仕事人

社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!

埼玉県に関連のある仕事人
1979年 生まれ 出身地 埼玉県
りがくりょうほうし理学療法士
笠井かさい 健治けんじ
子供の頃の夢: 大工
クラブ活動(中学校): バレーボール部
仕事内容
身体機能きのう)回復かいふく)や社会復帰ふっき)支援しえん)する
自己紹介
身体を動かすことが好きで,人見知りをしない性格(せいかく)です。本や映画(えいが)も好きですが,最近はあまり時間を取れていません。家には3人の子どもがいて,一緒(いっしょ)に遊ぶのが楽しいです。これからは家族でたくさんキャンプに行きたいと思っています。

※このページに書いてある内容は取材日(2016年09月01日)時点のものです

身体機能(きのう)回復(かいふく)支援(しえん)し,社会復帰(ふっき)につなげる

身体機能の回復を支援し,社会復帰につなげる

(わたし)埼玉(さいたま)総合(そうごう) リハビリテーションセンターという病院で,理学療法士(りがくりょうほうし)として働いています。 「理学療法士(りがくりょうほうし)」というのは, 患者(かんじゃ)さんのリハビリテーション(リハビリ)を(ささ)える仕事です。 身体に病気やケガがあって,不自由な状態(じょうたい)になった患者(かんじゃ)さんの回復(かいふく)をサポートして, 社会復帰(ふっき)へつなげていきます。 運動やマッサージ,電気刺激(しげき)など, いろいろな手段(しゅだん)を使って,主に, 患者(かんじゃ)さんの「歩く・立ち上がる・(すわ)る」などの 基本(きほん)的な運動機能(きのう)や, 筋力(きんりょく),バランス, 柔軟(じゅうなん)(せい)改善(かいぜん)支援(しえん)します。 (わたし)は病院で理学療法(りがくりょうほう)を行っていますが, 理学療法士(りがくりょうほうし)は,介護(かいご)現場(げんば)など, 病院以外の場所でも活躍(かつやく)しています。病院以外では,身体機能(きのう)維持(いじ)や, ケガの予防(よぼう)といった分野に関わります。

幅広(はばひろ)知識(ちしき)で,さまざまな患者(かんじゃ)さんに対応(たいおう)する

幅広い知識で,さまざまな患者さんに対応する

患者(かんじゃ)さんには,入院患者(かんじゃ)さんと家から病院へ通ってくる外来患者(かんじゃ)さんがいて,(わたし)は外来患者(かんじゃ)さんの担当(たんとう)です。午前9時から午後5時までリハビリを行い,1人の患者(かんじゃ)さんの1回の治療(ちりょう)は40分から60分くらいです。1日に平均(へいきん)で8人ほどの患者(かんじゃ)さんを担当(たんとう)します。 リハビリの内容(ないよう)はさまざまです。筋力(きんりょく)をつけるためのトレーニングや,関節の柔軟(じゅうなん)(せい)改善(かいぜん)するための運動を行うほか,歩くことが(むずか)しい方には歩行練習や,車いすを操作(そうさ)する練習なども行います。必要であれば,(つえ)や車いすなどの福祉(ふくし)用具を選ぶ手助けもします。 現在(げんざい)(わたし)担当(たんとう)している患者(かんじゃ)さんは20人から30人くらいですが,(かか)えている病気やケガはさまざまです。(わたし)たちは「内科」や「外科」のように分かれているわけではないので,いろんな病気やケガを(かか)えた患者(かんじゃ)さんに対応(たいおう)しなければいけません。ですから,求められる知識(ちしき)範囲(はんい)がすごく広いんです。もう14年,この仕事をしていますが,いまだに「その病気,どういう病気?」ということがたまにあります。

(つね)に勉強し続けることが必要

常に勉強し続けることが必要

医療(いりょう)技術(ぎじゅつ)日々(ひび),進歩するので,勉強して,(つね)に最新の知識(ちしき)を得ておく必要があります。最近ではインターネットで調べてくる患者(かんじゃ)さんもいます。「患者(かんじゃ)さんは知っていても,理学療法士(りがくりょうほうし)が知らない」なんていうことになったら(こま)りますよね。だから,理学療法士(りがくりょうほうし)という仕事は,「ここまで学んだら,あとはずっとできる」という仕事ではありません。(つね)に勉強し続けていく必要があります。 また,(わたし)はリハビリに加えて,研究活動もしています。これは理学療法士(りがくりょうほうし)が全員しているわけではありません。でも,(わたし)は深く学びたかったので,理学療法士(りがくりょうほうし)として働きながら夜間の大学院に通い,修士号(しゅうしごう)を取りました。現在(げんざい)は「パーキンソン病」という病気のリハビリについて研究をしていて,論文(ろんぶん)を書いたり,学会で発表したりもしています。論文(ろんぶん)をまとめたりするのはリハビリが終わってからの時間にしかできませんし,休日に勉強会や研修会(けんしゅうかい)があったりもするので,(いそが)しい日々(ひび)です。でも,リハビリの現場(げんば)(たずさ)わりながら研究もできるので,私自身(わたしじしん)充実感(じゅうじつかん)を感じています。

思い通りに患者(かんじゃ)さんの(いた)みを消せたら「よしっ!」

思い通りに患者さんの痛みを消せたら「よしっ!」

患者(かんじゃ)さんに「ありがとう」と言ってもらえると,うれしいですね。(つか)れることや(いた)いことをして,なおかつ「ありがとう」と言ってもらえる仕事は,他にはあまりないんじゃないでしょうか。目の前の患者(かんじゃ)さんからダイレクトに反応(はんのう)があるので,やりがいは大きいですよ。 自分の知識(ちしき)を使って,患者(かんじゃ)さんの(かか)えている問題を解決(かいけつ)できたときには,「この仕事は面白い」と感じます。例えば,これは実際(じっさい)にあったことですが,ある時,「(こし)(いた)い」という患者(かんじゃ)さんが来られました。姿勢(しせい)(すわ)り方を見たり,仕事の内容(ないよう)を聞いたりして,(わたし)なりに原因(げんいん)を考え,「じゃあ椅子(いす)の高さを5センチ変えてみてください。あと,5分に1回,(こし)をぐっと起こしてください」というアドバイスをしました。そうすると,1週間後に来た患者(かんじゃ)さんが,「まったく(いた)くなくなりました。ありがとう」と言ってくれたんです。こういうときは「よしっ!」という気持ちになりますね。学んできた知識(ちしき)を使って,自分で考えたことが良い結果につながって,患者(かんじゃ)さんが喜んでくれると,最高にうれしいです。

一人ひとり(ちが)う,患者(かんじゃ)さんの望みに()りそう

一人ひとり違う,患者さんの望みに寄りそう

患者(かんじゃ)さんは一人ひとり,人柄(ひとがら)(ちが)いますし,目標や望むことも(ちが)います。だから,「ここの(ほね)が折れた人だから,こうすればいいんだよね」というようにはいきません。同じケガをしても,人によって(いた)さの感じ方も(ちが)いますし,(わたし)が同じ(しゃべ)り方をしても,笑う人もいれば(おこ)る人もいます。そうした,一人ひとり(ちが)患者(かんじゃ)さんの,一人ひとり(ちが)う望みに()りそうことを,いつも意識(いしき)するようにしています。 この仕事に()れて,いろいろなケースを見てくると,患者(かんじゃ)さんの望みから目標を設定(せってい)するのではなく,こちらで設定(せってい)した目標を,患者(かんじゃ)さんに当てはめてしまいたくなることもあります。そうしたほうが楽ではあるのですが,患者(かんじゃ)さんの満足からは(はな)れてしまいます。だから,そうならないよう,「リハビリというのは,その人のために,その人がやるもので,どこまでやるかを決めるのは,あくまで患者(かんじゃ)さん」ということを(わす)れないように心がけています。

図書室で見つけた進路

図書室で見つけた進路

高校時代,(わたし)が通っていた高校の近くに,(しょう)がい(しゃ)の人たちのための交流センターがありました。(だれ)でも利用できる施設(しせつ)だったので,受験が近くなってくると,放課後,その施設(しせつ)の図書室で勉強するようになったんです。施設(しせつ)性格上(せいかくじょう),図書室にはリハビリ関係や,(しょう)がい(しゃ)権利(けんり)についての本などが(なら)んでいたのですが,勉強の合間にそうした本を何となく手に取るようになり,そこで初めて「理学療法士(りがくりょうほうし)」という仕事に出会いました。「こういう仕事があるんだ!」と思いましたね。交流センターには,身体に(しょう)がいのある人たちがたくさん歩いていて,そうした人たちの役に立てる仕事はやりがいがありそうだと感じました。また,幅広(はばひろ)くいろいろな病気やケガを(あつか)うという点も,面白そうだと思いました。 これが高校3年生のときで,高校では文系(ぶんけい)コースにいたのですが,どうしても理学療法士(りがくりょうほうし)になりたかったので,先生に言って理系(りけい)コースに(うつ)ったんです。その後,一年は浪人(ろうにん)することになってしまいましたが,翌年(よくねん),大学の理学療法(りがくりょうほう)学科に無事合格(ごうかく)し,理学療法士(りがくりょうほうし)への道が開けました。

運動が好き,本を読むのも好き

運動が好き,本を読むのも好き

小さいころから,運動は好きでした。小学校ではサッカー,中学校ではバレーボール,高校ではラグビーと,団体(だんたい)球技(きゅうぎ)をずっとやっていました。特に,高校のときに入っていたラグビー部は(きび)しくて,(きた)えられました。練習はきつかったのですが,負けるのは(いや)なので,必死にがんばって練習をしました。だから,ラグビー部での経験(けいけん)はとても印象に残っていますね。団体(だんたい)でやるスポーツなので,人とコミュニケーションを取る力もつきましたし,がんばって何かに打ちこんだ経験(けいけん)は,今,仕事をするうえでも役立っています。 また,運動だけでなく,本を読むのも好きでした。マンガでも,手塚治虫(てづかおさむ)のように,少し(むずか)しいものが好きで,小説でも,志賀(しが)直哉(なおや)の『()(さき)にて』のようなものを,ちょっと背伸(せの)びして読んでいました。知らないことを知るのは好きでしたし,今でもそこは変わっていないと思います。

体を動かし,本を読もう!

体を動かし,本を読もう!

みなさんには,何でもいいから,夢中(むちゅう)になれるものを作ってほしいなと思います。何かに夢中(むちゅう)になって打ちこんだ経験(けいけん)は,自分を(ささ)えてくれるものになりますから。 理学療法士(りがくりょうほうし)としては,(わか)いうちに何かしら,スポーツはやっておいてほしいと思います。基礎(きそ)体力が作られるのは(わか)いうちですし,運動をしていると,自分の体を知ることができます。自分の体がどこまでがんばれるのか,といったことですね。リハビリをしていても,運動習慣(しゅうかん)のない人の中には,自分の体の限界(げんかい)がわからなくて,体を動かすのを過度(かど)(おそ)れてしまう人もいます。適切(てきせつ)な「自分の体のイメージ」を持つためにも,スポーツはしておくといいと思います。 あとは,本を読んでほしい。本には自分の知らない知識(ちしき)がたくさん()まっているので,たまには背伸(せの)びして,大人が読んでいるような本を読んでみると,いつもの自分とは(ちが)視点(してん)で物を見ることができます。本を読むと,自分がこれから出ていく社会というのはどういうところで,どういう考え方をする人がいるのかを知ることができます。私自身(わたしじしん)も,本を通して,理学療法士(りがくりょうほうし)という仕事に出会うことができました。みなさんには,スポーツだけではなく,ぜひ,本を読むこともしてほしいと思います。

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取材・原稿作成:東京書籍株式会社