私わたしは，東京都小こ金がね井い市しにある「小こ嶋じま工こう務む店てん」の「購こう買ばい積算発注部門」で働いています。工こう務む店てんの仕事は，新しく家を建てたり，家のリフォーム・修しゅう繕ぜん作業をすることです。さらに，建てた家の定期点てん検けんも大事な仕事です。約50人の社員がいる小こ嶋じま工こう務む店てんの特とく徴ちょうは，地ち域いき密みっ着ちゃく型がたであることです。お客さまは，小こ金がね井い市し周辺に住む人たちが中心ですね。
新しん築ちくの家は，一年間に60から70棟むねくらい作っています。小こ嶋じま工こう務む店てんが作るのは，主に注文住じゅう宅たくです。すでに建っている家を売るのではなく，お客さまと相談しながら，お客さまの住みたい家を作っています。
家が完成するまでには，大きく分けて6つの部門の担たん当とう者しゃが関わります。はじめに，「営えい業ぎょう担たん当とう」がお客さまのご相談内ない容ようを聞きます。次に，相談内ない容ようを元に，「設せっ計けい担たん当とう」が図面にします。さらに，契けい約やくしていただいた後は，「別の設せっ計けい担たん当とう」が，詳しょう細さいな図面を作ります。そして，「インテリアコーディネーター」が，家の中の色味や照明などをお客さまに提てい案あんします。工事がはじまれば，「現げん場ば監かん督とく」が実じっ際さいに建けん築ちく現げん場ばで指し示じを出します。そして最後に，私わたしが担たん当とうしている「購こう買ばい積算発注部門」という部門があるのですが，この部門は工事に必要な建けん築ちく材料を業者に注文したり，予算を計算したりするのが仕事です。表にはあまり出ませんが，家づくり全体を支ささえる部門ですね。

私わたしの所しょ属ぞくする「購こう買ばい積算発注部門」は，お金に関わるところを担たん当とうする部ぶ署しょです。たとえば，建てたい家の間取りが固まってきたお客さまには，契けい約やくの前に，「その家を建てるとどのくらいの金きん額がくがかかるのか」がわかるように，見積もりを出します。契けい約やく後は，予算の管理をします。建けん築ちく材料を業者に発注したり，工事に協力してもらう業者さんへの支し払はらい金きん額がくを計算したりもします。
また，私わたしは以前は設せっ計けいの部ぶ署しょで，設せっ計けいを手がけていました。通つう常じょうは「購こう買ばい積算発注部門」の人間が，お客さまとの打合せに参加することはあまりないのですが，私わたしは設せっ計けいの知ち識しきがあるので，お客さまとの打合せに参加することもあります。
こうした業ぎょう務むに加え，「一いっ般ぱん社しゃ団だん法ほう人じん TOKYO WOOD普ふ及きゅう協会」の理事の仕事もしています。「TOKYO WOOD普ふ及きゅう協会」とは，東京に住む人々の暮くらしに合った「メイドイントーキョーの家づくり」を進めている団だん体たいです。東京・多た摩ま地ち域いきの林業家，製せい材ざい業ぎょう，プレカット工場，工こう務む店てん，建けん築ちく士しといった林業関係者が力を合わせて，東京で育った質しつの良い木「TOKYO WOOD」を使った住じゅう宅たくづくりを進めています。私わたしは協会の理事として，それぞれの会社の意見をまとめたり，一いっ般ぱんのお客さまに東京の木のことを知ってもらうための，東京の森を巡めぐるバスツアーを運うん営えいしたりする仕事をしています。

家は多くの人には，一生に一度の買い物ですよね。だから，お客さまは，ただの建物を買っているのではなく，「夢ゆめ」を買っているのだと私わたしは思っています。そうしたお客さまの夢ゆめをかなえるのが，私わたしたちの仕事です。
家づくりは，まだ形のないものを，実じっ際さいに形にしていく作業です。お客さまにとっては，家がどういう完成形になるのか，イメージしづらい部分があるかもしれません。そのため，私わたしたちは，しっかりとお客さまとコミュニケーションを取らなければいけません。私わたしがお客さまとの打ち合せに参加するときは，設せっ計けいの知ち識しきと商品知ち識しきを生かして，より良い提てい案あんができるように，がんばっています。
とはいえ，どんな家を作る場合でも，必ず限かぎられた予算があります。予算内でお客さまの希望を実じつ現げんできるように，一番良い提てい案あんをしなければいけません。また，家が建ってから「扉とびらの色がイメージと違ちがう」なんて言われてしまっては，大変です。そのため，実じっ際さいに工事を始める前に，お客さまとは何度も打合せをして，計画を立てるんです。

「衣・食・住」という言葉がありますが，服と食事，そして家は，生きていく上で，絶ぜっ対たいに欠かせないものです。そういった，誰だれにとっても大切な「家」を作る仕事をしていることが，とてもうれしいですね。新しい家が建って，お客さまに引ひき渡わたすときには，誰だれもが笑え顔がおを浮うかべてくれるんです。住みはじめた後も，きっと，笑え顔がおで過すごされていると想そう像ぞうします。そのようにお客さまにとって大切な空間を作るという仕事には，設せっ計けいを担たん当とうしていたときから，とても大きなやりがいを感じていましたし、購こう買ばい積算発注部門で仕事をしている今も、それは変わりません。
車で走っているときに，自分が以前に設せっ計けいを担たん当とうした家を見つけることもあります。そのときには「あの家の中で生活してくれているんだな」「みんな笑って，一いっ家か団だんらんを過すごしているんだな」と思います。そう思えるだけで，とてもうれしいですし，自じ慢まんしたくもなります。そういった，素す敵てきな空間を作ることに関われるのが，工こう務む店てんの仕事のだいご味だと思います。

小こ嶋じま工こう務む店てんで建てている家の柱と土台は，すべて「TOKYO WOOD」を使っています。「TOKYO WOOD」は，東京の多た摩まで育ったスギやヒノキの中でも，木の硬かたさや水分量を測そく定ていし，厳きびしい基き準じゅんをクリアした木をブランド化したものです。「TOKYO WOOD」の木は強度があり，長い間，安心して暮くらせる家が作れます。
また，「TOKYO WOOD」の木材は，機械を使わず，天然乾かん燥そうさせたものです。そのため，香かおりや表面の色つやが良く，鼻や目でも楽しめる家が作れます。小こ嶋じま工こう務む店てんでは，「TOKYO WOOD」を使って，冬は暖あたたかく夏は涼すずしい，五感に訴うったえる家づくりをすることを大切にしています。地元の木を地元で使う「地産地消」を目指して，これからも林業全体に貢こう献けんしていきたいですね。少しずつ「TOKYO WOOD」を知ってもらえてきているので，これからも多くの人たちに知ってもらえるように，がんばっていきたいと思っています。

私わたしはもともと，学校の先生になりたかったんです。しかし，あまり勉強をしていなかったこともあり，大学に進学はせず，教きょう師しになる夢ゆめはあきらめました。高校卒業後の進路を決めるときに，何をやりたいのか，改めて考えてみました。そして，「自分の住む家くらいは，自分で建ててみたいな」と思い，建けん築ちくを学べる専せん門もん学校に進学しました。
専せん門もん学校を卒業後に小こ嶋じま工こう務む店てんに入社したのは，小こ嶋じま工こう務む店てんが，木もく造ぞうの注文住じゅう宅たくを作る会社だからです。すでに建てられた家を売る「建て売り」ではなく，お客さまとコミュニケーションを取りながら，思いを反はん映えいさせた家を建ててみたかったんです。
また，「木もく造ぞうの家を作る」ということにも，強いこだわりがありました。個こ人じん的てきに，木もく造ぞうの家が大好きなんです。設せっ計けい上も，木もく造ぞうならお客さまの希望に合わせて，アレンジがききます。もちろん，木もく造ぞう以外の建て方でも，それぞれ良い点や強みはあります。しかし，やはり日本の風土・気候に合う住じゅう宅たくの建て方というのは，木もく造ぞうだと思いますね。

小さいころは，毎日，5つも6つも年上の友人たちと一いっ緒しょに，外で遊んでいました。足の届とどかない自転車に乗ったり，クワガタやカブトムシを捕とりに行ったりしていました。夕方に流れるチャイムが聞こえてもまだ帰らないような，やんちゃな子どもでしたね。
小学校2年生からは剣けん道どうを始め，剣けん道どう漬づけの日々でした。中学生になってからも，剣けん道どう部ぶに所しょ属ぞくしていました。その一方で，友だちに誘さそわれて，バンドもやっていました。担たん当とうはドラムだったのですが，私わたしは長なが渕ぶち剛つよしさんが大好きだったので，ギターもあきらめられませんでした。そのため，フォークギターを買って，一いっ生しょう懸けん命めい練習しましたね。今でもギターは続けています。
高校に入学してからは，地元の剣けん道どうクラブに通うのがメインになりました。剣けん道どうクラブでは，年少の子どもたちに指し導どうすることもありました。剣けん道どうでは上下関係や礼れい儀ぎ作法を学ぶことができ，社会人になってからも役に立っています。両親からは「あなたの人じん格かく形成は，みんな剣けん道どうのおかげ」とも言われるくらいです。

まず言いたいことは，約束は必ず守りましょう。提てい出しゅつ物の期き限げんは守り，遅ち刻こくもしないようにしましょう。大人になってからも提てい出しゅつ物はありますし，お客さまとの約束もあります。約束を守らないと，誰だれからも信用されなくなってしまいます。
また，みなさんには「大きな心と広い視し野やを持て」と言いたいですね。この言葉は，私わたしが高校3年生の時に，当時の担たん任にんの先生から言われた言葉です。みなさんが，誰だれかとケンカをしたとします。そのときに，まず，自分が悪くないと思っていても，ただ相手に腹はらを立てるのではなく，「大きな心」を持って，冷静になってください。そして，ケンカには必ず原げん因いんがあります。何が原げん因いんでケンカをしてしまったのか。それをきちんと確たしかめてから，どこがいけなかったのかを考えましょう。それが「広い視し野やを持つ」ということです。
私わたしは仕事のときにも，「大きな心と広い視し野やを持つ」ことを心がけています。たとえば，自分の意見を伝えることが得意ではない人もいます。そういうときはあせらず，「大きな心」を持って，相手の言葉を冷静に聞きます。さらに，「広い視し野や」を持って，その人が本当は何を言いたいのか，よく考えるようにしています。みなさんも，人とコミュニケーションするときは，相手の言葉を冷静に聞き，その意味をしっかり考えるということを心がけると，うまくいくはずですよ。試してみてください。