気き象しょう予よ報ほう士しというのは、「天気を予想する」のがメインの仕事です。私わたしの場合はそれに加え、「テレビで伝える」ということも仕事になっています。資し料りょうを解かい析せきして天気を予想し、さらにテレビで伝えるときにどう表ひょう現げんするか、どう画面を出すか、そういうところまで考える仕事です。
今は、NHK総そう合ごうで平日の夜７時から放送されている『ニュース７』という番組で気き象しょうキャスターを担たん当とうしています。放送は２〜３分ですが、この数分のニュースを作るため、大体、お昼の12時ごろに出社しています。そこから7時間ほどかけて、その日の気き象しょう状じょう況きょうを分ぶん析せきしながら、天気予よ報ほうの部分のニュース原げん稿こうを作っていきます。

子どものころから天気や宇う宙ちゅう、自然に興きょう味みがありました。自分の名前が「晴山」ということもあり、小さいころに「この名前で気き象しょう予よ報ほう士しになったら面おも白しろいんじゃないかな」と思ったことはありました。本当になるとは思いませんでしたが、たぶん心の奥おく底そこにはその思いが漠ばく然ぜんとあったんじゃないかなと思います。
大学生のときに、ふと「気き象しょう予よ報ほう士しの資し格かくって面おも白しろそうだな」と思い、子どものころにそういうふうに思ったことがあるのを思い出して、資し格かく取しゅ得とくを目指しました。大学生だったので時間もあったこと、また就しゅう職しょく活動に際さいしても何か強みになればいいなという思いもありました。自分自身に自信がなかったこともあり、「何か自信になるような強みが欲ほしい！」と思ったんですね。そこに関しては必死でした。

気き象しょう予よ報ほう士しという職しょく業ぎょうを選んだのは、大学生のうちに資し格かくに合ごう格かくしたことも大きいと思います。もし資し格かくが取れずに就しゅう職しょく活動を迎むかえていたら、たぶん違ちがう仕事に就ついていたのではないでしょうか。
私わたしは、大学３年生のときに資し格かくを取しゅ得とくしました。通っていた資し格かく取しゅ得とく講こう座ざを主しゅ催さいしていた、気き象しょう情じょう報ほう会がい社しゃの「株かぶ式しき会がい社しゃウェザーマップ」から、「うちでアルバイトをしないか」と声をかけてもらいました。卒業後はそのままウェザーマップに所しょ属ぞくし、気き象しょう予よ報ほう士しとして活動しています。
今、講こう演えんをすると気き象しょう予よ報ほう士しに興きょう味みを持ってくださる方には、防ぼう災さいへの意い識しきが高い人と、高こう齢れいの方が多いんです。でも、小学生や中学生にとっても、天気って生活に密みっ接せつに関わってくるものですよね。例えばどこかに出かけるとき、天気予よ報ほうを見て決めませんか。気き象しょうに興きょう味みを持つ若わかい方が、もっと増ふえてくれればいいなと思っています。

気き象しょう予よ報ほう士しは「正せい解かいがない」仕事です。よく当たる予よ報ほうを出せる人はすごくかっこいいと思うんですけど、せっかく当たる予よ報ほうをしても、それを見てくれる人がいなかったら意味がありません。まず聞いてくれる人がたくさんいること、そして聞いてもらえる情じょう報ほうになることで、天候の状じょう態たいにどう対たい策さくするか、予よ防ぼうするか、どう行動してほしいか、というのが伝わる。だから「当てにいく」というよりも、「これを聞いた人にどういうふうにしてほしいからこう表ひょう現げんしよう」ということを考えるようにしています。「何時ごろ雨が降ふりますよ。はい、降ふりました。当たった。」ではなく、「傘かさを持って出かけてもらうにはどう言葉を選んだらいいか」ということですね。

私わたし自身、「この仕事のやりがいって何だろう？」と考えることがあります。そこで思ったのは、天気のニュースというのは基き本ほん的てきに事前に収しゅう録ろくしておけないんですね。刻こく々こくと変わるものなので、基き本ほん的てきには直前のものをお伝えしないと、どんどん情じょう報ほうが古くなってしまう。天気は一分一秒、それこそ呼こ吸きゅうしている間にも変化しているものなんです。例えば、放送している間に天気が急変して情じょう報ほうが新しく出てしまうこともあれば、放送中に防ぼう災さい情じょう報ほうが出ることもあります。そういうときは臨りん機き応おう変へんな対たい応おうが求められるし、自分の対たい応おう力りょくが試ためされます。だからこそ生放送でしゃべっているときに、自分にしかできないような臨りん時じの対たい応おうができたときは「やった！」と思いますね。

仕事を始めたばかりのころは、各局の気き象しょう予よ報ほう士しの番組を全部録画して見ていたこともあります。この人はこういう対たい応おうの仕方をしているとか、こういう表ひょう現げんの仕方をしているというものを参考にしましたね。他の気き象しょう予よ報ほう士しの方の表ひょう現げんをテキストファイルにまとめたり、どういうことをしゃべっているかを聞いたりして学びました。今は多少仕事に慣なれてきたこともありますし、帰き宅たくしてテレビをつけるとどうしても仕事モードで見てしまうので、切きり替かえのためにもあえてテレビは見ないことが多いです。

天気予よ報ほうには「こういうふうに画面を使って、こういうことを伝えるのが正しい」みたいなものは何もないんです。だから、同じチームで作っていて「これがいい、いやあっちのほうがいい」と意見が分かれることもあります。それを取りまとめて放送したとしても、やはり正せい解かいはわかりません。たとえ自分が「今日はすごくいいものを作ったな」と思っても、受け取る側にはそうではなかったり、「わかりにくい」と思われたり、「これってそんなに重要なの？」と思われたりすることもあります。表ひょう現げんの仕方に関しても「こういうのは好きじゃない」という意見をもらうこともあります。また、視し聴ちょう率りつを取っていればいいというわけでもありません。
そんな「正せい解かいがないもの」だからこそ、自分がどれぐらいできたかなということを常つねに考え続けなければいけない仕事だなと思います。

これを読んでいる多くの方は、「自分が今やっている勉強が何につながるかわからない」と思っているのではないでしょうか。私わたし自身がそうでしたし、「三角関数なんか将しょう来らい絶ぜっ対たい使わないでしょ」と思っていたタイプでした。でも漠ばく然ぜんとでいいので、自分が将しょう来らいこういうふうになりたいなとか、こういうふうに生きていきたいとか、これが好きとか、自分のそういった思いや感かん情じょうに正直になって過すごすのがいいんじゃないかなと思います。私わたしも子どものころは気き象しょう予よ報ほう士しになるとはまったく思っていませんでしたが、当時、見たニュースに出ていた気き象しょうキャスターの方をなんとなく覚えていて「私わたしもいつかこういうふうになれたらいいな」とぼんやり思おもい描えがいていた気がするんです。そこに今いるわけですから、本当に何がどうなるかわからないですよ。