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- 東京都に関連のある仕事人
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1976年 生まれ
出身地 東京都
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大内 順司 -
仕事内容
毎日走る電車を安全にお客さまのもとへ導くため、軌道(線路)の点検や整備を行う。
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自己紹介
難しいことには何にでもチャレンジしたがる性格で、うまくできたときの達成感が好きです。休日はおいしい料理を食べながらお酒を飲むのが好きです。
電車を安全かつ快適に走行させるために線路を整備する
私は和道工業株式会社という会社で、軌道工のチームのリーダーとして働いています。みなさんは軌道工という仕事を知っていますか?軌道というのは、線路のことです。厳密には少し違いがあるのですが、線路のことだと思ってもらって問題ありません。私たち軌道工は、鉄道会社から依頼を受け、電車が安全に走行できるよう、線路の点検や整備などを行う、専門の職人です。日本の重要なインフラである電車の安全を守るのが、私たち軌道工の仕事です。
和道工業では主に、東京と千葉を結ぶ京成線および北総線の軌道工事を行っています。軌道工事にはさまざまな仕事がありますが、なかでもメインとなるのが軌道整備の作業です。電車は2本のレールの上を走行していますが、そのレールを支えるために、「枕木」と呼ばれる部材を等間隔で並べて補強し、その下に、線路の荷重を地盤に分散させるための砕石を敷き詰めています。こうした構造によって、電車は重さを支えられ、安定して走ることができます。
電車はたくさんの乗客を乗せて線路の上を走行しますが、何百トンもある電車が毎日何回も走行しているうちに、砕石は細かく砕けていき、枕木やレールは劣化していきます。すると、次第にレールの左右の高さがずれたり、線路にずれやゆがみが生じたりしてしまいます。電車に乗っているとき「ガタンゴトン」という音を聞いたことがあると思いますが、あの音もレールのつなぎ目がずれて起こるものです。ずれが大きいと揺れや音が大きくなり、乗り心地も悪くなってしまいます。私たちは安全に、かつ乗り心地がよい状態で電車を走行させるために、日々、そうしたずれやゆがみをミリ単位で整備しているのです。目立たない仕事ですが、電車を安全に走らせるという、非常に大切な役割を担っています。 -
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大内 順司 -
仕事内容
毎日走る電車を安全にお客さまのもとへ導くため、軌道(線路)の点検や整備を行う。
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自己紹介
難しいことには何にでもチャレンジしたがる性格で、うまくできたときの達成感が好きです。休日はおいしい料理を食べながらお酒を飲むのが好きです。
長く重たいレールを、息を合わせて交換する
主に鉄で作られているレールは、電車が何度も走行するうちに少しずつ擦り減り、傷がついていきます。また、鉄は気温の変化にも影響されやすい素材で、夏は暑さで伸び、冬は寒さで縮む性質があるため、レールがゆがんだり、ひび割れたりすることがあります。こうした事態を防ぐため、私たちは擦り減ってしまったレールを新しいレールに交換する作業を定期的に行っています。
レール交換の際は、まず交換が必要なレールの長さを正確に測り、その長さに合った新しいレールを用意します。現在、日本の線路で主に使用されている「50kgNレール」や「60kgレール」と呼ばれるレールは1本25メートルで、1メートルあたりの重さが約50~60キログラムと、とても重たいものです。レールは溶接してつなげ、200メートル以上もの長さにすることもあるため、とても人の力だけでは動かすことができません。
そこで、現場ではレール山越器という装置を何台も使い、レールをチェーンで吊り下げて移動させています。例えば300メートルのレールの場合、レール山越器を20台以上使って1本のレールを持ち上げます。レール山越器は1台につき1人の作業員が操作するので、20人以上で息を合わせて一気に持ち上げ、交換作業を進めていきます。交換するレールが長くなるほど、必要な人手も増えるため、チームワークが問われる作業です。 -
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大内 順司 -
仕事内容
毎日走る電車を安全にお客さまのもとへ導くため、軌道(線路)の点検や整備を行う。
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自己紹介
難しいことには何にでもチャレンジしたがる性格で、うまくできたときの達成感が好きです。休日はおいしい料理を食べながらお酒を飲むのが好きです。
自分が敷いたレールの上を電車で通過するときの達成感
新しい線路を敷く敷設作業も、軌道工の大切な仕事の一つです。現在、私たちは京成線の京成立石駅付近で、踏切の高架化に向けた新しい線路の敷設工事をしています。現在は地上に線路があり、踏切が設置されています。しかし、駅付近の踏切が閉じている時間が長いため、車や人の通行に支障が出て、交通渋滞の原因になっています。踏切によるこの交通渋滞をなくすため、線路を高架に切り替え、道路の交通をスムーズにする工事が進められています。
新しい線路の敷設が完了したら、それまで使われてきた線路から新設した線路へと電車のルートを切り替える「切替工事」も行います。工事は電車の終電から始発までの間の限られた時間内で行われるため、まさに時間との勝負です。そのため、100人から200人の作業員が現場に集まり、とても大規模な作業になります。安全に進めるためには、きめの細かい準備とチームの連携が欠かせません。その分、無事に完了したときには大きなやりがいと達成感を味わうことができます。
短時間で一つの目標をやり遂げるために、全員が力を合わせて集中して挑んだ結果の一体感こそが、軌道工の大きなやりがいの一つだと思います。プライベートで、自分が工事を担当した線路の上を電車で通過することもありますが、そのときは心の中で「やりきったな」と誇らしい気持ちになります。 -
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大内 順司 -
仕事内容
毎日走る電車を安全にお客さまのもとへ導くため、軌道(線路)の点検や整備を行う。
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自己紹介
難しいことには何にでもチャレンジしたがる性格で、うまくできたときの達成感が好きです。休日はおいしい料理を食べながらお酒を飲むのが好きです。
少しのずれも許さず、正確に作業を行うことが大事
レール交換や線路の敷設の際には、レールに穴を開ける機械でレール同士をつなげるためのボルトを入れる穴を開けたり、レールを切断するための機械を使用して、レールを切って長さを調節したりなどして、レールの加工を行います。例えば、10メートルのレールを敷く場合、10メートルぴったりの長さにレールを切断します。しかし、切断時に寸法を短い方に少しでも間違えてしまうと、レール同士を接続する際に隙間ができてしまい、せっかく切断したレールが使い物にならなくなってしまいます。レールの切断や穴開け作業はすべて、やり直しのきかない一発勝負。特に気を抜けない、緊張感のある作業です。レールが寸法どおりに切断でき、敷設する際にスポッときれいに収まったときは、「うまくいってよかった」と心からほっとします。
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大内 順司 -
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毎日走る電車を安全にお客さまのもとへ導くため、軌道(線路)の点検や整備を行う。
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自己紹介
難しいことには何にでもチャレンジしたがる性格で、うまくできたときの達成感が好きです。休日はおいしい料理を食べながらお酒を飲むのが好きです。
現場作業は段取りが9割!事前準備がなにより大事
作業は主に平日の深夜、終電から始発電車が発車するまでの時間に行われています。夜の現場は視界が悪く、さまざまな危険が伴うため、気を抜くことはできません。だからこそ、安全かつ確実に作業を進めるためには、昼間のうちにしっかりと準備をしておくことがなによりも重要です。私は常に、「段取りが9割、作業が1割」という意識を持って仕事に取り組んでいます。事前の準備が不十分だと、現場での作業が滞り、混乱を招く原因になってしまいます。一方で、段取りが万全であれば、作業中にも安全面に配慮する余裕が生まれます。限られた時間の中で確実に作業を終えるためには、やはり準備がすべての鍵を握っていると感じます。
また、チームで作業を進める上で、チームのリーダーである私が特に大切にしているのは、「率先して自分が動くこと」です。自分が手を止めてしまうと、周囲の士気にも影響が出てしまいます。だからこそ、現場では自ら先頭に立って動き、仲間のやる気を引き出すことを常に心がけています。それが、リーダーとして果たすべき大切な役割だと考えています。 -
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大内 順司 -
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毎日走る電車を安全にお客さまのもとへ導くため、軌道(線路)の点検や整備を行う。
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幼いころから培ってきた忍耐力が今の自分を作っている
軌道工は時に忍耐力も必要な仕事ですが、子どものころや学生時代に身につけた忍耐力が今の仕事に生きていると感じることがあります。私は小さいころからいろいろなことにチャレンジしたがる性格でした。友達と一緒に、度胸試しとして高いところからぶら下がってみるなど、物おじせずやんちゃなことばかりしていましたね。そんな小学生のころ、地元のボーイスカウトに入って活動していました。なかでも一番の思い出は、全国のボーイスカウトが一堂に会するキャンプ大会です。4年に1度行われるこの大会では、1週間の野外活動の中で、火のおこし方をはじめとしたサバイバル訓練をたくさん経験し、心も体も大きく鍛えられました。
中学時代は水泳部、高校時代はサイクリング部と、中学、高校ともにスポーツ系の部活に入っていました。特に印象に残っているのが、サイクリング部の合宿で、富士山の五合目まで自転車で登った経験です。平らな道が一切ない富士山の山道を、ひたすら自転車で登り続けるという、とても過酷な挑戦でした。先輩や後輩とともに走っていく中で、「諦めたくない」という気持ちが次第に強まっていき、約29キロメートルの山道を登りきりました。まさに自分との戦いだったと思います。 -
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大内 順司 -
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毎日走る電車を安全にお客さまのもとへ導くため、軌道(線路)の点検や整備を行う。
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線路を整備する仕事に魅力を感じ、軌道工の道へ
私が軌道工という仕事を知ったのは、高校生のときです。「鉄道業界なら安定していそうだから」という理由から、鉄道について学ぶカリキュラムがある高校に進学しました。そこで鉄道についてさまざまなことを学んでいたのですが、改めて自分の将来について考えた際に、自分がスーツや制服を着て仕事をしている姿がどうしてもイメージできないことに気がつきました。それよりもヘルメットや作業着を身に着けて、現場で体を動かしながら作業をする仕事の方が、自分には合っているのではないかと考えたのです。そこで、「鉄道業界でもそのような仕事があるのだろうか」と調べたときに出会ったのが、軌道工という仕事でした。
高校卒業と同時に和道工業に入社したのですが、最初の1年はとても大変でした。軌道工の仕事は、レールを敷く作業、枕木の交換、砕石の敷設など、多岐にわたります。使う道具も多種多様で、それらを覚えるのも一苦労でした。ですが、一つのことを突き詰めるというよりも、いろいろな作業ができることが、私には向いていたのだと思います。3年目になり、仕事の流れもつかめるようになると、どんどん軌道工の仕事の魅力にのめり込むようになりました。それ以来約30年、ずっと軌道工の仕事を続けています。 -
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大内 順司 -
仕事内容
毎日走る電車を安全にお客さまのもとへ導くため、軌道(線路)の点検や整備を行う。
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自己紹介
難しいことには何にでもチャレンジしたがる性格で、うまくできたときの達成感が好きです。休日はおいしい料理を食べながらお酒を飲むのが好きです。
鉄道業界にはたくさんの仕事があることを知ってほしい
電車に関わる仕事というと、みなさんがまず思い浮かべるのは車掌や運転士など、鉄道業界の花形といわれる職業かもしれません。ですが、実はそれ以外にも、鉄道業界にはたくさんの仕事があります。私たちのような、線路の点検や修理を行う軌道工をはじめ、車両のメンテナンスをする人、電車や駅に電力を供給する設備の管理をする人など、たくさんの人々が鉄道業界を支えています。それらは目立たない仕事だと思うかもしれませんが、電車がたくさんの人を乗せて、毎日安全に走行するためにはどの仕事も欠かせません。いわば縁の下の力持ちです。将来、電車に関わる仕事をしたいと考えている方がみなさんの中にいたら、こうしたたくさんの選択肢があることをぜひ知ってほしいです。
「軌道工」という仕事は、あまり知られていない仕事です。線路の点検や修理は夜中に行うことが多いですし、軌道工事を専門的に学べる学校などもないので、知ってもらえる機会がなかなかないのです。こうした現状を少し寂しく思うこともありますが、より多くの人にこの仕事の魅力や意義を知ってもらえるよう、積極的に発信していきたいと考えています。軌道工を目指す人が少しでも増えてくれたらうれしいです。 -