにさまざまな技術やものづくりの心構えを教えてもらって成長することができました。私が教えたことを身につけた弟子たちも,いずれ巣立って独立して,工房を構えてほしいですね。そうやって,越前打刃物の産地全体で盛り上がっていけたらと思います。 -
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えちぜんうちはものしょくにん越前打刃物職人
黒﨑 優 -
仕事内容
越前打刃物の工房を経営しながら,打刃物職人として包丁やナイフを作る。
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自己紹介
すごく負けず嫌いで頑固。仕事に関しても,この日はここまでやると決めたら何が何でもやり遂げます。休日に,妻と3人の子どもと一緒に県外へ旅行に行くのが一番の楽しみです。
認められることがエネルギーになった
高校を卒業した後は,建築内装や警備の仕事,ガソリンスタンドでのアルバイトなどをしていました。どれも長続きせず,職を転々としていましたね。22歳の時,仕事を紹介してくれる「ハローワーク」に行き,そこでたまたま包丁鍛冶の会社の求人を見つけました。会社見学に行ったところ,激しく燃える炉の火や鉄を叩く刃物職人の姿を見て「かっこいい!」と感じたんです。職人の名前が入っている包丁を見せてもらい,自分もこういうものを作りたいと思い,それで親方に弟子入りしました。
だけど始めてみたら,仕事場は暑いし汚れるし,肉体的にもすごくきつい。正直,「やめようかな」と何度も思いましたが,歯を食いしばって頑張りました。弟子入りして5年経ったころ,初めて自分一人だけでアウトドア用のハンティングナイフを作らせてもらえたんです。それを店に飾っておいたら,すぐに買いたいという人が現れました。本当にうれしくて,一生この仕事を続けようという気持ちになりました。自分の仕事が誰かに認められると,すごくエネルギーをもらえるんですよ。 -
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えちぜんうちはものしょくにん越前打刃物職人
黒﨑 優 -
仕事内容
越前打刃物の工房を経営しながら,打刃物職人として包丁やナイフを作る。
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自己紹介
すごく負けず嫌いで頑固。仕事に関しても,この日はここまでやると決めたら何が何でもやり遂げます。休日に,妻と3人の子どもと一緒に県外へ旅行に行くのが一番の楽しみです。
小さいころから負けず嫌い
小学校から高校2年生まで,野球部でピッチャーをやっていました。そこで辛くても投げ出さない根性や続けることの大事さを学びましたね。また小さなころから,勝負の場面ではずっと負けず嫌いだったので,それが今の「どこにも負けない,世界一の包丁を作ってやろう」という気持ちにつながっていると思います。またスポーツは身体が一番大事です。例えば,野球の技やボールを投げる感覚は,怠けたり休んだりすると,とたんに鈍ってしまいます。それは,そのまま包丁作りの技術にも同じことが言えますね。
私は,子どものころからわんぱくだったので,いろんな人に迷惑をかけていたと思います。昔から仲の良い友だちにも,「お前は本当にやんちゃ坊主だったな」なんて言われますね。でも,伝統工芸に打ち込んだおかげで,2年ほど前に福井県の知事と新聞紙上で対談することになったんです。それを見た昔の友だちが連絡をくれて「お前のことを誇りに思うよ」と言ってくれました。一生懸命に仕事をしてきて,本当に良かったと思いました。 -
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えちぜんうちはものしょくにん越前打刃物職人
黒﨑 優 -
仕事内容
越前打刃物の工房を経営しながら,打刃物職人として包丁やナイフを作る。
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自己紹介
すごく負けず嫌いで頑固。仕事に関しても,この日はここまでやると決めたら何が何でもやり遂げます。休日に,妻と3人の子どもと一緒に県外へ旅行に行くのが一番の楽しみです。
絶対にあきらめないことが大切
みなさんに伝えたいことは,何事も絶対にあきらめてはだめだということです。実は私は高校時代に,昔からずっと続けてきた野球を途中でやめてしまった経験があるんです。打刃物の修業時代にも,あまりにつらいことが続いて「もうやめたい」とあきらめかけたこともありました。だけどその時,高校時代に野球を途中であきらめた悔しさを思い出して,それだけは絶対に繰り返したくないと思ったんです。
どんなにつらい時期でも,「ここで頑張れば,いつかきっと花が咲くことがある」と思えれば,頑張ることができます。もし何か悩むことやつらいことがあったら,自分一人だけで抱えないで,打ち明けて相談したり,アドバイスをもらう相手を作ってください。そうすれば,どんなことでもきっと乗り越えられるはずです。
また,伝統工芸やものづくりにも関心を持ってほしいですね。古くさいと思う人が多いかもしれませんが,実はまったく逆です。こういう分野こそ,世界の中で日本の力をしっかり発揮できて,尊敬を集められる分野なのです。自分一人の力で世界を相手に活躍できるなんて,すごいと思いませんか。こういう道に挑戦する若い人が日本の中にどんどん増えると,とても心強いですね。 -