私わたしは、ドローンに関する仕事を行う会社である「ROBOZ（ロボッツ）」の代表を務つとめています。ドローンでプロモーション映えい像ぞうを撮とっているところを初めて見たときに、撮とれた映えい像ぞうの美しさや操そう縦じゅうしやすさなどに感動し、多くの人にこうしたロボットテクノロジーを身近に感じてもらいたいと思い、2017年にROBOZを設せつ立りつしました。
現げん在ざいは、上空からの撮さつ影えいや調ちょう査さ、農薬散さん布ぷなど、ドローンを活用した幅はば広ひろい分野の事業を行うほか、ドローンを操そう縦じゅうする人を育成するドローンスクールを運うん営えいしています。また2021年には、さまざまなドローンを展てん示じし、空を飛ぶドローンだけでなく、陸上を走行するドローンや潜せん水すいできるドローンなども操そう縦じゅうできる、約1800坪つぼの専せん用よう飛行場を設もうけた体たい験けん型がた博物館「ドローンミュージアム＆パークみの」をオープンしました。
最近は、LEDライトを搭とう載さいした小こ型がたドローン数十台を使って、上空でさまざまな動きをさせ、それによって描えがかれるデザインを楽しんでもらう屋内ドローンショーを企き画かくし、イベントなどで披ひ露ろうする仕事もしています。今はまだ国内でドローンショーができる会社は少ないので、ドローンショーに挑ちょう戦せんしてみたいという人や企き業ぎょうに、機材の販はん売ばいや運うん営えいの指し導どうもしています。

私わたしは、ドローンを仕事で使用したい人や、もっと多くの場所で飛ばしたいと思っている人などを対たい象しょうに、資し格かくを取しゅ得とくできるスクールを開かい設せつし、私わたし自身もインストラクターとして、指し導どうをしています。
ドローンは、基き本ほん的てきに屋内やドローン練習場、人がいない私し有ゆう地ちや河か川せん敷じきなどでは、誰だれでも飛ばすことができますが、飛ばせる場所には制せい限げんがあり、国土交通省の許きょ可かが必要な場合があります。しかし、ドローンの資し格かくを取しゅ得とくすると、住じゅう宅たく地ちなど、制せい限げんのある場所などでも飛行させることができるようになります。
以前はドローン操そう縦じゅうの資し格かくは民間の団だん体たいや企き業ぎょうが設もうけた資し格かくしかありませんでしたが、2022年からは国家資し格かく制せい度ども始まりました。国家資し格かくには「一等無人航こう空くう機き操そう縦じゅう士し」と「二等無人航こう空くう機き操そう縦じゅう士し」の２種類があり、「一等無人航こう空くう機き操そう縦じゅう士し」の資し格かくがあれば、人がいる上空を、目もく視しできないエリアまで飛ばすことができるようになるため、今後、物流や測そく量りょうなどの分野で、住じゅう宅たく地ちへの荷物輸ゆ送そうなどをするときに役立つとされています。
私わたしは、スクール以外でも、地ち域いきの学校などでドローンを使った授じゅ業ぎょうを行うこともあります。小・中学校では、ドローンをどのように飛ばすかを考えて、その動きをタブレット端たん末まつでプログラミングし、実じっ際さいに飛ばします。高校や大学では、授じゅ業ぎょうの中でドローンの民間資し格かくや国家資し格かくの取しゅ得とくに必要な知ち識しきを教える学校もあります。私わたしは、ドローンを何に活用して社会で役立てるかを考えてみてほしいと思っています。そのため、どの学校でも、身近にある地ち域いき課題の解かい決けつや地ち域いきの活かっ性せい化かにドローンを役立てる方法を考えることをテーマにして、授じゅ業ぎょうを行うようにしています。

私わたしが会社を設せつ立りつしたころは、まだドローンの操そう縦じゅうを体験できる場所や、ドローンを扱あつかう仕事をする会社もあまりなかったため、どんな仕事が求められているのか、誰だれに向けて宣せん伝でんをすればいいかなどを、一から考えなければいけませんでした。
そこで私わたしは、毎週末に誰だれでもドローンを操そう縦じゅうできる無料体験の機会を設もうけ、ドローンにはどんな作業ができ、どのような場面で役立つ可か能のう性せいがあるかを伝えることから始めました。また、いろいろな場面で活かつ躍やくするドローンを準じゅん備びし、空から写真や映えい像ぞうを撮さつ影えいする空くう撮さつ（空中撮さつ影えい）や、ドローンで農薬をまく農薬散さん布ぷ、人が入りにくい場所の形けい状じょうや面積を測はかる測そく量りょうなど、相談があった仕事は何でも対たい応おうできるようにしました。
会社を始めて２年ほどは、なかなか人も仕事も集まりませんでしたが、こうした取り組みのおかげで「ここに行けばドローンに触ふれられる」と知ってもらうことができ、今では全国から体験希望者が訪おとずれるようになりました。また、仕事を依い頼らいしてくれた会社からも「自分たちでも操そう縦じゅうできるようになりたい」と、スクールを受じゅ講こうする人が増ふえています。誰だれもやっていないことを始めるのは大変でしたが、ドローンの魅み力りょくを多くの人に知ってもらうことができて、よかったと思っています。

この仕事のおもしろさは、ドローンを使うことで、これまで解かい決けつできなかった悩なやみごとや課題を解かい決けつできることです。ドローンで社会を便利にし、地ち域いきに貢こう献けんできることが一番の喜よろこびです。
たとえば、農作物を栽さい培ばいする農家さんは、雑ざっ草そうを抜ぬいたり農薬をまいたりする作業が、体の負ふ担たんになることが課題となっていました。そこで農薬や除じょ草そう剤ざいをドローンでまくことを提てい案あんしたところ、何日もかかっていたのが３分でできるようになりました。特に、高こう齢れいの農家さんには負ふ担たんが軽けい減げんされて非ひ常じょうに喜よろこばれ、毎年、依い頼らいが来ています。
また、会社がある美み濃の市しをはじめ、さまざまな県や市町村と、防ぼう災さいや観光、まちづくりなどにドローンを活用する協定を結び、災さい害がいが起こったときにドローンで被ひ害がい状じょう況きょうを確かく認にんしたり、ドローンで市の魅み力りょくを伝えるプロモーションビデオを作成する空くう撮さつコンテストを開かい催さいしたりと、まちの安全維い持じや活かっ性せい化かに協力しています。
最近では、まだ日本でも数少ない直径３メートルの大おお型がたドローンを岐阜県で初めて導どう入にゅうしました。岐阜県は山が多いため、今後は買い物をする店てん舗ぽが少ない山間地ち域いきへ、食料品や災さい害がい物ぶっ資しなどを輸ゆ送そうすることにもチャレンジしていく予定です。

私わたしは、ドローンをもっと社会で活用してもらうために、これからどんな活かつ躍やくの場や方法があるか、どのようなドローンが求められるかなど、社会や使う人のニーズに寄より添そうことを大切にしています。そのためにも、常つねにアンテナを張はって最新の情じょう報ほうをつかむように努め、新しいことに挑ちょう戦せんするようにしています。
その一つとして、2023年からはより使いやすく、多くのニーズに応こたえられる新しいドローンの開発を始めました。これまでドローンを使って幅はば広ひろい分野の仕事をしてきた経けい験けんを生かして、配管や煙えん突とつの中などの狭せまい場所に潜せん入にゅうして撮さつ影えいや点てん検けんができる小こ型がたドローンや、水平を保たもちながら重い荷物を運うん搬ぱんできるドローンなど、さまざまなタイプのドローンを開発しています。
また近年、世界では多くの国がドローン技ぎ術じゅつの開発に力を入れており、技ぎ術じゅつが急速に進歩しています。そこで2024年には、特にドローン開発に力を入れている中国にも会社をつくり、最新の技ぎ術じゅつを学ぶ環かん境きょうを整える予定です。海外の技ぎ術じゅつやアイデアを取り入れながら、細かな部分まで配はい慮りょする日本の丁てい寧ねいなものづくりを組み合わせ、世の中にないドローンやサービスを生み出していきたいです。

私わたしは高校時代、大学合ごう格かくだけを目指して勉強に励はげんでいたため、大学入学後は勉強する目標を見失い、中ちゅう退たいして働く道を選びました。その後、塾じゅくを運うん営えいする社長に出会い、「この塾じゅくを日本一にしたい」という思いに共感して入社、21歳さいで東京へ行ってがむしゃらに働き、11年でその塾じゅくを全国に300店てん舗ぽまで増ふやすことができました。
その経けい験けんをもとに、自分で会社をつくりたいと思っていた私わたしは、会社を辞やめて故こ郷きょうの岐阜県へ戻もどりました。「せっかくなら今までにないことをしたい」と考えていたとき、ドローンで映えい像ぞうを撮さつ影えいする人と出会い、「これは今後、さまざまな場所で活用できる可か能のう性せいがあるけれど、私わたしのように多くの人がまだそのことを知らないはず。ならば、これを広めることを仕事にしよう」と決意しました。
会社設せつ立りつ当初は、ドローンを活用する場を増ふやすために、まずは使い方を教えることが必要だと考え、スクールを開くことにしました。自分自身もドローンの知ち識しきや操そう縦じゅうの仕方を必死に勉強し、塾じゅくを経けい営えいしていたときの知ち識しきや手法を生かして、自分でテキストやカリキュラムを制せい作さくしました。また、今後ドローンが普ふ及きゅうしたら、自動車のように免めん許きょが必要になるだろうと考え、民間資し格かくや国家資し格かくなど、希望に合わせた資し格かくを取しゅ得とくできるスクールを目指しました。

私わたしが生まれ育った岐阜県郡ぐ上じょう市しは、山々に囲かこまれた自然豊ゆたかな地ち域いきです。子どものころはゲームセンターや遊び場もなかったため、友達と山や川へ行き、自分で遊びを考案して楽しむ毎日でした。そのころから、何でも思い立ったら行動してしまう子だったので、小学生のときには「一人で山を越こえてみよう」と山を登ったところ、だんだんと暗くなって道に迷まよってしまい、家族に探さがしに来てもらったこともあります。
中学生のころは、とにかくどんなことでもトップにならないと気が済すまない性せい格かくでした。当時は、バック転やバック宙ちゅう返がえりなどのアクロバットの技わざを披ひ露ろうする男だん性せいアイドルが人気を集めていたので、部活動は器き械かい体たい操そう部ぶに入るなど、目立つことも大好きでした。もちろんトップを目指して努力しても、失敗することも多かったですが、大人になっても何でも一番が好きなのは変わらず、今も日本一のドローン企き業ぎょうを目指しています。

私わたしは、「これはいい」と思ったことは、失敗を恐おそれず、何でもすぐに行動に移うつすことを大切にしてきました。多くの人は「行動に移うつすのが難むずかしい」と言いますが、実は勇気さえあれば、誰だれでも簡かん単たんにできます。それは、ちょっとしたチャレンジでも大だい丈じょう夫ぶ。今まではなかなかできなかったけど、明日の朝は早く起きてみよう。今日出された宿題は、必ず今日やるようにしよう。そんな、昨日より少しだけ今日をよくしようとする一歩を踏ふみ出だすだけでも、確かく実じつに新しい世界が広がります。
こうしたチャレンジは、「自分で決めて、一歩踏ふみ出だしてみる」というトレーニングになります。自分に自信がないと言う人は、「やればできる」という確かく信しんが持てないからです。ちょっとでもチャレンジを続けることで「自分もやればできるんだ」という自信や充じゅう実じつ感かんを感じることができるので、小さなことからぜひ挑ちょう戦せんしてみてください。よく「自分のやりたいことや夢ゆめが見つからない」という声を聞くことがありますが、同じことを繰くり返かえしている毎日の中では、見つけるのは難むずかしい場合があります。小さなチャレンジで、いつもと同じ毎日を少しでも変えると、視し野やが広がって新しいことや夢ゆめが見つかるかもしれませんよ。

＜物流用ドローンの動画＞