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- 東京都に関連のある仕事人
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1942年 生まれ
出身地 長野県
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高梨 正信 -
仕事内容
西洋料理を日本人が食べやすい味付けにアレンジ。ボリューム満点の料理を低価格で提供する。
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自己紹介
料理人の仕事が大好きです。じっとしているより,常に動いていたいタイプ。趣味は海外旅行で,世界遺産などを見に行くのが好きです。
力道山の「リキレストラン」元総料理長。西洋料理を日本人の味覚に合う味に
私は,東京都新宿区西落合にある洋食店,「レストラン香港」で料理人をしています。店のスタッフは私と妻,次男夫婦,娘の5人で,家族で経営しています。25歳で自分の店を持つ前は,力道山という昭和の有名なプロレスラーが経営する「リキレストラン」の総料理長をしていました。プロレス関係者との縁が深く,プロモーター(試合の主催者)の経験も持つ,めずらしい料理人です。特にプロレス団体の新日本プロレスとは,アントニオ猪木が団体を立ち上げたときからの長い付き合いで,多くのプロレスラーを支援してきました。
仕事内容は,ハンバーグやポークソテー,ステーキなどの西洋料理を日本人の味覚に合う味付けにして提供することです。デミグラスソースなどのソースに醤油やみりん,味噌などを加え,メニューごとに味を変えています。人気のメニューはてっぺんの平らなトルコの帽子の形をイメージして作ったトルコライスで,ケチャップライスの上にカレーをかけ,さらにトンカツをのせた料理です。どの料理もボリューム満点なうえに,手ごろな価格なので,お客さまに喜んでいただいています。メニューやレシピ,提供する価格もすべて自分で考えています。
高齢になったので今はもうやっていませんが,以前は出張料理も受け付けており,中華や和食,寿司まで作り,500名の宴会まで対応していました。 -
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高梨 正信 -
仕事内容
西洋料理を日本人が食べやすい味付けにアレンジ。ボリューム満点の料理を低価格で提供する。
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自己紹介
料理人の仕事が大好きです。じっとしているより,常に動いていたいタイプ。趣味は海外旅行で,世界遺産などを見に行くのが好きです。
食材を安く仕入れ,ボリューム満点の料理を低価格で提供する
私は,店の2階に住んでいるため,毎朝5時に起床し,すぐに買い出しや仕込み(料理の下準備)を始めます。買い出しは主に都内の豊洲市場へ行っていますが,土曜日は店を休みにして,埼玉県にある精肉店などを複数まわって,安くてよい食材を集めています。だからボリューム満点の料理を,他の店では考えられないような低価格で提供することができるのです。
付け合わせの野菜を準備したり,ハンバーグを煮込んだりといった仕込みをして,11時30分からお昼の営業が始まります。注文が入ったら,分担して料理の準備をしますが,焼く,揚げる,煮込むといった最後の仕上げは私の仕事です。私の店はお客さまをお待たせしないことも特徴で,早いスピードで仕上げて提供しています。それでも,店の外に行列ができていることがしばしばあります。
営業が終わったら,翌日のための仕込みと,清掃などの後片付けをします。飲食店なので,清潔な環境で料理することはとても重要です。厨房の綺麗さは,どの店にも負けないと自信を持っています。21時過ぎに一日の業務が終わり,就寝時間は24時ごろになることが多いです。 -
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高梨 正信 -
仕事内容
西洋料理を日本人が食べやすい味付けにアレンジ。ボリューム満点の料理を低価格で提供する。
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自己紹介
料理人の仕事が大好きです。じっとしているより,常に動いていたいタイプ。趣味は海外旅行で,世界遺産などを見に行くのが好きです。
修行中は誰よりも早く厨房に行き,ソースの研究をしていた
料理人の仕事が好きなので,苦労だと感じることは特にありません。立ち仕事で,体力的に大変だと思われるかもしれませんが,仕事をする中で体力がついて,丈夫な体になっていきました。しかし,コックになったころはこんなに長く仕事を続けられるとは思っておらず,50歳を過ぎるころにはアパート経営で暮らしていこうと考えていました。実際にアパートを購入し,部屋を貸しているため,家賃収入も得ることができています。
また,睡眠時間は短いほうかもしれません。以前,新日本プロレスのイベントが一週間続けてあった時期などは,お弁当を作るために徹夜で仕事をすることもありました。修行時代は今より働いていて,誰よりも早く厨房へ行き,夜遅くまで働いていたので,睡眠時間は平均4時間ぐらいだったと思います。
朝早く厨房で何をしていたかというと,色々な食材を組み合わせて調理して,食べてみたりしていました。「上野タカラホテル」で肉料理の担当になった19歳のころは,朝,誰もいない厨房でソースの研究をしていました。そのときの料理長は,他店とは違うものを,日本人の食べやすい味で,価格もできるだけ安く提供しようと考えている方でした。そのため,醤油やみりん,味噌などで味を調整した,しつこさのない私のソースを面白いといって,よく採用してくださいました。
実は私はコショウやカイエンペッパー(唐辛子)などの香辛料が体質的に苦手で,ソースの味見を頻繁にすることができないのですが,修行時代の研究のおかげでおいしいソースを作ることができています。 -
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高梨 正信 -
仕事内容
西洋料理を日本人が食べやすい味付けにアレンジ。ボリューム満点の料理を低価格で提供する。
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自己紹介
料理人の仕事が大好きです。じっとしているより,常に動いていたいタイプ。趣味は海外旅行で,世界遺産などを見に行くのが好きです。
オリンピック選手に料理を提供したことも
仕事をしていて一番やりがいを感じるのは,お客さまにおいしいと喜んでもらえることです。また,料理をおいしくするための工夫など,新しいことを考えるのも好きです。例えばハンバーグは,早く提供するためと,味を染み込ませるために,一度焼いてから,デミグラスソースを薄く伸ばしたスープで煮込んでいます。ハンバーグには牛肉と豚肉を使う店が多いのですが,それだと煮込むときに崩れやすいので,当店では鶏肉を加えています。鶏肉はコラーゲンが多いので,加えることでハンバーグがキュッと締まって崩れません。どの料理にもそういった工夫をしています。
仕事をしてきた中で,最も思い出深いのは,1964年の東京オリンピックに出場する選手たちに料理を食べてもらったことです。力道山が「リキ・スポーツパレス」という,道場やトレーニングルーム,私が総料理長を務めていた「リキレストラン」などがある施設にレスリングなどのオリンピック選手たちを招き,スタミナをつけてほしいと料理をふるまいました。力道山はオリンピック前に亡くなってしまいましたが,その選手たちはオリンピックで金,銀,銅合わせていくつかのメダルを獲得しました。活躍に貢献できたような気がして,うれしかったですね。 -
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高梨 正信 -
仕事内容
西洋料理を日本人が食べやすい味付けにアレンジ。ボリューム満点の料理を低価格で提供する。
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自己紹介
料理人の仕事が大好きです。じっとしているより,常に動いていたいタイプ。趣味は海外旅行で,世界遺産などを見に行くのが好きです。
おいしいものをお腹いっぱい食べてもらいたい
私のこだわりは,お客さまの立場に立って料理をすることです。私は戦時中に生まれて,幼少期は食べるものが少なく,お腹いっぱい食べることができませんでした。中学生になるころにやっとどうにか食べられるようになったのです。しかしまだ満足に食べられる状況ではなく,お祭りのときに同級生の家で作るおはぎをもらって食べることが一番の幸せでした。その記憶があるので,私の料理はボリューム満点です。お客さまにおいしいものを手ごろな価格で,お腹いっぱい食べてほしいと思っています。
それから,注文を受けてからできるだけ早く料理を提供するようにしています。他のコックさん3人分にも負けないぐらいの,驚くようなスピードで作っています。待ち時間は他の店の半分ぐらいではないでしょうか。長年続けてきたせいで手がフライパンを持つ形に変形してしまいましたが,そんなことは気になりません。店の評判を聞いて遠方からもお客さまが来てくれるので,期待に応えたいと考えながら料理をしています。 -
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高梨 正信 -
仕事内容
西洋料理を日本人が食べやすい味付けにアレンジ。ボリューム満点の料理を低価格で提供する。
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料理人の仕事が大好きです。じっとしているより,常に動いていたいタイプ。趣味は海外旅行で,世界遺産などを見に行くのが好きです。
力道山からのスカウトで「リキレストラン」へ
私が料理の道に進んだのも,料理店に勤めれば,お腹いっぱい食べられると思ったからです。中学校卒業後,両親ともに教師だったため,高校への進学を勧められましたが,料理人になりたかったので,自分で就職先を探して就職しました。
最初に就職したのは「新宿食品」という惣菜店です。その後,日本料理レストラン「銀座大増」や「上野タカラホテル」などで修業しました。そこから引き抜かれて20歳のときにある銀行の,重役の会合などに使われるレストランの料理長になりました。そして,そこで私の料理を食べた力道山に「ぜひ,うちに来てくれないか」と誘っていただき,「リキレストラン」の総料理長になりました。しかし,残念ながら力道山が亡くなり,「リキレストラン」も倒産してしまったのです。そのため25歳で「香港」という中華料理店を買い取り,自分の店を持つことにしました。 -
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高梨 正信 -
仕事内容
西洋料理を日本人が食べやすい味付けにアレンジ。ボリューム満点の料理を低価格で提供する。
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自己紹介
料理人の仕事が大好きです。じっとしているより,常に動いていたいタイプ。趣味は海外旅行で,世界遺産などを見に行くのが好きです。
手と足がうまく動かせなかったけれど,暗算だけは誰にも負けなかった
私は子どものころ,手と足が悪かったので,うまく歩くことができず,ノートを取ることもできませんでした。東京の大きな病院で診てもらいましたが,結局原因がわからず,治らなかったのです。しかし,仕事をするうちに筋肉がついたせいかよくなっていき,自分の店を持つころには,治っていました。子どものころはそろばんも使えず,宿題も字が書けないので出していませんでしたが,その代わり暗算は誰にも負けませんでした。得意になったのは,掛け算の九九が歌のようで,覚えるのが楽しかったからだと思います。暗記力もいいほうでした。
「銀座大増」での修業時代に,尺貫法という日本の単位の測り方からメートル法に変わるタイミングがあったのですが,仕入れる肉の分量などをキログラムに変換する際に,私の暗算能力が役に立ちました。この暗算能力のおかげで,親方のそばに置いていただき,近くで仕事を見ることができました。
また,洋食店を経営していくためには,家賃や光熱費,材料費などの必要な経費を算出し,1日いくら売り上げれば利益を出すことができるのかを計算する必要があります。そういった計算もそろばんや電卓を使わずにすべて暗算でできるので,店の経営にも役立っています。 -
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高梨 正信 -
仕事内容
西洋料理を日本人が食べやすい味付けにアレンジ。ボリューム満点の料理を低価格で提供する。
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自己紹介
料理人の仕事が大好きです。じっとしているより,常に動いていたいタイプ。趣味は海外旅行で,世界遺産などを見に行くのが好きです。
家族が作ってくれる家庭料理が一番すばらしい
料理を食べて「この料理は本物だ」などと言う人がいますが,私は料理に本物も偽物もないと考えています。味と値段が違うだけで,どの料理も本物ですし,すばらしいものだと思います。中でも一番すばらしいのが,家族のために親が作ってくれる家庭料理です。限られた予算内で栄養を考えて,家族の人数分の料理を作ってくれているのですから。そのことへの感謝を忘れずにいてほしいと思います。
それから,スポーツ選手や先生,医者など,なんでもいいのですが,やりたいと思ったことがあれば,その仕事をするための勉強をしっかりすることが大切です。私は自分の子どもたちには,高校以降の学費は自分のアルバイト代で払うように言いました。お金がなかったからではなく,自分で働いたお金で学費を支払うほうが,本気で勉強すると考えたからです。スマートフォンなどのゲームは負けたら簡単にリセットできますが,世の中に出てからの人生はリセットできません。そのためみなさんも,自分の目指すものに向かって真剣に学んでいってほしいと思います。 -