-
- 福井県に関連のある仕事人
-
1973年 生まれ
出身地 福井県
-
仕事内容
漆器 に金粉や銀粉で絵を描 いて華 やかに仕上げる。 -
自己紹介
人見知りしない
性格 で,年齢 問わずすぐ仲良くなります。趣味 は料理で,高校生の息子に好評 なのは,担々麺 や春巻 きです。 -
出身高校
-
出身大学・専門学校
- 【このページに書いてある内容は取材日(2017年05月30日)時点のものです】
-
まきえし蒔絵師
山口 明子 -
仕事内容
漆器 に金粉や銀粉で絵を描 いて華 やかに仕上げる。 -
自己紹介
人見知りしない
性格 で,年齢 問わずすぐ仲良くなります。趣味 は料理で,高校生の息子に好評 なのは,担々麺 や春巻 きです。
漆器 をより美しく仕上げる「蒔絵 」私 は漆器 に蒔絵 をする,「蒔絵 師 」という仕事をしています。「蒔絵 」や「漆器 」って,みなさんにはあまり聞きなれない言葉かもしれませんね。木製 のお椀 やお皿に,漆 という木から出る樹液 を塗 り,水に強く丈夫 にするという,日本古来の技術 で作るのが「漆器 」です。そこに金粉や銀粉を使って絵や文字を描 くことを「蒔絵 」といいます。
漆器 は完成するまでに,木を彫 ってお椀 などをつくる「木地師 」,それに漆 をムラなく塗 る「塗 り師 」など,たくさんの人たちが関わっていますが,私 たち「蒔絵 師 」が担当 するのは最後の仕上げの部分。蒔絵 をすることで漆器 がより華 やかになるんです。絵柄 として多いのは,桜 や紅葉 などの植物や,蝶 や鳥などの動物ですね。
最近では漆器 だけではなく,漆 を塗 った髪飾 りやペンダントなどの雑貨 にも蒔絵 をすることが増 えました。他にもべっ甲 で出来たメガネや腕 時計のベルト,琥珀 で出来たブローチなど,変わった素材 に蒔絵 をすることも多いです。私 は,大量生産するたくさんの製品 に同じ絵を描 く注文ではなく,「この髪 留 めにこんな絵を描 いてほしい」という「一点もの」を頼 まれることがほとんどですね。 -
-
まきえし蒔絵師
山口 明子 -
仕事内容
漆器 に金粉や銀粉で絵を描 いて華 やかに仕上げる。 -
自己紹介
人見知りしない
性格 で,年齢 問わずすぐ仲良くなります。趣味 は料理で,高校生の息子に好評 なのは,担々麺 や春巻 きです。
約2か月かけて1つの物を作り上げる
私 は自宅 の一室を作業場として使っています。同時にいくつもの注文を受け,並行 して仕事を進めるのが普通 です。1つの仕事を終えるのにかかるのは,だいたい2か月くらい。注文を受けたら,まず「美濃紙」という薄い紙に下絵を描いていきます。下絵が完成したら,蒔絵 をするお椀 やペンダントにその紙を置いて,漆 でなぞって転写します。そこからいよいよ蒔絵 を始めます。漆 は接着剤 みたいな役割 もあって,塗 ってから金粉を蒔 くと,塗 った部分に粉がくっつきます。ちょうど砂絵 のような感じですね。
蒔絵 には基本 的な技法 がいくつかあります。例えば,漆 を盛 り上げるように塗 ってから金粉を蒔 いて立体的に仕上げる技法 の「高蒔絵 」などです。私 の場合は,どんな技法 を使うかや,塗 る色,模様 の濃淡 などは作業をしながら決めていくことが多いです。
蒔絵 では一つの工程 ごとに漆 を乾 かします。普通 は「乾 かす」というと水分をなくして乾燥 させることですが,漆 は逆 に水分を吸 うと乾 いて固まる性質 があります。70から80%の湿度 と約25度の気温とを保 つ必要があり,これより低いと乾 かないし,逆 に高すぎてもツヤが出ません。他にも,使う漆 は接着剤 用やツヤ出しのコーティング用など,用途 によって硬 さを調整します。細かなところに技術 と経験 が必要になってくるんです。 -
-
まきえし蒔絵師
山口 明子 -
仕事内容
漆器 に金粉や銀粉で絵を描 いて華 やかに仕上げる。 -
自己紹介
人見知りしない
性格 で,年齢 問わずすぐ仲良くなります。趣味 は料理で,高校生の息子に好評 なのは,担々麺 や春巻 きです。
悩 みが大きいほど,出来上がったときの達成感も大きい最近の仕事で印象に残っているのは,
腕 時計の文字盤 に蒔絵 をしたものです。最初に「これを文字盤 に描 いてほしい」と,江戸 時代の有名な絵師 である葛飾 北斎 の絵を見せられました。「これはおもしろい」とやる気になったものの,文字盤 の小さなスペースに絵をどのように美しくデザインするのか,とても悩 みました。しばらくは生活の中で何をするときでも北斎 の絵のことを考えていたほどです。下絵を転写するときも小さな文字盤 からずれないようにして気をつかい,また蒔絵 も細かい作業が多く,失敗したらやり直しがきかないので,緊張 の連続でした。そうして苦労して出来上がった文字盤 を納 め,そこに針 やネジ,ベルトがついた完成品を見るととても美しい仕上がりで,「この時計を作る過程 に関われたんだ!」と感動しました。たくさん悩 めば悩 むほど,出来上がったときの達成感も大きいです。 -
-
まきえし蒔絵師
山口 明子 -
仕事内容
漆器 に金粉や銀粉で絵を描 いて華 やかに仕上げる。 -
自己紹介
人見知りしない
性格 で,年齢 問わずすぐ仲良くなります。趣味 は料理で,高校生の息子に好評 なのは,担々麺 や春巻 きです。
チャレンジする毎日が,最近は楽しくなってきた
やったことのない
素材 に蒔絵 をする場合,今までのやり方が通用しないことがあります。琥珀 という素材 に木と同じ技法 で漆 を塗 ったら,光沢 が出ずに失敗してしまい,せっかくの蒔絵 をイチからやり直すはめになったことがあります。初めての素材 だと,どの技法 を使ったら美しく仕上がるのか分からないんです。やってみたらうまくいかなくて,技法 を変えてみて,またうまくいかなくて…の繰 り返し。だけどそんなふうに,今までに蒔絵 をしたことがない素材 や,細かい作業が多く難 しそうな仕事の話が来ると,最近は「これでまた勉強させてもらえる」とポジティブに考えられるようになりました。昔は「うまくいかなかったらどうしよう」と不安になることが多かったのですが,今は「とにかくやってみよう,何とかなる」と楽しんでやっています。そういう難 しい仕事をすることによって,自分が少しずつ成長していけることがうれしいんです。 -
-
まきえし蒔絵師
山口 明子 -
仕事内容
漆器 に金粉や銀粉で絵を描 いて華 やかに仕上げる。 -
自己紹介
人見知りしない
性格 で,年齢 問わずすぐ仲良くなります。趣味 は料理で,高校生の息子に好評 なのは,担々麺 や春巻 きです。
下絵は手書きで仕上げる
作業の中で一番大変なのは,
漆器 に対してどんな蒔絵 をするのか,その絵柄 をデザインする「図案化」です。自分が納得 できる図柄 にたどり着くまで,何枚 も下絵を描 きます。私 はもともと絵が得意ではないので,下絵が完成するまでに他の人よりも時間がかかり,大きな作品や複雑な模様だと1か月くらいかかることもあります。
下絵を,立体的で躍動感 のあるものに仕上げるために大事なのは「下調べ」です。図案化に取りかかる前に,これから描 く植物や動物などの写真集をなるべくたくさん見て,本物の特徴 を捉 えるようにしています。最近は仏像 を蒔絵 する依頼 があったので,仏像 に関する本や写真集を読み漁っています。時間があれば本物を見るために京都や奈良 へ行きたいんですが…。もともと仏像 にはあまり興味 はありませんでしたが,こうやって仕事を通して自分の興味 の幅 が広がっていくのも楽しみのひとつです。
手書きで下絵を描 くのも私 のこだわりです。時にはパソコンでデザインされた下絵で蒔絵をすることもあります。だけど、パソコンだとどうしても無機質 で直線的な絵になって温かみがない気がするし,何より手で描 いた方が躍動感 のあるものに仕上がると思うんです。 -
-
まきえし蒔絵師
山口 明子 -
仕事内容
漆器 に金粉や銀粉で絵を描 いて華 やかに仕上げる。 -
自己紹介
人見知りしない
性格 で,年齢 問わずすぐ仲良くなります。趣味 は料理で,高校生の息子に好評 なのは,担々麺 や春巻 きです。
輪島市での
修行 は,特別な時間だった私 の父も蒔絵 師 だったので,その跡 を継 ぐことが当たり前だと思っていました。蒔絵 師 になる人のほとんどは,本職 の師匠 に弟子入りして仕事を手伝いながら修業 します。私 の場合は石川県立輪島漆芸 技術 研修 所に入りました。ここは漆器 や輪島塗 に関する伝統 技術 を学べる学校のような所で,入学金や授業料 はかかりませんが,基本 的な技術 が身についているかテストする入学試験があります。通常 は5年間通う必要があります。最初の2年で基礎 を学び,そこで木地師 になるのか塗 り師 になるのかといった進路を決めるんです。しかし,私 は最初から蒔絵 師 になると決めていたし,高校生のころから父の手伝いをしていて基礎 もあったので,専門 課程 の3年だけ学びました。
研修 所では,華道 や茶道などの授業 もあるのですが,漆器 を実際 に使ってみることで,器のどの部分にどんな絵柄 があると華 やかに見えるかが分かりました。そんなふうに漆器 に関することを広く学べる学校でした。卒業した後は,石川県輪島市の蒔絵 師 のもとで約8年修業 し,福井 に戻 ってきて,父が仕事をしていた実家の工房 で蒔絵 を始めました。福井 県内にも鯖江 市河和田 という漆器 の産地があるのですが,輪島で学んだ技法 をそのまま福井 でやっている私のようなケースは珍しいようです。また、もっと上の世代の男性職人が多い中で、私ぐらいの年代で蒔絵を本業にしている女性は少なく、その感覚を評価してくれて注文をしてくれることが多いです。 -
-
まきえし蒔絵師
山口 明子 -
仕事内容
漆器 に金粉や銀粉で絵を描 いて華 やかに仕上げる。 -
自己紹介
人見知りしない
性格 で,年齢 問わずすぐ仲良くなります。趣味 は料理で,高校生の息子に好評 なのは,担々麺 や春巻 きです。
淡々 と同じことに取り組むのが好きだった実は,小さいころから絵を
描 くことは苦手でした。だけど手先は器用だったと思います。細かい作業をコツコツするのも好きでしたね。同じ作業を繰 り返し続けることも苦にはなりませんでした。現在 は,細い筆を使って蒔絵 をすることがあるのですが,そうした細かな作業も嫌 いではありません。
高校生の時は部活動で弓道をしていて,筋 トレや弓を引く動作など,同じことを繰 り返しやる反復 練習が多かったのですが,それも楽しく取り組んでいました。「一回こうやって失敗したけれど,次はこうしたらうまくいくかもしれない」なんて考えながら少しずつ動作を改善 すると,結果,うまくいくことが嬉 しいんです。そういう面では,基礎 的なことを繰 り返して学びながら,少しずつ成長していく今の仕事に繋 がることがあるのかもしれません。 -
-
まきえし蒔絵師
山口 明子 -
仕事内容
漆器 に金粉や銀粉で絵を描 いて華 やかに仕上げる。 -
自己紹介
人見知りしない
性格 で,年齢 問わずすぐ仲良くなります。趣味 は料理で,高校生の息子に好評 なのは,担々麺 や春巻 きです。
どんなことでも,まずはやってみてほしい
みなさんには「大変なことから
逃 げずに,とりあえずやってみる」ことを大切にしてほしいと思います。仕事を始めてから思うのは,仕事や勉強に限 らず,どんなことでも目標に向かってあきらめないのが大事だということ。今までの注文の中には,最初は「絶対 に無理!」と思うものがいくつもありましたが,いざ始めてみたら案外何とかなるんです。眠 れないくらい悩 んだこともありましたが…。
単にラクをしようと思ったらどんどんそっちに流れてしまい,その結果いいものは絶対 に生まれません。大変なことでもまずはチャレンジしてみるのが,成長する鍵 だと思います。どんな仕事でも大変なことや辛 いことはあると思うけれど,頑張 れば最後には満足感や達成感が得られます。時間だけが過 ぎていって何も得られないというのは,生きていてもったいないなあと思うので。 -