仕事人

社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!

福井県に関連のある仕事人
1978年 生まれ 出身地 福井県
徳山とくやま まこと
子供の頃の夢: 医師
クラブ活動(中学校): 卓球部
仕事内容
そば店をけいえいし,そばを打ち,お客さまに食べていただく。
自己紹介
楽観的で,あまり失敗をおそれないタイプです。休みの日は,海などの自然を楽しめる場所へドライブに行き,リフレッシュをします。
出身大学・専門学校

※このページに書いてある内容は取材日(2017年06月05日)時点のものです

そば屋をけいえいし,毎日そばを打つ

そば屋を経営し,毎日そばを打つ

わたしの仕事は,そば屋をけいえいし,そばを打つことです。ふくけんで「 」という店をじんけいえいしていて,店でそば打ちをたんとうするのはわたしひとりです。メニューを考えるのも,店の売上の計算も,自分だけでやっています。ふくけんは全国的にも有名なそばの産地で,そば屋がたくさんあります。せんもんてんだけでなく,つうの食堂などでもそばを出すところが多く,県民にもそば好きの人がかなり多い土地だといえます。
そばせんもんてんであるわたしの店では,冷たいそばと温かいそば,その上に天ぷらをはじめとしたいろいろな具をのせたものなど,そばだけでも20種類ほどあるほか,どんぶりと組み合わせた定食などのメニューもていきょうしています。なかでも,大根おろしとダシをそばにかけて食べるふくけんきょう料理「おろしそば」の人気が高いですね。

そば打ちはみず

そば打ちは湧き水で

そばを打つ手順はとてもシンプルです。まずはこねばちにそば粉を入れ,水を少しずつ加えて,粉全体に水が行きわたるように手でよくかきぜます。この作業を水回しと言います。水回しが終わったら,がひとまとまりになるように,力をめてこねていきます。がまとまったら,めんぼうをつかって,全体が同じあつさになるように,平たくばしていきます。ばしたをたたんで,同じ太さになるように,包丁で切っていきます。水回しをしてからそばを切るところまで,約30分かかります。わたしは1日にだいたい40人前のそばを打ちます。1kg分が10人前なので,4kg分のそばを打つということです。
そば粉は地元のせいふんメーカーから配達されます。そばを打つときに使う水は,店から車で10分ほどの場所にあるいずみへ,みずをくみに行きます。そば打ちのしゅぎょうをしていた店ではみずを使っていたので,自分の店でもみずを使っています。みずはそばのうまみを引き出してくれるんです。

そば屋の一日

そば屋の一日

朝はだいだい9時に店に来ます。まずはちゅうぼうに入り,その日に使う分のネギを切ったり,天ぷらのしたじゅんをしたり,そばをばやていきょうできるようにじゅんを整えます。ひと通り朝のじゅんが終わると11時ごろになるので,そこからそばを打ち始めます。11時半に店をオープンすると,お客さまのたいおうや料理を運ぶことなどはじゅうぎょういんまかせ,わたしはそばをでたり,天ぷらをげたりします。そばは,切れやすそうなそば,太めのそばなど,その日によって打ち上がりに差が出ます。打った本人であればそばのじょうたいが分かっているので,あつかいやで時間に注意し,一番おいしくで上げることができます。お昼のえいぎょうを14時半ごろに終えると,かたけをして15時くらいから夜のえいぎょう開始の17時半までの間,きゅうけいをとります。きゅうけい時間に食材の買い出しに行く日もあります。
夜はおつまみやお酒,そばを使ったコース料理などを出していて,えいぎょうしゅうりょうの20時までちゅうぼうに立っています。

大みそかはてつでそば打ち

大みそかは徹夜でそば打ち

夜のえいぎょう時間中に新しいメニューの試作をすることもあるのですが,ゼロから考えるのはとてもむずかしいです。他の店にはないようなオリジナリティのあるメニューでお客さまに喜んでもらいたいですし,食材のあつかいやすさやだんなどにも気を付けて,店にえきが出るように考えなければならないですからね。
1年で一番大変なのは,やっぱり大みそかです。店でお客さまにとししそばをていきょうし,たくで食べるお客さまのために,持ち帰り用のそばも用意します。大みそかに向けて,わたし1人で約500食分のそばを打たなければならないので,大みそかの前日は,夜中からほとんどてつでそばを打ちます。年に一度なのでなんとかえられますが,とてつもないいそがしさです。

お客さまからの「おいしい」がやりがい

お客さまからの「おいしい」がやりがい

お客さまに「おいしい」と言ってもらえたときには,やりがいを感じます。うまくそばを打てて,店をけいえいできたとしても,お客さまからのはんのうがわからないと毎日の仕事はおもしろくありません。そのため,ちゅうぼうでの作業にゆうがあれば,お客さまの様子を見に店のフロアに出ることもあります。わたしの打ったそばをおいしいと言ってもらえると,いっしょうけんめいやってよかったと思えます。
そばを打つこと自体も楽しいです。そば打ちは“げんてんほう”です。まずは,よい食材をそろえることが第一。そんな100点満点の食材からスタートして,そばに仕上げるていで,げんてんされていくイメージです。例えば,水回しのだんかいで水の量をちがえると,ばしているちゅうやぶれてしまい,どんなによい食材を使っていたとしてもおいしく仕上げられません。食材の100点を最後までできるように,いかにミスなく早く打てるか,ゲームのような感覚で取り組んでいます。シンプルな材料でつくるからこそ味わえるおもしろさです。

仕事はぎわよく,時間を大切に

仕事は手際よく,時間を大切に

時間を大切にしてぎわよく仕事するために,いつも「だんり八分」をしきしています。仕事のだんりをしっかりしておけば,その仕事は8わり終わったようなもの,という意味です。わたしの場合,朝のちゅうぼうじゅんとそば打ちがきちんとできていれば,その日の仕事はうまくいきます。そば打ちは時間とのたたかいです。あまり時間をかけていると,かんそうしてきて,おいしくなくなってしまうので,集中して手早く打つことをしきしています。
人の一生の間で,仕事にかける時間はとても長いです。例えば,のんびりと仕事をして,働いている時間が30分びるとします。その30分を毎日積み重ねると,とても長い時間になってしまいますよね。わたしぎわよく仕事をして,仕事以外の自分の時間も大切にすることを心がけています。日々,メリハリをつけてごすようにしています。

フランス料理のシェフからそばしょくにん

フランス料理のシェフからそば職人へ

わたしは地元の高校を卒業した後,京都の大学の工学部に進学しました。そのとき飲食店でアルバイトを始めたことをきっかけに,しょうらいは飲食業で働きたいと思うようになりました。大学をちゅう退たいし,ふくもどって地元の調ちょうせんもん学校に1年間通いました。せんもん学校を卒業した後は,西洋料理を学ぶために,フランスにわたりました。げんのフランス料理店で1年ほどみで働いた後,日本にもどり京都やかなざわのフランス料理店で働きました。
その後,他人といっしょに働く中で人間関係につかれたこともあり,いったんは飲食業からはなれて別の仕事をしていました。でも,やはり料理に関係した仕事がしたいと思うようになり,たまたまじゅうぎょういんしゅうしていたそば屋で働くことにしました。29さいのときです。働き始めて数か月で,シンプルだからこそごまかしがきかない,そば打ちの世界にのめりんでいきましたね。そばの仕事に関わり始めて4年目に,この先もそば打ちでやっていけると思い始めたタイミングで,自分の店を開きました。

とにかくやってみないと始まらない

とにかくやってみないと始まらない

子どものころは,夏休みの宿題もギリギリになるまで始めないタイプで,「今始めないとぜったいに間に合わない」というころになってやっと手を付けていましたね。あまり深く物事を考えるせいかくではないので,「なんとかなるさ」と思いながらごしていたのだと思います。
わたしの父はえいぎょうなので,自分もぼんやりとですが,しょうらいえいぎょうで何かやってみたいと思っていました。中学,高校で仲のよかった同級生が医者のむすだったので,当時はその友達といっしょに医者を目指していました。当時はせいせきもよくて,ゆうとうせいだったんです。また,学生のころから外国語の勉強が好きだったので,料理を学びにフランスに行ったときも,げんにすんなりとけこむことができましたね。
今はそばしょくにんになったわけですが,「なんとかなるさ」で進んでいくせいかくは,今でも変わっていません。自分でそば屋を開くと決めたときも,「なんとかなるさ」と思っていました。どんなことでも,とにかくやってみなくては始まらないですから。

何事にもを持って取り組もう

何事にも意志を持って取り組もう

みなさんには,何事にもを持って取り組んでもらいたいです。を持って取り組むことで,やりげる力が身についていきます。例えば,学校での勉強の場合,「勉強すること」そのものを目的にするのではなく,「医者になりたいから医学部に入りたい。そのためにはこのくらい勉強しなくてはいけない」など,げんじつてきな目標を定めて,その目標に向かってコツコツと勉強するのがよいと思います。
いっしょうけんめい取り組んだ上で,たとえ目標が達成できなかったとしても,悲しむことはありません。次のチャンスをのがさないようにがんればいいんです。わたし自身,これまでの人生でうまくいかないこともありました。でも,そば打ちの仕事を始めるときには,「ここでそば打ちを覚えてやるぞ」という強い気持ちを持って,必死で覚えました。自分で自分をきつけることができれば,どんなじょうきょうになっても人生を切り開いていけると思います。

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取材・原稿作成:株式会社 fuプロダクション /協力:三谷商事株式会社