-
- 埼玉県に関連のある仕事人
-
1967年 生まれ
出身地 東京都
-
仕事内容
楽器製造を統括し、楽器の普及活動も行う。
-
自己紹介
オフには自分でもアコーディオンを弾いたり、ハーモニカを吹いたりしています。CDやライブ映像を鑑賞しながら、自身の演奏に取り入れられそうなポイントを探すのも楽しみのひとつです。また、妻と一緒に景色のよい公園や郊外に出かけたりもしています。
-
出身高校
-
出身大学・専門学校
- 【このページに書いてある内容は取材日(2021年11月17日)時点のものです】
-
真野 照久 -
仕事内容
楽器製造を統括し、楽器の普及活動も行う。
-
自己紹介
オフには自分でもアコーディオンを弾いたり、ハーモニカを吹いたりしています。CDやライブ映像を鑑賞しながら、自身の演奏に取り入れられそうなポイントを探すのも楽しみのひとつです。また、妻と一緒に景色のよい公園や郊外に出かけたりもしています。
ハーモニカとアコーディオンを製造・販売する会社
私は「株式会社トンボ楽器製作所」の社長を務めています。トンボ楽器製作所は、ハーモニカとアコーディオンを製造し、販売している会社です。東京都荒川区に本社とショールームがあり、埼玉県戸田市に工場があります。
会社は、1902年に私の曾祖父が設立し、祖父、父、私と4代にわたって続いてきました。本社に併設のショールームには、自社製品だけでなく、イタリアやチェコなどから輸入して販売している他社製のアコーディオンも展示しています。埼玉県戸田市の工場では、楽器の組み立てや調整、仕上げなどを行っています。本社と工場を合わせて、約40名の社員が働いています。
当社では、大きく分けると5種類のハーモニカと3種類のアコーディオンを作っています。
ハーモニカは、横一列に10個の穴が開いている「10ホール・ハーモニカ」、上下2段に穴が開いている「複音ハーモニカ」、通常のハーモニカでは出せない半音階の音を出せる「クロマチック・ハーモニカ」、合奏にぴったりの「アンサンブル・ハーモニカ」、そして、教育現場で使いやすいよう吹きやすさや耐久性などを調整した「教育用ハーモニカ」です。それぞれのタイプのハーモニカに対してさまざまなモデルがありますし、モデルによっては「C」「F」などの音階ごとにも分かれているので、商品の数としてはかなりの数になります。
アコーディオンは、教育用の「合奏アコーディオン」と、「独奏用アコーディオン」を作っています。教育用のアコーディオンは、独奏用のアコーディオンと比べて機能が少なく、習得に時間がかからないため、幼稚園、小学校やシニア向けの合奏団などで利用されています。 -
-
真野 照久 -
仕事内容
楽器製造を統括し、楽器の普及活動も行う。
-
自己紹介
オフには自分でもアコーディオンを弾いたり、ハーモニカを吹いたりしています。CDやライブ映像を鑑賞しながら、自身の演奏に取り入れられそうなポイントを探すのも楽しみのひとつです。また、妻と一緒に景色のよい公園や郊外に出かけたりもしています。
ハーモニカとアコーディオンの普及活動も
私の仕事は、会社の経営に関することや、新製品の開発、普及活動など多岐にわたります。ほかにも、例えば「音が鳴りにくい」といった、製品に関するお客さまからのご意見への対応をしたり、解決策を製造担当の社員と一緒に考えたりすることもあります。
ハーモニカ、アコーディオンの普及活動は、私が社長に就任する前から、会社として大切にしていたことでした。実際、私の祖父はハーモニカ音楽のよさを伝えることを目指し、関東大震災後の慰問演奏やハーモニカ合奏用の編曲などを行う「トンボ・ハーモニカバンド」を1923年に立ち上げています。さらに1927年には、ハーモニカの普及とハーモニカ音楽の地位向上を目指して「全日本ハーモニカ連盟」も設立しました。この連盟は今も続いており、私も副会長として、全国各地にある支部と連携しながら、ハーモニカの国際大会やコンテスト、フォーラムなど、ハーモニカに関するさまざまな情報を発信しています。
また、私自身、コンサートや演奏会といった音楽関連のイベントにも積極的に参加しています。ハーモニカを中心に社員で結成したバンド「トンボバンド」として、工場のある戸田市主催の市民音楽祭「戸田音楽祭」などに出演するほか、私一人でも、ハーモニカやアコーディオン関連のイベントで、実際に演奏を披露する機会は多くあります。 -
-
真野 照久 -
仕事内容
楽器製造を統括し、楽器の普及活動も行う。
-
自己紹介
オフには自分でもアコーディオンを弾いたり、ハーモニカを吹いたりしています。CDやライブ映像を鑑賞しながら、自身の演奏に取り入れられそうなポイントを探すのも楽しみのひとつです。また、妻と一緒に景色のよい公園や郊外に出かけたりもしています。
社員同士の活発なコミュニケーションを生み出すために
社長として大変だと感じているのは、会社というチームをひとつにまとめあげることです。会社の中には、直接お客さまとやり取りをする営業担当や、実際に楽器を作る製造担当など、さまざまな役割の人がいます。「ハーモニカをたくさん売りたい」という気持ちはみな同じですが、「そのためにどうしたらよいか」というところは、立場や職種、人によって考え方が異なる場合もあります。
例えば、営業側が「お客さまの要望だから対応してほしい」と考えることも、製造側の視点で考えてみると、非常に手間がかかる作業で、そこまでの時間と手間はかけられない、といったこともあります。こうしたとき、お互いが納得したうえで仕事を進められるようにしたいと思うのですが、これがなかなか難しいのです。
そこで私が始めたのが、会社内の交流を増やすことでした。そもそも、本社と工場の場所も東京と埼玉で離れていることもあり、社員みんなが顔を合わせて話す時間がほとんどなかったのです。そのため、懇親会やイベントなどを定期的に開催するようにしました。仕事以外に交流する時間をもつことで、社員同士のコミュニケーションがより活発になり、仕事への考え方なども共有しやすくなったのではないかと思っています。ただ、コロナ禍の今はこうした機会を作ることが難しいため、他に何かよい手立てはないかと思案しているところです。社員がひとつにまとまって、より気持ちよく仕事ができるようになるための試みは、これからも考えていきたいと思っています。 -
-
真野 照久 -
仕事内容
楽器製造を統括し、楽器の普及活動も行う。
-
自己紹介
オフには自分でもアコーディオンを弾いたり、ハーモニカを吹いたりしています。CDやライブ映像を鑑賞しながら、自身の演奏に取り入れられそうなポイントを探すのも楽しみのひとつです。また、妻と一緒に景色のよい公園や郊外に出かけたりもしています。
「自社の楽器が誰かを楽しませている」のを感じられるとうれしい
楽器を製造する側にいる者として、自社のハーモニカやアコーディオンを使って奏者が演奏して、お客さんが盛り上がっている様子を目の当たりにすると、やはり大きなやりがいを感じます。
例えば、アメリカのロックミュージシャンのブルース・スプリングスティーンは、トンボ楽器製作所のハーモニカを使っています。彼が、ライブで「The River」という曲のイントロをハーモニカで吹き始めると、会場から割れんばかりの歓声が上がるのです。こうした場面を見ると、「本当にハーモニカを作っていてよかった!」と思います。
また、当社には、世界的なハーモニカ奏者であるリー・オスカー氏と開発した「Lee Oskarモデル」というハーモニカがあります。1983年の発売から、現在は50以上の種類がある人気商品のひとつで、ローリング・ストーンズのボーカル、ミック・ジャガーもこのモデルを使っています。
こうした名だたるミュージシャンの方に製品を使っていただくこともうれしいですが、たとえ上手でなくとも、誰かが当社のハーモニカやアコーディオンで楽しそうに演奏している姿を見ることは、それだけで、とてもうれしいものです。トンボ楽器製作所で作った楽器で誰かが楽しんでくれている、それを実感できるのは、楽器屋冥利につきる瞬間ですね。 -
-
真野 照久 -
仕事内容
楽器製造を統括し、楽器の普及活動も行う。
-
自己紹介
オフには自分でもアコーディオンを弾いたり、ハーモニカを吹いたりしています。CDやライブ映像を鑑賞しながら、自身の演奏に取り入れられそうなポイントを探すのも楽しみのひとつです。また、妻と一緒に景色のよい公園や郊外に出かけたりもしています。
奏者のことを第一に考えた楽器作りを
楽器は、音を奏でる人がいて、初めて価値を持つものです。だからこそ、お客さまの声はとても大切にしています。実際、そうした声をもとに生まれた製品もありますし、既存の製品でも、奏者の方に合わせた細かな微調整なども行っています。例えば、長渕剛さんや「ゆず」の岩沢さんは、当社のハーモニカを使ってくれており、当社では彼らの吹き方に合わせていつも調整をしています。奏者はどんな風に、どんな音を奏でたいのか、どうしたら演奏がしやすいのか。こうした考え方が、トンボ楽器製作所の一番根幹にあるものです。
もうひとつ、大切にしていることは、ハーモニカやアコーディオン演奏の楽しさを、子どもから大人まで、より多くの人に知っていただくことです。よく、「ハーモニカやアコーディオンは難しそう」と言われるのですが、実は2つとも、楽器の中では簡単な部類に入ります。実際、アコーディオンの体験講習会などを行うと、2時間ほどで曲を弾けるようになる方も多くいらっしゃいますし、ハーモニカも息を吹いたり吸ったりするだけで、必ず音が鳴ります。トランペットやフルートなど、音を出すのにも一苦労、という楽器もある中で、これらは決して難しくない楽器なのです。ハーモニカやアコーディオン演奏の楽しさをどんどん発信して、手に取ってくれる方を増やしていきたいと思っています。 -
-
真野 照久 -
仕事内容
楽器製造を統括し、楽器の普及活動も行う。
-
自己紹介
オフには自分でもアコーディオンを弾いたり、ハーモニカを吹いたりしています。CDやライブ映像を鑑賞しながら、自身の演奏に取り入れられそうなポイントを探すのも楽しみのひとつです。また、妻と一緒に景色のよい公園や郊外に出かけたりもしています。
家業を継ぐに至るまで
小さいころから、漠然と自分は家業を継ぐのだと思っていました。とはいえ、大学を卒業してすぐにトンボ楽器製作所に就職したわけではなく、新卒では、全く業種の異なる、不動産関連の企業に就職しました。いずれは、トンボ楽器製作所で働くことも頭にはありましたが、まずは、家業とは関係のない大手企業に入り、会社の仕組みを見てみたかったのです。
就職してから4年ほど経ったとき、当時、トンボ楽器製作所の役員兼工場長だった人が体調を崩したことがありました。そのタイミングで、社長だった父から「そろそろうちの会社に来ないか」と話がありました。私自身も、「そろそろいいかな」と思っていたので、前向きな気持ちで、1993年の終わりにトンボ楽器製作所に入社しました。
入社後、まずは経理部門で会社の財務状況を把握するところからスタートしました。並行して、工場でアコーディオンの作り方を勉強したりもしていましたね。その後、さまざまな実務を経験して、2009年に社長に就任しました。当時はちょうど「リーマンショック」による不景気で売り上げが落ちこんでおり、「このタイミングで社長か……」というのが正直な気持ちでしたが、覚悟を決めて社長としてのスタートを切りました。 -
-
真野 照久 -
仕事内容
楽器製造を統括し、楽器の普及活動も行う。
-
自己紹介
オフには自分でもアコーディオンを弾いたり、ハーモニカを吹いたりしています。CDやライブ映像を鑑賞しながら、自身の演奏に取り入れられそうなポイントを探すのも楽しみのひとつです。また、妻と一緒に景色のよい公園や郊外に出かけたりもしています。
音楽と運動が好きだった少年時代
子どものころは、とにかく音楽と運動が大好きでした。音楽については、父がアコーディオンをよく弾いていて、幼いころからハーモニカやアコーディオンには慣れ親しんでいました。小学校低学年からは、トンボ楽器製作所が運営していたアコーディオン教室に3年間ほど通っていましたし、部活動でトランペットも吹いていました。運動に関しては、野球が大好きで、野球ばかりしていました。
中学でも、音楽と運動を両立したかったので、器楽部と柔道部を兼部していました。中学3年生のとき、国際コンクールで優勝されたアコーディオン奏者のcoba(コバ)さんが、留学先のイタリアから帰国し、教室を開くと耳にし、迷うことなく応募しました。cobaさんは、その演奏スタイルや曲目から「アコーディオンは古いもの」という私のイメージを大きく覆してくれた方でした。cobaさんがいなければ、私はアコーディオンを弾いていなかったかもしれません。
高校3年間、cobaさんのもとでアコーディオンを習いましたが、彼の行動力や発想力には驚かされるばかりでした。プライベートでもとてもよくしていただき、当時ナポリタンやミートソースしかなかった時代に、他のスパゲッティのおいしさを教えてくれたのも、cobaさんでしたね。今の私の演奏スタイルに大きな影響を与えてくれた、とても尊敬している奏者の一人です。 -
-
真野 照久 -
仕事内容
楽器製造を統括し、楽器の普及活動も行う。
-
自己紹介
オフには自分でもアコーディオンを弾いたり、ハーモニカを吹いたりしています。CDやライブ映像を鑑賞しながら、自身の演奏に取り入れられそうなポイントを探すのも楽しみのひとつです。また、妻と一緒に景色のよい公園や郊外に出かけたりもしています。
楽器で人生をもっと楽しく
思い返してみると、私の子ども時代は「とても楽しかった」と言い切ることができます。進学のために勉強もしましたが、好きなことも存分に楽しみました。こうした経験を経て感じるのは、音楽でも運動でも、何かひとつでも打ちこめるものがあれば、人生はとても面白く、彩りあるものになるということです。私の場合、音楽や運動を通して、今も付き合いのあるような、かけがえのない友達も多くできました。何もしないまま、だらだらと毎日を過ごすのではなく、自分の好きなこと、興味のあることを見つけて、とことん打ちこんでみてください。
もうひとつ、みなさんにお伝えしたいのは、「楽器を奏でられること」は必ず人生を豊かなものにしてくれるということです。楽器が弾ける人生は、とても楽しいものですよ。もちろん、楽器は何でも構いませんが、もしよければ、ぜひ、ハーモニカを体験してみてほしいと思います。ハーモニカは、楽器の中でも安い値段で始められますし、決して難しくありません。ポケットなどにもすっぽり入るので、どこにでも持っていけます。気が向いたら、ぜひハーモニカを手に取ってみてください。 -