私わたしは東京・足立区にある再さい生せい資し源げん事業をしている会社「トベ商事」で，総そう務む担たん当とうとして働いています。「総そう務む」というのは，会社全体の事じ務むをおこなう仕事です。
トベ商事という会社は創そう業ぎょう125年の老しに舗せ企き業ぎょうで，創そう業ぎょう当初は空きびんの回かい収しゅうを専せん門もんにしていました。現げん在ざいは企き業ぎょうやコンビニエンスストア，飲食店などから，びんの他に缶かんやプラスチック，ペットボトルなどの廃はい棄き物ぶつを回かい収しゅうし，リサイクルしやすいように加工する仕事を主にしています。その他に，資し源げん物や廃はい棄き物ぶつの輸ゆ送そうを請うけ負おったりもしています。
例えばペットボトルの場合は回かい収しゅうしてきた後，まず大きな異い物ぶつを取とり除のぞいてから，透とう明めいなボトルと色付きボトルに分別します。そして，粉ふん砕さい機きでペットボトルをフレーク状じょうに砕くだき，人の手でさらに異い物ぶつを取とり除のぞいた後に，リサイクル業者に出しゅっ荷かします。びんの場合は，洗あらって繰くり返かえし使えるリターナブルびんと，一回だけ使うワンウェイびんがありますが，リターナブルびんの場合は洗せん浄じょう機きできれいに洗せん浄じょうして再さい利り用ように回します。ワンウェイびんは粉々に砕くだいて再さい生せい原料にするため，びんから異い物ぶつや中の液えき体たいを取とり除のぞき，色ごとに仕分けしてからリサイクル業者に出しゅっ荷かします。トベ商事はこのように資し源げんのリサイクルに関わることで，地球の環かん境きょうを守ることに貢こう献けんしている会社です。

私わたしが担たん当とうしている総そう務むという仕事は，会社の業ぎょう務むがスムーズに回るように，さまざまな業ぎょう務むをこなします。社員の出社・退たい社しゃ時間を管理したり，休日の数が法ほう律りつ上，適てき切せつかどうかをチェックしたりするほか，新しい人材を仲間にするための採さい用よう業ぎょう務むや，文ぶん房ぼう具ぐや蛍けい光こう灯とうといった，会社で必要になる備び品ひんを管理・発注する業ぎょう務むなど，仕事内ない容ようは幅はば広ひろいものです。現げん在ざいは私わたしひとりで総そう務むの仕事をこなしているので，毎日，忙いそがしい日々を送っていますね。
総そう務むはいろいろな業ぎょう務むを担たん当とうするので，自分の仕事のスケジュール管理が重要になります。例えば，採さい用よう業ぎょう務むをしている時期であっても，備び品ひんが切れたと言われればすぐにそれを発注し，蛍けい光こう灯とうが切れればそれを交こう換かんしたりもします。そのように次から次へとやってくる依い頼らいにきちんと対たい応おうし，ミスや抜ぬけ，漏もれがないよう仕事をこなしていきます。
総そう務むという仕事は，会社の中で何か困こまったことがあった時，一番に駆かけつけてその悩なやみを解かい決けつすることが使命とも言えます。だからこそ，相手の話をしっかりと聞いて，どんなことに悩なやんでいるのか，どうすればそれを解かい決けつできるのか，ということをしっかりと聞くようにしていますね。普ふ段だんは地味で目立たない仕事かもしれませんが，いざという時に頼たよられる，縁えんの下したの力持ちのような存そん在ざいなんですよ。自分の頑がん張ばりが，社員全員の働きやすさを守るために必要なんだという思いを持って，仕事をするようにしています。

実は私わたしはもともと，トベ商事にはドライバーとして入社したんです。ドライバーは，軽トラックや大型トラック，荷台の側面が大きくはね上がるように開く「ウイング車」などに乗って取引先を回って廃はい棄き物ぶつを回かい収しゅうします。深夜にコンビニや居い酒ざか屋やを回ってびんやペットボトルを回かい収しゅうしたり，朝から生ゴミを回かい収しゅうしたりと，担たん当とうによって仕事内ない容ようはさまざまです。飲食店などが担たん当とうだと，ゴールデンウィークや年末年始にはたくさんの飲み物が消費されて回かい収しゅうする量が増ふえ，特に忙いそがしくなりますね。
ドライバーをしていたころは，集中力を切らさず効こう率りつ的てきに回れるよう，運転のスキルを磨みがくようにし，いかに効こう率りつ的てきにコースを回れるかを常つねに意い識しきしていました。当時はカーナビもありませんでしたから，地図を見ながら，自分の中でより効こう率りつ的てきなルートを選び，1日50か所しか回れなかったところを80か所，100か所と回れないかと，いろいろと考えたものです。

ドライバー時代は，廃はい棄き物ぶつの回かい収しゅう先で「ありがとうございます」と言ってもらえることが一番の喜びでしたね。自分の仕事が誰だれかの役に立っていると実感できる瞬しゅん間かんです。あとは，単たん純じゅんに運転することが大好きなので，トラックに乗っていろいろな場所を回ることにやりがいを感じていました。
現げん在ざいの総そう務むの仕事では，他の社員に依い頼らいされたことに素す早ばやく対たい応おうして「ありがとう」と言ってもらえると，やりがいを感じます。社員が働きやすい環かん境きょうを作るためにも，効こう率りつよく仕事をこなして対たい応おうできるように頑がん張ばっています。
そして何より，私わたしたちの仕事が地球環かん境きょうの保ほ護ごに貢こう献けんしているということにはやりがいを感じています。びんやペットボトルをそのままゴミとして燃もやしたり，埋うめ立たてたりすると，環かん境きょうや人の健康に悪い影えい響きょうを与あたえてしまうだけでなく，限かぎりある天然資し源げんを無む駄だにすることにもなってしまいます。資し源げんをリサイクルして有ゆう効こう活用することは，地球を守るためにも重要なことですから，自分のしている仕事が地球のためになっているというのは，働くうえでの充じゅう実じつ感につながっていますね。

高校を卒業し，どんな仕事をしようか考えた時，どうせなら自分の好きなことを仕事にしたいと思いました。そうして考えると，私わたしは子どものころから車が好きで，同時に車を運転することも大好きだということに気づいたんです。そこから，自分の目標が明めい確かくになりました。職しょく業ぎょう訓練校に通った後，車を運転することが仕事になる，ドライバーという職しょく業ぎょうを選んだのです。そうしてトベ商事に入社したのですが，そこからはドライバーとして，とにかく毎日ひたすら車の運転をしました。好きなことを仕事にできて，毎日とても充じゅう実じつしていましたよ。
ドライバーとして経けい験けんを積む中で，いつしか他のドライバーたちのスケジュールやシフトを管理するリーダーの立場になり，その後，もっと会社全体のサポートをしてほしいと会社から言われ，現げん在ざいの総そう務むという仕事にチャレンジすることになりました。同じ会社で働く仲間の役に立てるこの仕事は，運転することとはまた違ちがった楽しみがあって，飽あきませんね。

私わたしが子どものころは，今みたいにテレビゲームがどの家にもあって，という状じょう態たいではありませんでしたから，外で遊ぶことが多かったですね。鬼おにごっこをしたり，サッカーをしたり，野球をしたり，とにかく体を動かす遊びが好きな子どもでした。中学・高校では部活でバレーボールをしており，毎日遅おそくまで練習していました。それなりに強いチームで，東京の都大会まで進出したこともあるんですよ。部活仲間もたくさんいましたから，練習が終わってから，みんなでよく遊びに出かけたりもしたものです。
勉強は正直そこまで得意ではありませんでしたが，地理の授じゅ業ぎょうだけはとても楽しんでいたように思います。知らない土地に行くことを想そう像ぞうしたり，地図を見たりすることに楽しさを感じていたのだと思います。これがドライバーという仕事を目指すきっかけの一つになったかもしれませんね。

みなさんには，子どものうちからたくさん勉強をして，いろいろな知ち識しきを身につけておいてほしいと思います。その知ち識しきが自分の選せん択たく肢しを広げて，将しょう来らいの職しょく業ぎょうを選ぶきっかけになるかもしれません。
あとはぜひ，普ふ段だんからゴミの分別を心がけてみてください。「捨すてればごみ，分ければ資し源げん」という言葉があります。いつもはあまり意い識しきすることもないかもしれませんが，家の前に出したびんや缶かんが回かい収しゅうされ，また新しいびんや缶かんになって帰ってくるまでには，とてもたくさんの人の努力が隠かくれているんです。みなさんが大人になった時に，今よりも街が汚よごれてしまっていたら悲しいですよね。目の前にあるゴミを正しく分別すれば，間ま違ちがいなく地球環かん境きょうのためになります。私わたしたちのような仕事をしている人たちがいるということを想そう像ぞうしながら生活してもらえるとうれしいですね。