仕事人

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埼玉県に関連のある仕事人
1986年 生まれ 出身地 埼玉県
いりょうそーしゃるわーかー医療ソーシャルワーカー
染谷そめや みどり
子供の頃の夢: 幼稚園教諭
クラブ活動(中学校): 吹奏楽部
仕事内容
患者(かんじゃ)さんやご家族の(こま)りごとの相談に乗り,必要な調整を行う
自己紹介
のんびりしていますが,そそっかしいところもあります。音楽が好きで,トランペットを中学生からずっと続けてきました。休日は車でドライブに出かけたりもしています。

※このページに書いてある内容は取材日(2016年08月29日)時点のものです

患者(かんじゃ)さんやご家族の相談に乗り,解決(かいけつ)に向けて協力する

患者さんやご家族の相談に乗り,解決に向けて協力する

(わたし)医療(いりょう)ソーシャルワーカーとして,埼玉(さいたま)総合(そうごう)リハビリテーションセンターという病院で働いています。医療(いりょう)ソーシャルワーカーの仕事というのは,患者(かんじゃ)さんやそのご家族が(こま)っていることの相談に乗って,解決(かいけつ)に向けて協力することです。「病気やケガで入院したけれど,お金があまりなくて心配だ」とか,「もうすぐ退院(たいいん)できるが,後遺症(こういしょう)が残って,これまで通りに家で()らすのが(むずか)しそうだ」といった相談を受けて,使える制度(せいど)支援(しえん)があれば,案内をします。例えば,介護(かいご)保険(ほけん)や,身体障害(しょうがい)者手帳といった制度(せいど)ですね。また,相談でわかった患者(かんじゃ)さんの希望を病院の他のスタッフに伝えたり,病院外の機関と患者(かんじゃ)さんとの間に入ってやりとりをしたりもします。
医療(いりょう)ソーシャルワーカーになる人は,ほとんどが「社会福祉(ふくし)士」という国家資格(しかく)を持っていて,(わたし)もこの資格(しかく)を持っています。

患者(かんじゃ)さんの幸せのため,人や情報(じょうほう)をつなぐ

患者さんの幸せのため,人や情報をつなぐ

(わたし)の主な業務(ぎょうむ)は「相談」と「調整」です。
「相談」については,(わたし)は,ふだん,病院の中の「医療(いりょう)相談室」という部屋にいて,いらっしゃる患者(かんじゃ)さんやご家族からの相談を受けています。相談の内容(ないよう)は人それぞれですが,意外と,患者(かんじゃ)さん本人よりも,むしろご家族のほうが心配して相談に来られる,という場合が多くあります。「本人は退院(たいいん)して家で()らしたいと言っているけれど,家族で対応(たいおう)できるか不安」「どんなサービスが使えるのか?」といった相談をよく受けますね。
相談をふまえて,「調整」をします。医師(いし)看護師(かんごし),理学療法士(りょうほうし)や作業療法士(りょうほうし)といった病院スタッフに患者(かんじゃ)さんの希望を伝えたり,(ぎゃく)に他のスタッフから患者(かんじゃ)さんの体の状態(じょうたい)などの情報(じょうほう)をもらって,それをケアマネジャーや,場合によっては市役所といった,病院外の機関に伝えたりもします。病院外の機関への窓口(まどぐち)役割(やくわり)ですね。また,他の病院から,「こういう症状(しょうじょう)患者(かんじゃ)さんをそちらの病院に入院させたいのですが,受け入れてもらえますか?」という問い合わせが来ることもあり,そういうときは,医師(いし)に相談して受け入れられるかどうかを決め,その結果を伝えます。

その人の立場に立てているか,いつも考える

その人の立場に立てているか,いつも考える

患者(かんじゃ)さんやご家族の相談を受けていて,「こういうことで(こま)っているんだろうな」「これは大変だろうな」と想像(そうぞう)はするのですが,それはあくまでも(わたし)のイメージなので,本当にその人の気持ちになれているのだろうか,と,いつも(なや)みます。
特に,患者(かんじゃ)さんの状態(じょうたい)と,ご本人の希望との間に開きがあるときは,大変です。例えば,体に麻痺(まひ)が残った患者(かんじゃ)さんで,ご本人は歩いて家に帰りたい。意欲(いよく)もあって,リハビリもがんばっていらっしゃる。希望をかなえたくて,病院スタッフもがんばっている。でも,現実(げんじつ)的に,家に帰ったときの安全(せい)を考えると,自分の足ですべて歩くのは危険(きけん)だから(むずか)しい,といった場合が,どうしてもあります。
医師(いし)から現実(げんじつ)を告げられて,ショックを受けた患者(かんじゃ)さんが相談にいらっしゃることもあります。でも,(わたし)解決(かいけつ)できる問題ではないので,お話を聞くしかなくて,やりきれない思いになることもあります。聞いている私自身(わたしじしん)もつらい気持ちになってしまって,気持ちがつぶれそうになってしまうこともあるので,そういうときは,意識(いしき)して距離(きょり)を取らないといけません。このあたりは苦労するところです。

患者(かんじゃ)さんやご家族の笑顔がうれしい

患者さんやご家族の笑顔がうれしい

病院に来られる患者(かんじゃ)さんというのは,予定して病気やケガをしたわけではないので,病気やケガのときに使える制度(せいど)のことはあまり知らないことが多いです。知らないまま来て,「とにかく良くなりたい」という思いでリハビリをされるんですが,全員が100%良くなるわけではありません。ですので,使えるサービスを(わたし)から紹介(しょうかい)するのですが,「患者(かんじゃ)さんやご家族を支援(しえん)するサービスがあったから家に帰れた」というような場面では,患者(かんじゃ)さんやご家族から感謝(かんしゃ)されることもあります。「相談してよかったです」と言っていただけることもあるので,そういうときは,「この仕事をしていてよかった」と思います。退院(たいいん)までの道筋(みちすじ)は決して楽ではないことが多いのですが,(むく)われるというか,ほっとした気持ちになりますね。

「とにかく聞く」のが基本(きほん)

「とにかく聞く」のが基本

患者(かんじゃ)さんやご家族の相談を受けるときは,とにかくていねいに聞くようにしています。(わたし)が自分のペースで話してしまって,患者(かんじゃ)さんや家族が「言いたかったのに言えなかったな」ということになってしまわないように。いったんすべての希望を聞いたうえで,現実(げんじつ)的な落とし所を見つけていくようにしています。
熱心に耳を(かたむ)けて聞くことを「傾聴(けいちょう)」と言うのですが,この言葉をいつも意識(いしき)しています。大学の授業(じゅぎょう)研修(けんしゅう)(さい)に,「傾聴(けいちょう)が大事」というように習いました。この仕事をする上で大事な言葉だと思っています。(わたし)が今いる埼玉(さいたま)総合(そうごう)リハビリテーションセンターでは,ご本人やご家族と話す時間をしっかりと取れるので,なるべく,時間を取ってしっかりお話をお聞きするようにしています。

早くからあこがれていた福祉(ふくし)の道

早くからあこがれていた福祉の道

もともと福祉(ふくし)に関する仕事に興味(きょうみ)があって,小学生くらいのころから,何となく将来(しょうらい)福祉(ふくし)の仕事につきたい,と考えていました。中学生のときには,老人ホームにボランティアに行ったりもしました。人の役に立つことがしたい,という気持ちがありました。
大学では「社会福祉(ふくし)学科」というところに行き,社会福祉(ふくし)士の資格(しかく)も取ったのですが,(わたし)は最初から医療(いりょう)ソーシャルワーカーの仕事をするようになったわけではありません。大学を卒業後,埼玉(さいたま)県の福祉(ふくし)(しょく)応募(おうぼ)して合格(ごうかく)し,最初の職場(しょくば)は,児童相談所でした。そこで,子育てや虐待(ぎゃくたい)についての相談を受ける,ケースワーカーの仕事をしていました。その後,異動(いどう)で今の職場(しょくば)に来て,医療(いりょう)ソーシャルワーカーとしての業務(ぎょうむ)をするようになったんです。(わたし)は大学時代のボランティアの経験(けいけん)から,(しょう)がいのある方への支援(しえん)に関わることをしたいという思いを持っていました。今の仕事にはそうした面もあるので,(えん)は感じています。

みんなで何かやるのが好き

みんなで何かやるのが好き

ずっと吹奏楽(すいそうがく)をやっていて,中学,高校は吹奏楽(すいそうがく)部,大学ではオーケストラに入って,トランペットを()いていました。(ねば)(づよ)く,コツコツと続けてきたことは,患者(かんじゃ)さんやご家族に(せっ)するときの,(ねば)(づよ)姿勢(しせい)につながっているかもしれません。トランペットは今も市民吹奏(すいそう)楽団(がくだん)所属(しょぞく)して,続けています。
また,小さいころから世話好きで,みんなで何かをやるようなときには()()っていくほうでした。中学生のときには学級委員もやりましたし,修学(しゅうがく)旅行のときも実行委員になって,事前学習の資料(しりょう)づくりを一生懸命(いっしょうけんめい)やりました。高校のときも,部の中の広報(こうほう)委員会だったので,定期演奏会(えんそうかい)のパンフレットを作るのに,みんなでパソコン室に集まって,ああでもないこうでもない,と記事を書いたことがあります。そういうふうにみんなで何かを()()げるのが好きなんです。今の仕事でも,さまざまなスタッフとコミュニケーションを取りながら,チームで進めていくところがあるので,つながっていると思います。

好きなことを,一生懸命(いっしょうけんめい)に!

好きなことを,一生懸命に!

好きなことには一生懸命(いっしょうけんめい)に打ちこんでほしいと思います。好きなことをしていても,楽しいだけではなくて,大変なことや,つらいこともあると思います。でも,そこでがんばってやり()くと,達成感が得られますし,「あのとき頑張(がんば)れたから」という思いは,その後の(ささ)えになりますよ。
(わたし)は中学から大学まで,吹奏楽(すいそうがく)()()んでいましたが,部活動を通して,周りの人とのつきあい方や,()()い方も学べました。今,(わたし)がしているのは,人と人との間に入って調整する仕事なので,部活で身につけた人とのつきあい方は,仕事をするうえでのベースになっていると思います。

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