仕事人

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東京都に関連のある仕事人
1971年 生まれ 出身地 東京都
井島いじま 由美ゆみ
子供の頃の夢: 花屋
クラブ活動(中学校): テニス部
仕事内容
しゅんの花を仕入れ、いつでもお客さまに「楽しい」と思ってもらえるようなお店づくり、商品づくりをする。
自己紹介
明るく元気で、こうしんおうせいせいかくです。しっかり者に見られることもありますが、おっちょこちょいな一面もあります。たくあいびょうと遊ぶのがふくの時間です。
出身大学・専門学校

※このページに書いてある内容は取材日(2021年07月20日)時点のものです

お客さまそれぞれの目的に合った花を選んで、はんばいする

お客さまそれぞれの目的に合った花を選んで、販売する

わたしとうきょうすぎなみしんこうえん駅近くにある「花手紙(はなだより)」という花屋で店長をつとめています。2015年にオープンした花手紙は街中にある小さな花屋で、じゅうぎょういんげんざいわたしを入れて3人です。お店には地元の方が多くおとずれ、お客さまのほとんどは、自分へのちょっとしたごほう、もしくはお祝いごとやおやみごとがあった人にわたすためのギフト用として花を買いにいらっしゃいます。「いやされたい」「気持ちを伝えたい」といったお客さまのさまざまな目的に合った花を選んで、はんばいすることがわたしの仕事です。
また、店頭ではんばいする花を仕入れることもわたしの大切な仕事の一つです。花手紙では、お客さまの要望通りの花をていきょうするために予約注文することをおすすめしていて、市場では主に注文を受けた花を仕入れています。さらに、予約なしで来店されるお客さまも多くいらっしゃるので、その方たちにもていきょうできるよう、しゅんの花もいっしょに仕入れるようにしています。そのほか、お店ではフラワーアレンジメントの教室を月4回かいさいしていて、そのこうわたしつとめています。

市場にあるたくさんの花の中から、求める花をさがして仕入れる

市場にあるたくさんの花の中から、求める花を探して仕入れる

花手紙では週2、3回、都内にある世田谷せたがや市場で花を仕入れていて、仕入れの日は夜中の2時ごろにしょうし、3時半ごろには市場にとうちゃくするようにしています。花の仕入れは、ふくすうの買い手の中で最も高いをつけた人がこうにゅうできる「り」という方法と、りでこうにゅうした商品を小分けにしてはんばいしているなかおろし業者からこうにゅうする方法とがあります。りのほうがかくは安いのですが、50本や100本といった大きな単位でしかこうにゅうすることができません。そのため、小さなてんである花手紙では、一束ずつこうにゅうできるなかおろし業者から仕入れています。はんばいされている花は、同じ生産者がつくったものでも一束一束、色味やしつなどがみょうことなるため、自分が求めているものをさがすのには、いつも苦労しています。それでも、市場に行くとたくさんの花と出会えるので、仕入れは毎回、楽しいですね。
仕入れが終わったらそのままお店に向かい、8時半ごろからは仕入れた花のだんを決めたり、9時ごろからは外に花をならべたり水やりをしたり、その日に仕入れてきた花の「みずげ」を行ったりして、開店前のじゅんを行います。その後は10時からえいぎょうが始まるので、お客さまのたいおうをしながらのいそがしい時間になります。みずげとは、水分が不足している切り花に水をわせることです。市場では水にかっていないじょうたいで花をこうにゅうするため、店頭に出す前にみずげをして、花を元気なじょうたいにしておく必要があります。大きなおけくきの6、7わりかる量の水を入れて2時間くらい置いておくと、花の先のほうまで水がわたるので、仕入れた花はだいたいその日の午後から店頭にならべることができます。

お客さまにヒアリングをしながら、要望通りの花をていきょうする

お客さまにヒアリングをしながら、要望通りの花を提供する

たくかざるための花を買いに来られるお客さまからは、「おすすめの花はありますか?」と聞かれることがとても多いです。そのさいには、お客さまが持っているびんの形を聞いてそれに合うものを選んだり、どんな色や形の花が好みなのかを聞いて選んだりしながら、ていあんするようにしています。ギフト用として花束を買いに来られるお客さまからは、「花束がしいけど、どんな花をわたしたらいいのかわからない」と相談されることも、よくあります。そういう場合にはまず、お祝いごとやおやみごとなどの“花束をわたす目的”と、“わたす相手がどんな人なのか”を聞いて、花束全体のふんや花の色を決めていきます。
また、花手紙では、その場で商品を買わずに予約注文をするために来店されるお客さまも多くいらっしゃいます。そのさいに苦労するのが、お客さまの要望をせいかくあくして、イメージ通りの花を用意することです。例えば「ピンク色の花を使ったブーケがしい」という注文を受けたとしても、お客さまがイメージする「ピンク」とわたしがイメージする「ピンク」はことなることがあります。そのため、予約注文のために来店されたお客さまには、じっさいにお店にある花を見てもらいながら、「こんな感じのピンクですか?」などと細かくヒアリングをするようにしています。しかし、花は自然のもので色も形も一本一本ことなるため、お店で見てもらった花と全く同じものを市場で仕入れることはこんなんです。それでも市場では、できるかぎり、お客さまの要望通りの花をさがして仕入れるように心がけています。

まかせてもらえると、しんらいされていると感じてうれしくなる

任せてもらえると、信頼されていると感じてうれしくなる

わたしが仕事をしていてやりがいを感じるのは、お客さまにしんらいされていることを実感できたときです。例えば、最初に来店されたときには花の色や種類を細かく指定していたお客さまから「全部おまかせで」と言ってもらえるようになったときには、とてもうれしく思いました。「お客さまをがっかりさせられない」というプレッシャーはありますが、まかせてもらえるのはお店をしんらいしてくれているあかしだと思うので、もっとがんばろうという気持ちになることができます。
また、花屋にとって一年で一番いそがしい「母の日」にも、やりがいを感じられます。母の日には、本当にたくさんのお客さまが花を買いに来てくださり、お店の外まで行列ができることもあります。お客さまの中には小さなお子さんもいて、お母さんに花を買うためにおづかいをにぎりしめて買いに来てくれる姿すがたを見ると、ついサービスをしてしまうほど、うれしくなりますね。「花をおくりたい」という気持ちを持っている人がこんなにもたくさんいるんだと実感できて、この仕事をしていてよかったと思えます。

プラスアルファのていあんで、「また来たい」と思ってもらえるお店を目指す

プラスアルファの提案で、「また来たい」と思ってもらえるお店を目指す

わたしは、お客さまに「このお店に来たらいつも新しい発見がある」と思ってもらえるように、日々仕事をしています。そのために心がけていることの一つが、お客さまからの要望にこたえることに加えて、「おもしろいな」と思ってもらえるようなていあんをすることです。例えば花束をつくるときに、アクセントになる色の花を入れてみることや、ちょっと変わった花を入れたり、変わった色の花の組み合わせをしたりすることをていあんし、相談してよかったとお客さまに思ってもらえるよう心がけています。お客さまにていあんをするためには、花に関する勉強も欠かせません。ざっなどでフラワーアレンジメントの作品を見たり、花以外のデザインも学んだりしながら、花合わせや色合わせのアイデアを自分の中にストックするようにしています。これからも、お客さまが何度も足を運びたくなるようなお店を目指していきたいと思っています。

さまざまな場所でけいけんを積み、花屋をオープン

さまざまな場所で経験を積み、花屋をオープン

わたしは子どものころからばくぜんと「花屋になりたい」というゆめを持っていました。しかしそれが自分の本当になりたいしょくぎょうなのかかくしんを持つことができず、大学卒業後はしんおろしうりがいしゃしゅうしょくし、えいぎょうの仕事をしていました。仕事を始めてからも、たくで花を育てたり、フラワーアレンジメントを習ったりしていたのですが、だいに仕事がいそがしくなり、花にれる機会が少なくなってしまったんです。そこで「花が好きだ」という自分の気持ちをさいかくにんし、しばらくして会社をめ、園芸店でアルバイトをすることに決めました。その後、園芸店で働きながら、自分の好きだった生花店で行われていたフラワーアレンジメントのレッスンに通い始めたのですが、このときに転機がおとずれました。レッスンをたんとうしていた先生から「いっしょに働かないか」とさそわれ、先生のアシスタントとして働けることになったのです。そのお店は、先生がアレンジした花束しかお客さまにはんばいしないという、こだわりの強いお店でしたが、だいわたしもアレンジをまかせてもらえるようになり、とてもうれしかったことを覚えています。その期間は、仕事がお休みの日や仕事の終わったよるおそくなどに先生に見てもらいながら、こうかくや国家かくしゅとくするなど、いっしょうけんめいに取り組んでいましたね。アシスタントをさせてもらったけいけんは、かくじつに今の自分の土台になっていると感じます。
先生のもとで5年ほど働いたあとは、生花やぞうを使ったディスプレイのせいさくけていました。せいさくしていたのは、駅ビルや屋上庭園など、さまざまな商業せつのディスプレイです。この仕事では「花にきょうがない人にも、足を止めて見てもらうにはどうすればよいか」を考えなければならず、生花店とはちがったアプローチで花と向き合うことができ、多くのことを学べました。そこで5年ほど働いたあとに自身の花屋をオープンさせることになり、げんざいいたっています。

高校時代の生け花のけいけんが、今の仕事にも生かされている

高校時代の生け花の経験が、今の仕事にも生かされている

わたしは、昔から花が好きな子どもでした。自分ではおくにないのですが、母親から聞いた話では、小学校の通学路や公園でつんできた花を、母親に「お土産みやげ」と言ってよくわたしていたそうです。その後も変わらず花は好きで、高校時代はどうしょぞくし、生け花をやっていました。わたしが学んでいたのは「そうげつりゅう」とばれるりゅうの生け花でした。草月流では、「しんそえひかえ」というかた沿って花を生けていくのですが、その生け方はフラワーアレンジメントの世界にも通じるところがあります。高校時代に生け花をやっていたけいけんは、洋風のアレンジメントをつくっている今の自分の仕事にも生かされているのではないかと思います。

努力をしたけいけんは、ぜったいに自分のかてになる

努力をした経験は、絶対に自分の糧になる

わたしがみなさんに伝えたいのは、やりたいことやゆめがあったら、とりあえずそれに向かってがんばってみてほしいということです。わたし自身、「努力をすればぜったいゆめがかなう」とは思いませんが、努力をしなければゆめがかなわないことはたしかだと思っています。そして、たとえゆめとうたつできなかったとしても、それまでのけいけんぜったいに自分のかてになるはずです。わたしも、花屋になるというゆめをかなえるまでずいぶん遠回りをしたのですが、そこにたどり着くまでのすべてのけいけんが、今の自分の力になっていると感じています。みなさんも、どんなけいけんにはならないと信じて、やりたいことやゆめに向かってどんどんちょうせんしていってください。
また、花に関することで伝えたいのは、生活の中に少しでも花を取り入れてみてほしいということです。おうちの中に少し花があるだけで、気持ちがとてもいやされ、生活がゆたかになりますよ。ぜひ1本、2本からでも、花をお部屋にかざってみてほしいなと思います。

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取材・原稿作成:土居 りさ子(Playce)・東京書籍株式会社/協力:城北信用金庫