仕事人

社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!

東京都に関連のある仕事人
1953年 生まれ 出身地 東京都
のぼる 利幸としゆき
子供の頃の夢: 金属加工
クラブ活動(中学校): バスケットボール部
仕事内容
スチールサッシを作って,げんで取り付ける。
自己紹介
外には出さないが,がんで,がまん強いせいかくです。スポーツぜんぱんが好きで,とくに子どものころからスキーに熱中して,いっしょうけんめいやっていました。
出身大学・専門学校

※このページに書いてある内容は取材日(2019年01月30日)時点のものです

オフィスビルやマンションなどのてつせいのドアをオーダーメイドで作る

オフィスビルやマンションなどの鉄製のドアをオーダーメイドで作る

わたしは,東京都だちにある「かぶしきがいしゃのぼるせいさくしょ」という,こうせい建具をせいぞうする会社をけいえいしています。じゅうぎょういんわたしふくめて2人で,わたしは会社をけいえいしながらじゅつしゃとして働いています。「こうせい建具」は英語でいうと「スチールサッシ」です。わたしの会社ではおもに,オフィスビルやマンションのてつせいのドアを作って,それをせっするところまでしています。
こうせい建具せいぞうぎょうしゃは,けんせつ会社や,建物内部の工事をするないそう会社かららいを受けて,それぞれの建物に合わせたドアを作ります。お客さんの注文を聞いて手作業で作る,オーダーメイドのドアを作っているんです。
ドアは大きさがあるてい決まっているので,自動化,機械化して作ることができそうなものですが,実はそれがむずかしいのです。あるていのところまでは作っておくことができますが,建物それぞれ,部屋のそれぞれで大きさがみょうちがってくるので,げんに出向いてすんぽうはかってから作らないと,ぴったりのものができないのです。

せっけいからせいさくこうてい管理からせっまで

設計から製作,工程管理から設置まで

ドア作りの流れは,次の通りです。まずは,けんせつ会社やないそう会社などのげんかんとくや,家の持ち主と打ち合わせをし,どのようなドアにするかを相談しながら決め,図面をきます。わたしたちの業界では「バラ図」とばれるてんかいき,それを材料会社にわたして材料を注文します。材料会社は,てんかいに合わせて材料を曲げたり切ったりしてから,わたしの会社の工場に持ってきます。それをしょくにんが組み立て,ようせつして,そうをします。
わたしたんとうしているのは,こうてい管理とせっけい(図面き),材料の手配,そしてでき上がったドアをげんに持っていって取り付けるまでのところです。以前は,材料を曲げたり切ったりするところも,すべてわたしの会社の工場で行っていましたが,今では分業しています。
こうせい建具せいぞうぎょうしょくにんとして,一通りのことができるようになるには10年かかります。また,わたしは一級けんちくかくを持っていて,このかくはこの仕事をする上で必要けつではありませんが,せっけいをするのに役に立っています。

休みのとり方やしょくにんかくむずかしい

休みのとり方や職人の確保が難しい

わたしの仕事では,土日や夜間に作業をする場合が少なくありません。げんがオフィスビルの場合は,会社がえいぎょうしていない時間にしか仕事ができませんし,しんちくビルやしんちくマンションの場合は,スケジュールのおくれをもどすために土日や夜間の作業になることがあります。以前は,5月の連休やおぼんやすみに工事が集中していましたが,最近はだいぶりました。
わたしは仕事がきらいではなく,1年間で5日くらいしか休まない年もありましたが,苦にはなりませんでした。しかしねんれいを重ねると,体がきつくなりますので,今では,休めるときはしっかり休むようにしています。
また,決められた期日までにせいさくしたドアをせっしなければいけない,のうのある仕事なので,どの協力会社やしょくにんに,何をいつまでにたのむか,といったやりくりが必要です。昔は全部一人でやっていたので,仕事が重なった場合には,休日を返上して働けば間に合いましたが,今は分業になっていて,別の会社やしょくにんらいをしなければならないので,やりくりが大変です。しょくにんの世界も少子こうれいで人がってきているので,同業者の間で取り合いになってしまうこともあります。

いただいた仕事を大事に,いっしょうけんめいやる

いただいた仕事を大事に,一生懸命やる

どんな仕事も同じだと思いますが,わたしの仕事は特に,ものを作る仕事なので,手をかないことが大切です。よくないせいひんを一度でもおさめると,その印象がずっと続いてしまいます。しんらいを得るためには,手をかないことが必要です。受けた仕事はいっしょうけんめいやるように心がけています。
自分の作ったドアをせっして,できあがった様子を見ると「よかったな」と思いますよ。とくにとくしゅなものを作ったときは,「ああ,よくおさまったな」とむねをなでおろします。自分で作ったものが役に立っているところを自分の目でたしかめられるのが,この仕事のいいところです。ものづくりの仕事には,そういう喜びがあります。
わたしは,いただいた仕事はできるだけことわらないようにしています。仕事先はだいたい決まってはいますが,たまにいつもとはちがう会社から仕事のらいがあることがあります。そういった場合は,必要があってたのんできているわけですから,できるだけ受けたいと思っています。スケジュールなどの都合でどうしてもできない場合はことわりますが,わたしちょくせつ受けなくても,知り合いなどにあちこち声をかけて,部分的にったり,しんらいできる仕事仲間に仕事を回したりすることで,おたがいに助け合うことを心がけています。いただいた話を大事にしていくと,仕事はつながっていくものです。

家業が好きで,ぐことにもんはなかった

家業が好きで,継ぐことに疑問はなかった

わたしの家では,の代からこの仕事をしていて,小さいころからや父の働きぶりを見てきました。そして,大人になったら自分もこの会社に入って仕事をするんだろうな,とずっと思っていました。わたしは3人兄弟の次男なのですが,兄は親の会社には入らずに大手のけんせつ会社につとめ,弟は全くちがう業界に入ったため,結局,わたしが家業をぐことになったんです。
中学3年生で進路を決めるときには,たんにんの先生が「家の仕事をするなら,けんちくを学べる大学に行ったほうがいい。都立高校よりは,そのままけんちく学科のある大学に行けるりつ高校がいいだろう」ということで,りつ大学のぞく高校を選んだんです。そして順当に,理工学部のけんちく学科に進みました。
大学卒業時はすぐに実家の会社には入らずに,勉強のために,大学のせんぱいけいえいする小さなこうぞうせっけいしょしゅうしょくしました。給料は安かったのですが,好きな道ですし,こうぞうせっけいはとても勉強になったので,苦にはなりませんでした。その後,実家の会社のけいたんとうの社員がこうれいめることになったときに,わたしばれてけいけんしょくにんとして入社することになったのです。

リトルリーグでアメリカに行ったことも

リトルリーグでアメリカに行ったことも

子どものころは,スポーツが好きで,広く浅く楽しんでいました。ようえんくらいから,兄の友達といっしょに野球をしていました。当時はながしましげおうさだはるといったよみうりきょじん軍の選手がだいかつやくしていて,男の子はみんな野球をやっていたのです。朝4時くらいに起きてグラウンドを取りに行ったり,空き地もいっぱいあったのでそこでキャッチボールをしたり,あらかわのリトルリーグにさそわれてにゅうだんしたりもしました。小学校6年生のときに日本でゆうしょうし,アメリカで行われたワールドシリーズに出場したのはいい思い出です。
中学校のときも野球はやっていましたが,クラブには入らなければいけなかったので,最初にバドミントン部に,その後は部がしょうめつしてしまったので,バスケットボール部にしょぞくしていました。高校時代はスキーばかりやっていました。昔は夜行列車やバスで出かけるのがいっぱんてきで,大学を出てけっこんするくらいまでは毎年,冬と春にはスキーに出かけて,冬でも雪焼けで真っ黒でした。
ねんれいも重ねましたので,今はスポーツをするよりも体を休めることをゆうせんしています。しかし,他の人が定年をむかえるねんれいになっても体力や気力のおとろえを感じずにいられるのは,好きなスポーツを続けてきたためかもしれません。

好きなことを仕事にするために,きょうのあることは何でもやってみよう

好きなことを仕事にするために,興味のあることは何でもやってみよう

どんな仕事でもそうだと思いますが,仕事が好きであること,少なくともきらいでないことは,仕事を続けるうえでとても大切です。好きなこと,好きで仕事にできることをさがすためには,何でもきょうのあることはやってみることが大事です。それがうまくいって続けられればもちろんいいし,ダメでもそれがわかれば,次のことにちょうせんすることができます。そうしたこうさくの中から,自分に合ったものが見つかればしめたものです。
わたしはスポーツが好きで,とくにスキーは得意でしたが,スキー選手になろうと思ったことはありませんでした。わたしわかいころは,今よりもごくわずかな人しかスポーツ選手にはなれず,スポーツをしょくぎょうにする,という発想すらなかったのです。しかし今は時代が変わって,どんな物事でもしょくぎょうにできるのうせいがあると思います。
とくに好きではなくても,ごえんがあることをやってみるのも1つの方法です。その中で,1つや2つでも,これだと思うものを見つけられればいいのです。好きなことを見つけたら,それをしょくぎょうにするために,ぎょうしゅうしょくしたほうがいいのか,あるいは自分で起業したほうがいいのか,いっしょにやれる人をさがすべきか,それでお金をかせぐ方法を考えましょう。げいじゅつとして生きていく方向もあっていいのです。今の時代は,必要な人や物事につながるチャンスは昔よりもずっとあると思います。

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取材・原稿作成:東京書籍株式会社/協力:城北信用金庫