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東京都に関連のある仕事人
1975年 生まれ 出身地 東京都
佐々木ささき 一富いちとみ
子供の頃の夢: 劇団員
クラブ活動(中学校): マジック部
仕事内容
未来のものづくりを変える。
自己紹介
モットーは,いつも前向きに,がおでいること。休みの日は,YouTubeにとう稿こうする動画のさつえいや,インターネットやゲーム,手品の練習などをしてごしています。
出身高校
出身大学・専門学校

※このページに書いてある内容は取材日(2020年10月01日)時点のものです

「ものづくり」に関わる機械と工具をていきょうする会社

「ものづくり」に関わる機械と工具を提供する会社

わたしは,あらゆるジャンルの「ものづくり」のための機械や工具をせいぞうはんばいする「シーフォースかぶしき会社」の社長です。本社はとうきょうたいとうにあります。シーフォースはさいな品ぞろえがまんで,三次元データをもとにじゅきんぞくで立体を作る「3Dプリンター」や,ちょうこくせつだんようせつなどの加工ができる「レーザー機器」,材料をけずったりみがいたりできる「ちょうおん加工機」といった機械から,ハサミやピンセットなどの作業用工具までそろえています。
これらには,社内で開発・せいぞうしている自社せいひんと,海外からにゅうしているせいひんとの2種類があります。また,こうした機械と工具を使った加工も行っていて,お客さまからのらいで,キャラクターのフィギュアやトロフィーのほか,ときにはかくとうのチャンピオンベルトなども作っているんですよ。
お客さまのそうはばひろく,最新機器を開発しているぎょうや大学の方,プロのぞうけい作家さん,ものづくりを学んでいる学生さん,ネイルアートやアクセサリーづくりを楽しんでいるいっぱんの方など,実にさまざまです。
2020年1月にオープンした,てんこうぼうとをねた本社ビルは,最新の加工機械をてんするショールームとプロ工具ショップ,しょくにんちょくせつ,相談ができる加工室のほか,自社せいひんの開発室や,写真やえいぞうさつえいができるスタジオまでかんしています。
このような会社で,わたしは社長として開発・せいぞうたんとうするほか,「お客さまや社員とよく話し,みんなが“楽しい”と思える会社にすること」を心がけてけいえいの仕事もしています。

自社せいひんのコンセプトは,「おぉ!」とおどろかれるデザインであること

自社製品のコンセプトは,「おぉ!」と驚かれるデザインであること

自社せいひんには,レーザー機器,ちょうおん機器,メッキそうなどがあります。どのせいひんも,「こういう機械があったらいいな」というわたしのアイデアから開発がスタートしました。社員もわたしのアイデアをおもしろがってくれていて,「よし,みんなで作ろう!」と,とても前向きに取り組んでくれています。
せっけいも,わたしきます。このときにしきしているのは,その機械を見た人や使った人に,「おぉ!こんな機械があるのか!」といったおどろきと感動をあたえられるかどうか,です。もちろん,機械ですからこわれないことやしんらいせいは大切ですが,それ以上に,「おもしろのうが付いている」「外観がユニーク」などの,他社の機械にはないオリジナリティが重要だと思っています。
特にこだわっているのは,黒をほんにした色使いです。また,「かっこいいデザイン」であることも欠かせないようで,例えばレーザー加工機は,一見,加工機だとはわからないデザインです。まるでオーディオ機器のような外見に仕上げました。「これ,加工機だよね?このデザインは今までなかったな,てきだな」「ほかのメーカーより高かったけれど,このデザインが気に入ったから買ったんだよ」などとお客さまから言われると,うれしくなります。

開発・せいぞうはすべて社内で行う

開発・製造はすべて社内で行う

自社せいひんは,開発からせいぞうまで,すべて社内で行っています。最初に自社せいひんの開発にチャレンジしたのは,2014年です。当時はわたしふくめて社員全員,開発に関するしきはまったくありませんでした。つうだったら「無理なんじゃないか」とあきらめてしまうところかもしれません。でも,やって無理なことというのは,実はあまりないんですよね。「わからなくても,とにかくやってみよう」「ぜったいにあきらめるなよ」と,最初は本を読んでどくがくで勉強することから始めました。その後,開発のメンバー全員で,産業じゅつの研究機関がしゅさいする勉強会に通いつめたりもしました。
どんな機械でも,機器の目的が同じであれば,ほんてきな仕組みはほぼ同じです。わからなければ,そんの他社せいひんの中身を見てみて,「こういう仕組みなのか」「このばんはなんだろう」「わかる人に聞いてみよう」というふうに,もんに対してなおに立ち向かっていけば,必ず道は開けます。こういったことを積み重ねることで,さまざまなオリジナルせいひんを社内で開発することができたのです。
また,自分たちで開発し,せいぞうしているため,調整やしゅうもすべて自社内でたいおうできます。中でもレーザー機器は,メーカーなどのお客さまの中でも,特に最新せいひんの試作品を作るしょからのじゅようが大きいせいひんです。それぞれのお客さまの要望に合わせてカスタマイズして作ったり,のうひん後のメンテナンスで細かく調整したりできるのも,シーフォースがしんらいされている理由なのではないかと感じています。

こうしんから始まった,3Dプリンターのにゅうはんばい

好奇心から始まった,3Dプリンターの輸入販売

にゅうせいひんの中でも売り上げが大きいのは,3Dプリンターです。今ではいっぱんてきに使われるようになった3Dプリンターですが,わたしが最初の1台をにゅうはんばいしたのは,2005年のことでした。
「まずは1台,売ってみよう」というこうしんから,じっさいに見てもいない,1,000万円ほどもするこうがくの機械をイタリアから仕入れたのです。当時はしょうな会社だったのできんも少なく,注文するときにとてもきんちょうしたのを覚えています。
仕入れた後は,毎日,必死でえいぎょうしました。しかし,やっとのことで売れたものの,「使い道がありません」と返品されてしまったのです。それでも,また必死にえいぎょうして何とかはんばいすることができました。ぼうにも思えるチャレンジでしたが,このけいけんがなければ,今の会社はありません。このとき取り引きしたメーカーの3Dプリンターは,今では多くの業界でどうにゅうされています。シーフォースでもにゅうを続けていて,会社の中で大きな売り上げをめる主力商品になりました。

アクセサリーの工場見学でめばえた,機械や工具へのきょう

アクセサリーの工場見学でめばえた,機械や工具への興味

高校卒業後,わたしはおしゃれなレストランで料理を作るシェフにあこがれて,調ちょうせんもん学校に入学したんです。そんなわたしが,機械や工具をあつかう仕事にくことになったのは,けいえいする金物屋でアルバイトをしたことがきっかけでした。当初は工具のおもしろさに気付けなかったのですが,あるときしょくの人から「ジュエリーを加工する工具をあつかう仕事をしてみたら?」とすすめられて,アクセサリーの工場を見学することになったんです。当時,ファッションにきょうがあったわたしは,とても乗り気でした。また,見学先のしょくにんさんたちも親切に教えてくれて,一気にきょうがわきました。
その後,自分でも工具屋をやってみたくなり,親の協力をて,2000年1月に会社をせつりつしました。社名は,せつりつしたのがたつどしだったので,英語でタツノオトシゴを意味する「シーホース」からさらにひねりを加えて,「海の力」という意味の「シーフォース」と名付けました。せつりつ当時は,きょうのあったジュエリー関係の機器や工具を中心にはんばいをしていました。にゅう機器のはんばいは,「ジュエリーの加工に必要なちょうおんせんじょうがほしい」というわたしの思いつきから,かんこくのメーカーとていけいしたのが出発点です。当時のわたしはまだわかく,こわいものはありませんでした。一人でかんこくに行き,げんのメーカーにこうしょうに行ったのです。

社員全員が楽しいと思って働けば,会社は大きくなる

社員全員が楽しいと思って働けば,会社は大きくなる

会社を続けて20年たった今,事業が広がり,社員も50人ほどにえました。自社せいひんの種類もえ,世界の15か国からせいひんにゅうし,あつかう工具も1万点以上にものぼっています。また,さまざまな加工にたいおうするためのせつじゅつも整いました。これらの原動力となったのは,「思いついたら,まずはやってみる」というせいしんです。
売り上げをのばすことができたのは,目先の売り上げよりも,会社が社員にとって心地ごこちのよい場所になることをゆうせんしてきたからだと思います。シーフォースには,失敗してもおこる人はいませんし,売り上げよりもがおでいることを,いつも大事にしています。
単に売り上げをのばすのが目的であれば,努力してえいぎょうしたり,よいせいひんを開発したりするなど,がんばれば達成できるでしょう。でも,いちばんこうてきなのは,「働く社員全員が楽しく仕事できること」だと思います。これができていれば,ちがいなく売り上げはのびると,わたしは信じています。
そのために心がけているのは,だんから社員と同じ目線でたくさん話すことと,自分ができないことを社員に要求しないことです。例えば,むずかしい仕事をたんとうしている社員には,「この目標を達成するのはむずかしいかもしれないね。だから,いっしょにやり方を考えようよ」というように話して,ともに考えていくようにしています。

「目立って,かっこいいから」と,中学生のときにマジック部をせつりつ

「目立って,かっこいいから」と,中学生のときにマジック部を設立

子どものころから,友達はとても多かったと思います。考えてみたら,わたしにはきらいな人がいないんです。きらいな人がいないから,きらわれることもないんですね。友達みんなのことが大好きだったので,自分からそっせんして声をかけていました。朝は必ず「おはよう」とあいさつする,何かしてもらったら「ありがとう」と言う,たんじょうには「おめでとう」と言う。たったこれだけのことですが,きちんと実行していました。
こうしんおうせいで,行動力もあったと思います。例えば,中学2年生のときには,「手品をしていると目立つし,かっこいいから」という理由で,マジック部をせつりつしました。当時,新しく部活を作ろうと考える人はだれもいなくて,部活の作り方すらわかりませんでした。そこで,「どうやったら部活は作れるんですか?」と,校長先生に聞きに行ったんです。その中学校では何十年かぶりに新しい部活ができたとのことで,まわりからはとてもめずらしがられていたようです。文化祭ではみんなでマジックショーをやったりして,とても楽しかったですね。
友達が大事だという気持ちは今でも変わっていません。実は,シーフォースの社員の中にも,わたしの中学校と高校のときの同級生がいます。卒業後,ひさびさに会ったときに,「手伝ってよ」と声をかけたのをきっかけに,そのまま20年近くいっしょに仕事をしています。

毎日がおで,こうしんを持って,何にでもチャレンジしてみよう

毎日笑顔で,好奇心を持って,何にでもチャレンジしてみよう

日々,わたしが大切にしているのは,「がおでいる」「友達を大切にする」「こうしんを持つ」ことで,これらは小さいころから心がけています。どれも欠かせませんが,中でもこうしんについては,浅く広くでもいいと思います。
わたし自身も,高校卒業後は調ちょうようあこがれ,まよった末に調ちょうせんもん学校に通いました。しかし,結局は「ものづくり」の工具や機械にきょうがわき,学んだこととまったくちがう分野に進みました。一見,いっかんせいがないように思えるかもしれませんが,いつも,そのときに自分ががおになれることをせんたくしてきました。
これは今でも変わらず,最近は,ものづくりの楽しさを伝えるためのYouTube番組の配信にきょうがわきました。そこでさっそく,「とみちゃんTV」というYouTubeチャンネルを作り,会社のさつえいスタジオでさつえいをすることにしました。テーマはそのときによって変わりますが,先日は,27インチの大画面のノートパソコンを自作し,そのせいさくていしょうかいしました。せっけいから自分で考えましたが,われながらとてもかっこよく仕上がったと思います。こういった楽しみを見つけながら,がおで仕事をすることが,わたしのモットーです。
みなさんも,いつもがおでいてください。そして,やりたいことがあったら,仲間といっしょにいろいろなことにちょうせんしてほしいと思います。

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ディズニー映画にもなっている作品です。好奇心旺盛でけがれのない心を持つ永遠の子ども,ピーター・パン。私もピーター・パンのように,純粋な心を持ち続けていたいと思っています。

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取材・原稿作成:佐藤 理子(Playce)・東京書籍株式会社/協力:城北信用金庫