仕事人

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東京都に関連のある仕事人
1950年 生まれ 出身地 大阪府
松本まつもと 幹男みきお
子供の頃の夢: ロボット技術者
クラブ活動(中学校): バスケットボール部
仕事内容
一人ひとりのせいに合わせたじゅぎょうをする。
自己紹介
52さいのころからけんどうを始めて,4だんになりました。また,毎日1時間は読書するようにしています。知力はざいさん,読書が今の自分を形作ったと思います。

※このページに書いてある内容は取材日(2019年12月05日)時点のものです

会社の社長でありじゅくちょうでもある

会社の社長であり塾長でもある

わたしとうきょうきたにあるしょうえいたてものという会社の社長をしています。しょうえいたてものは,土地を買って,建てたマンションなどの部屋をす不動産業と,がくしゅうじゅくけいえいという2つの事業を行っている会社です。わたしは社長として会社のけいえいを取りしきるほか,けいえいしているじゅくじゅくちょうとしても働いています。
わたしけいえいするじゅくは2つあり,1つはじゅくちょうやとってうんえいをお願いしています。わたしじゅくちょうつとめているほうの「アクロスべつどうがくいん」というじゅくは,生徒2人に対して1人の先生がじゅぎょうを行うべつどう型のじゅくです。こちらのじゅくには小学生,中学生,高校生合わせて約65名の生徒が通っていて,一人ひとりの学力に合わせたじゅぎょうを受けています。
アクロスべつどうがくいんとくちょうは,120分のじゅぎょう時間の中に「トライタイム」という学習の時間を40分,もうけていることです。いくらじゅくに通っていても,ただじゅぎょうを聞いているだけでは学力は身につきませんよね。このトライタイムには,生徒がじゅぎょうで習ったはんの問題を自分でき,さいてんをして,ちがえたところのふくしゅうをすることで,じゅぎょうないようの定着を目指します。自分で考える時間をもうけることで,「自分がどこをわかっていないのか」に生徒自身が気づけるようになりますし,教える側もそれをまえて,生徒が苦手なポイントにしぼったじゅぎょうを行うことができます。

よりよいじゅぎょうをするためのシステム

よりよい授業をするためのシステム

アクロスべつどうがくいんで,わたしは中学生と高校生のじゅぎょうたんとうしています。教えている科目は国語,数学,理科,社会,英語の主要5教科です。じゅくを始めたころは数学と英語だけを教えていましたが,じゅくの仕事を続けるうちに他の教科も教えるようになりました。
もう1つの重要な仕事が,「生徒たちにその日,何を教えるのか」を決めるカリキュラム作りです。わたしとカリキュラム作成たんとうの先生とで,テストや学力テストなどの結果をもとに各生徒の学力や苦手分野をぶんせきし,それぞれの学力に合わせた問題集を用意したり,じゅぎょうの進め方を考えたりしています。
いっぱんてきべつどう型のじゅくでは,各生徒にたんとうの先生がつき,じゅぎょうはその先生が作成したカリキュラムで進められます。しかし,アクロスべつどうがくいんでは,毎回ちがう先生がじゅぎょうを行い,じゅぎょうわたしとカリキュラム作成たんとうの先生が作成したカリキュラムにもとづいて進めるというシステムをさいようしています。このシステムを取り入れたのは,毎回同じ先生がじゅぎょうをすることによって,生徒と先生との間のきんちょう感がなくなってしまうことをけるためです。このほか,それぞれの先生に,教えることにせんねんしてもらいたいというねらいもあります。

一番よい教え方を目指して

一番よい教え方を目指して

カリキュラムを作るさいじゅうしているのは,「その生徒にとって一番よい教え方は何か」ということです。勉強が苦手な生徒の場合,1つの文章,1つの単語まで,細かく計画を立てて教えていかないと,なかなか覚えてくれません。そのために先生がちょくせつ教えるのがいいのか,タブレットのようなデジタル教材を使うのがよいのかなど,使う教材もよく考えながらカリキュラムを作っています。
ときには,わたしたちが作るカリキュラムが生徒の役に立たないものになってしまう場合もあります。例えば,学校のテストはんに合わせてカリキュラムを組んでいたのに,急にテストはんへんこうになってしまったとき。もしへんこうになったことがわたしたちに伝わってこなければ,テストはんから外れたところを教えることになってしまい,時間がになってしまいます。また,「この子はこのレベルの問題ならけるはずだ」と問題を用意したものの,じっさいはそのレベルの問題をくことがむずかしかった,という場合もあります。
こうしたトラブルをかいするため,わたしじゅぎょうを行う先生とこまめにコミュニケーションを取り,生徒のじゅぎょう中の様子を細かく伝えてもらい,カリキュラムが生徒に合っているか,かくにんするようにしています。時間も労力もかかる大変な仕事ですが,その分,生徒のせいせきびたときには喜びもひとしおです。

しゃにアドバイスをすることも

保護者にアドバイスをすることも

生徒のせいせきばすために重要なのは,その子のタイプをきちんとくことです。勉強が苦手な子であれば,ないようを細かく教えてあげる必要がありますが,勉強が好きで自分で問題に取り組んでいけるような子の場合,先生が1から100まで教えてしまうと,かえって勉強のじゃになってしまいます。生徒のせいは一人ひとりことなるため,それぞれのタイプをきわめて教え方を考える必要があります。
じゅくでのじゅぎょうないようじゅうじつさせるだけではなく,家庭での学習かんきょうも大切です。わたしは生徒のしゃとの面談もたんとうしているのですが,よく「どうすれば家でも勉強するようになりますか」という相談を受けます。しかし,よくよく聞いてみると,しゃが見ているテレビを子どももいっしょになって見てしまっているとか,勉強に集中できるかんきょうが家にない場合も多いんです。生徒がじゅくに来る時間は週に数時間ですから,家でごす時間のほうがあっとうてきに多いですよね。その時間をゆうこうに使ってもらうためには,しゃの方の協力が欠かせないんです。そのため,「子どもに勉強をさせるためには,テレビをつけっぱなしにしないようにしてみましょう」など,しゃの方にもアドバイスをするようにしています。

学ぶことの楽しさに気づいてくれることが喜び

学ぶことの楽しさに気づいてくれることが喜び

わたしは昔から人にものを教えるのが好きで,今からおよそ15年前にじゅくけいえいを始めました。この仕事で特にやりがいを感じるのは,生徒が勉強の楽しさに気づいてくれたときです。生徒とせっする中で思うのは,やればできるのに勉強しない子がじょうに多いということです。そういう子たちは「このままじゃ卒業できない」とか「ぼうこうごうかくできない」といったように,必要にせまられないとなかなか勉強をし始めないんです。でも,そういう子が勉強をしだすと「勉強ってけっこう,楽しいんだ」と気づいてくれることもあります。そういうしゅんかんを目にしたときは,教えることの喜びを感じます。
また,ときどき,家庭のじょうせいせきから高校進学がむずかしそうな生徒に出会うことがあります。そういう子には,その子に合ったりつの高校をしょうかいするなどして,「何とか高校だけは卒業しましょう」としゃの方にも説得をしています。には,わたししょうかいした高校に入学してから,自分がやりたいことを見つけて,勉強をして大学へ進学したという子もいました。わたしていあんから生徒のしょうらいが広がったという知らせを聞いたときはうれしいですし,じょうにやりがいを感じます。

一人ひとりに向き合うことが,会社のえきにも結び付く

一人ひとりに向き合うことが,会社の利益にも結び付く

教育にあたって理念はもちろん大切ですが,会社をけいえいしていくためにはお金をかせぐ方法も考えなければいけません。お金をかせがなければ生活ができませんし,生活できなければ人にものを教えることはできませんよね。では,何にお金をはらってもらえるのかというと,しつのいいサービスなんです。わたしは,じゅくもうけたものを生徒たちに全て返すという気持ちで仕事をしています。じゅくけいえいで理想的なのは「勉強を教えて生徒たちのせいせきが上がる」,「じゅくひょうばんが上がる」,「生徒の数がじゅくにお金が入る」,「もうけたお金を使ってさらによいじゅぎょうていきょうしていく」というサイクルでじゅぎょうを行うことです。むやみに教えるのではなく,本当に生徒のためを思ってじゅぎょうを計画することで,結果としてえきにも結び付いていくと考えています。
育ったかんきょうせいかくによって,それぞれの生徒の考え方はちがいます。「多様な考え方にりんおうへんたいおうしていく」と言葉で言うのはかんたんですが,大人はどうしても自分の考えを子どもにけがちになってしまうのも事実です。生徒といっしょになってなやみ,学んで,勉強していくことで,生徒とともにわたしも成長できると思っています。

小さいころはものづくりにあこがれていた

小さいころはものづくりに憧れていた

実はわたしは,しょうえいたてものの社長になる前は土木じゅつしゃとして海外で働いていて,リビア,アルジェリア,フィリピンで石油プラントや橋をつくっていました。
昔からものづくりが好きで,小学生のときのしょうらいゆめはロボットじゅつしゃでした。その後,高校に進学して,土木じゅつしゃになりたいと思うようになりました。ものづくりへのきょうが,昭和という時代に求められる,橋とか道路にうつってきたのです。
土木じゅつしゃになるためには,あるていの学力を身につけて大学を卒業しないといけません。それがわかってから,負けん気だけは強かったので,勉強にしんけんに取り組むようになりました。

ゆめをあきらめず努力し続けよう

夢をあきらめず努力し続けよう

「土木じゅつしゃになりたい」「橋や道路をつくってみたい」という「ゆめ」がわたしってくれました。このゆめがなかったら,数学も英語も,しんけんに勉強することはなかったと思います。
今のじゅくの仕事にも,土木じゅつしゃになろうともうべんきょうしたけいけんが生きています。あの当時,もし受験をあきらめていたら,わたしの人生はまるでちがうものになっていたと思います。ですから,みなさんも自分のやりたいこと,なりたいものをあきらめないでください。努力というのはだれも見ていないところでするものです。当然,とても苦しいものですが,努力を積み重ね,せいじつに生きていれば,必ず運命のがみはほほえんでくれます。ちゅうで投げ出してしまった人には,だれも手をしてくれません。がみも人間も。どうか最後までベストをくして,自分のゆめをかなえてほしいと思います。わたしけいけんが参考になれば幸いです。

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取材・原稿作成:久保 駆(Playce)・東京書籍株式会社/協力:城北信用金庫