地域（ちいき）のお客様のお金をお預（あず）かりし，そのお金を地域（ちいき）の方々（かたがた）に活用していただく。そのお手伝いをするのが信用金庫です。城北（じょうほく）信用金庫では，地域（ちいき）の人たちとふれあい，その地域（ちいき）とともに歩んでいくことを目指しています。ですから，地元のお祭りに参加したり，道でお会いすれば気軽にお話ししたり，地域（ちいき）に密着（みっちゃく）して毎日の仕事をしています。
私（わたし）は窓口（まどぐち）（テラー）という仕事をしています。テラーは，常（つね）にお客様と接点（せってん）を持ち，コミュニケーションすることが役割（やくわり）です。お客様とは，いろいろな話をさせていただき，仕事のことや地域（ちいき）の中での役割（やくわり）などをお聞きして，お客様の人柄（ひとがら）に触（ふ）れる機会もあります。そんな毎日の発見がとても楽しく，地域（ちいき）の方々（かたがた）のために仕事をしているという実感もわいてきます。

8時30分からは朝礼があって，その日の予定の確認（かくにん）とあいさつなどを行い，9時から開店します。窓口（まどぐち）はお客様と接（せっ）する仕事ですから，全員一斉（いっせい）に昼休みをとることはできません。先輩（せんぱい）と昼休みの時間をずらして昼食をとることで，その間に来店するお客様にも対応（たいおう）できるようにしています。
私（わたし）が勤務（きんむ）しているこの王子営業（えいぎょう）部は，さまざまなお客様がいらっしゃいます。ですが，ビジネス街の銀行のように昼休み近くが特に忙（いそが）しいとか，あるいは商店街の店舗（てんぽ）のように一定の時間帯にお客様が集中するといったことはありません。とはいっても，毎月の給料日や振込（ふりこみ）が多い日や年金の支給（しきゅう）日などは，混雑（こんざつ）しますので，正確（せいかく）・迅速（じんそく）をモットーにがんばっています。
また，最近は振（ふ）り込（こ）め詐欺（さぎ）などの被害（ひがい）を防止（ぼうし）するように心がけています。お客様の様子が何か変だなと思った時や大きな金額（きんがく）を下ろされる時は，警察（けいさつ）からのアンケートにお答えいただくなど，できるだけ声をかけて，確認（かくにん）をしています。お客様が被害（ひがい）に遭（あ）わないためにも，私（わたし）たち窓口（まどぐち）は，プロとして目を光らせています。

私（わたし）は，窓口（まどぐち）を始めてまだ３ヶ月ですから学ぶことはたくさんあります。例えば，お客様がお金を下ろすだけでも，金額（きんがく）が大きい時や他の支店（してん）の通帳の場合はどうするのか，さまざまなパターンがあります。ひと口に入金，出金といっても，いつも同じではなく，お客様に合わせての対応（たいおう）と素早（すばや）く正確（せいかく）な処理（しょり）が求められているのです。お客様にとっては，新人もベテランも関係ありません。お客様も忙（いそが）しい合間をぬって来店しているわけですから，間違（まちが）いなく迅速（じんそく）に仕事を処理（しょり）するのは当然です。私（わたし）たちが扱（あつか）っているのは，皆様（みなさま）の大切なお金ですから，なおさらですね。
今は先輩（せんぱい）に質問（しつもん）することが沢山（たくさん）ありますし，怒（おこ）られることもあります。それでも毎日学ぶことは多く，早く一人前の窓口（まどぐち）になりたいです。

学生のころは銀行へ行って，「この窓口（まどぐち）の担当者（たんとうしゃ）で良かった」とか「ありがとう」という気持ちを持ったり言ったりした事はありませんでした。
でも，今は，お客様から「説明が分かりやすくてよかった」「迷（まよ）わずできた」「ありがとう」などと言っていただくことがあり，とてもうれしい気持ちになります。学生のころからは想像（そうぞう）もしなかったことです。人に感謝（かんしゃ）されることで，私自身（わたしじしん）ももっと頑張（がんば）りたいという気持ちになります。
これからは，お客様から「こんなことでお金が必要なの」とか「こんなことがあるから積み立てをしたい」といった相談にも対応（たいおう）できるようになりたいし，「今日は来て良かった」と皆（みな）さまに言っていただける存在（そんざい）になりたいと思っています。

皆（みな）さんは，接客業（せっきゃくぎょう）といえば，飲食店や百貨店で働く人をイメージしていませんか。私（わたし）もそうでした。でも，こうして働いてみて，金融（きんゆう）機関も接客（せっきゃく）がとても大切で重要であると実感しています。
また，若（わか）い人からは金融（きんゆう）機関の店内に入っても，誰（だれ）に何を聞けば良いのかも分からないから，あまり足を運ばない，といった声を耳にします。そんな方にご来店いただいたときに「今日は何かイメージしていた金融（きんゆう）機関と違（ちが）って雰囲気（ふんいき）が良いな」と思っていただけるような応対（おうたい）ができるようになりたと思っています。
ちょっと極端（きょくたん）ですが，金融（きんゆう）機関にいることを忘（わす）れていたと言われるような，そんな接客（せっきゃく）がしたいですね。

私（わたし）は，大学のときからお客様と接（せっ）することができる仕事をしたいと思っていました。そのときにインターンシップ(職場（しょくば）体験)で，この城北（じょうほく）信用金庫にお世話になりました。窓口（まどぐち）で先輩（せんぱい）の仕事を見せていただき，接客（せっきゃく）することへ，ますます興味（きょうみ）を持ちました。さらに，地域（ちいき）にある会社へ行って，その会社が作っている棚（たな）の接着（せっちゃく）作業なども体験しました。作業終了後（しゅうりょうご），その日にしたことを，その会社の社長に発表したのです。学生のときでしたから，社長の前で話す機会があるなんて驚（おどろ）きましたが，地域（ちいき）の会社の職場（しょくば）も体験できるというのは，信用金庫ならではだなと思ったのです。そうして就職（しゅうしょく）する決断（けつだん）をしました。

小学校低学年のころは，授業（じゅぎょう）が終わり，同級生が帰り始めているのに，私（わたし）はまだランドセルに教科書も片（かた）づけられないような，のんびりとした，何でも時間のかかる子でした。それから，当時はかなりの人見知りで，両親を心配させてしまったこともあったようです。
そんな私（わたし）がピアノを習い始め，さまざまな人と交流するようになって，性格（せいかく）や行動がどんどん変わっていきました。ピアノは人前で発表する事は何度もありますからね。そして，小学６年生のころには，児童会の会長までするようになったのです。
中学では，吹奏楽（すいそうがく）部に入部してクラリネットを担当（たんとう）しました。そこではピアノとは違（ちが）ったチームプレーでの演奏（えんそう）の素晴（すば）らしさを学びました。
それら全ての経験（けいけん）が，今の仕事に活かされていると思っています。

皆（みな）さんがやりたいと思ったことは，とりあえずやってみてほしい。反対されることもあるでしょう。別のことをすべきだと言う大人も沢山（たくさん）いるでしょう。でも，本当にやりたいことを，一生懸命（いっしょうけんめい）に頑張（がんば）ってやっていれば，周囲もいつかは必ず分かってくれる日が来るはずです。
私（わたし）も高校時代，母の反対を押（お）し切（き）ってバレー部のマネージャーをやりました。今はその経験（けいけん）がとても役に立っていますし，今では両親に感謝（かんしゃ）しています。また，自分でこれだと決めたことは，最後までやり抜（ぬ）くという強い意思も必要です。
皆（みな）さんもやらずに後悔（こうかい）するよりは，まずは体験して自分が本当にやりたい事を探（さが）してください。