仕事人

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岐阜県に関連のある仕事人
1979年 生まれ 出身地 岐阜県
棚橋たなばし 啓介けいすけ
子供の頃の夢: プログラマー
クラブ活動(中学校): 剣道部
仕事内容
お客さまの要望から,必要なシステムをていあん・開発する。
自己紹介
新しいものにきょうを持ち,つねじょうしょうこう。好きなことには,とことんじょうねつやします。休みの日は子どもと外へ出かけることが多く,行ったことのないところへ行くのが好きです。
出身大学・専門学校

※このページに書いてある内容は取材日(2018年08月24日)時点のものです

お客さまに必要なシステムをせっけい

お客さまに必要なシステムを設計

わたしは,かぶしき会社電算システムという会社で,システムエンジニアとして働いています。システムエンジニアとは,お客さまの要望を聞いて,必要なコンピューターシステムのせっけいをする仕事です。せっけいしたないようは,“仕様書”とばれる書類にまとめられ,プログラマーがその仕様書にもとづいて,プログラムを組み立てます。
システムづくりをらいするお客さまの分野は,不動産業やきんゆうなどはばひろいものです。それぞれのぎょうてきかくに行うシステムをせっけいするためには,各分野の仕事ないようせんもんてきな用語など,多くのことをかいしなければいけません。げんだい社会では,さまざまなデータをやり取りするコンピューターシステムは,なくてはならないじゅつです。わたしは,社会をささえる重要な仕組みの1つというしきをもって,お客さまが日々のぎょうをスムーズに,そしてスピーディーに行えるシステムを開発しています。
その中でも,2010年からはパソコンやタブレット,スマートフォンなどのデジタルたんまつで見ることができる“デジタル教科書”の開発にたずさわっています。デジタル教科書では,紙の教科書と同じないようが見られるのはもちろん,音声を聞いたり,じっさいの動きを動画などで見ることができ,より深い学びにつながると期待されています。

新学期に間に合うようデジタル教科書をせいさく

新学期に間に合うようデジタル教科書を制作

毎日の仕事は,メールチェックから始まります。返信などのしょをした後は,デジタル教科書のページをせいさくしたり,ないようをより分かりやすく伝えるためのアニメーションをせいさくしたりします。アニメーションは,コンピューターがにんしきできるようにぞうや音声をプログラミング言語にえる“コーディング”を行って,デジタル教科書に組みこんでいきます。
午前中にでき上がったページは,午後から何人かが目を通し,だつがないかなどをしっかりとチェックします。最後に,じっさいにつくったシステムを動かして,せいじょうに動くかどうかや,文字の書体や読みがなは正しいかなどをかくにんします。
デジタル教科書は,元となる紙の教科書がとどいてから,開発がスタートします。新しい教科書がとどき始めるのは9月ごろで,4月から始まる新学期に間に合うように開発が進められるため,1~2月が最もいそがしくなります。開発している間にも,教科書のないようへんこうになることもあります。特に社会科などは,社会的に大きな出来事があると,その話題が時事問題として追加されることもあります。そうした場合にも,早くせいかくたいおうすることが求められます。

デジタル教科書はすべてが初めての試み

デジタル教科書はすべてが初めての試み

わたしがデジタル教科書の開発をたんとうしだした当時は,まだいっぱんてきにデジタル教科書が知られておらず,開発の見本となる事例はほとんどありませんでした。そのため,じっさいに教科書を使用する教育げんの声を聞きながら,すべてをゼロから考えてつくるしかなく,こうさくの連続でした。
デジタル教科書は,まず紙の教科書にけいさいされている文章や写真がくずれずに,そのままの形で見られるように,システムに組み直す必要があります。文字の書体やページ内のレイアウトは,紙の教科書とまったく同じでなければいけません。そのため,すべてのページを1ページずつのぞうとしてコンピューターに読みこみ,そのままさいげんすることにしました。さらに,文章と写真だけではイメージがつきにくいものに関しては,そのうえに動画やアニメーションなどを加えて,説明をそくしていきました。
開発するさいにこだわったのは,見た人にきょうを持ってもらえるデザインです。デジタル教科書を初めて使う人にもていこうなく見てもらえるように,紙の教科書に使われているカラーを生かしたり,分かりやすい形のボタンを付けるなど,だれでも見やすく,使いやすいデジタル教科書になるよう心がけました。

だれもが使いやすいデジタル教科書にするために

誰もが使いやすいデジタル教科書にするために

デジタル教科書を開発するさい,大きなポイントの1つとなったのは,しょうがいをかかえる方にもたいおうしたのうをつくることでした。例えば,じゃくの人にも見やすいよう,文字のサイズやはいけいの色を変えられたり,音声を自動で読み上げることができたりと,さまざまなしょうがいにはいりょしたのうそなえて,だれでも同じように学ぶことができる教科書を目指しました。タブレットたんまつ1台で,ふくすうの教科書を持ち歩くことができるデジタル教科書は,重い荷物を持つことがこんなんな人にとっても,じょうに便利なものです。こうしたのうを開発することで,「自分が作ったシステムが,多くの人の役に立つかもしれない」と感じることができました。
また,開発のちゅうでは,じっさいの生徒さんに協力してもらい,じっしょう実験を行う機会がありました。そのさい,デジタル教科書を手にした生徒さんが「もう1回,見てみる!」と言う声を聞いたり,目をかがやかせてモニターにさわ姿すがたを見て,この仕事にたずさわってよかったと心から思いました。
これまで,学校のじゅぎょうでは紙の教科書だけが用いられていましたが,ほうりつが変わって,今後は紙の教科書と同じように,デジタル教科書を使うことができるようになります。これからは,わたしが開発したデジタル教科書が,教育のげんで使ってもらえるかもしれないと思うと,とても楽しみです。

システムはしんらいの上に成り立つ

システムは信頼の上に成り立つ

今やコンピューターシステムは,社会にけつなものです。システムに問題があると,たとえわずかなミスでもお客さまのぎょうや消費者のらしにしょうをきたす,大きなトラブルにつながってしまいます。らいされたとおりのシステムをつくり,そのシステムが正しく動くことは,当たり前のことなんです。つねにお客さまの立場に立って,お客さまのそうぞうえるような便利で安心できるシステムをていあんし,「よくつくってくれた」「あなたにたのんでよかった」と言ってもらえるような仕事をすることが必要だと思っています。
またシステム開発の仕事では,1つのプロジェクトにさまざまな分野をせんもんとする多くの人が関わります。時にシステムエンジニアは,そうしたチームのリーダーとして,スタッフをまとめなければいけない場合もあります。そこでは,チームとして一体感を持ち,じょうほうや意見を共有しながら仕事をしたり,プロジェクトを進めながらわかエンジニアを教育したりすることも求められます。
システムの開発には,お客さまのしんらいを得ることと,チームの間でしんらいを育むことが重要です。このことをわすれることなく,これからもよりよいシステムをつくっていきたいです。

好きなものをつくる仕事にきたかった

好きなものをつくる仕事に就きたかった

わたしがシステムエンジニアの仕事にきょうを持ったのは,大学時代のことです。しゅうしょくを考え始めた時に,「何かをつくる仕事にきたい」と思うようになり,どうせつくるのならば自分が好きなものをつくろうと決意しました。そこで思いついたのは,子どものころからゆめみていたプログラマーでした。そこから,ITの仕事を目指しました。
しかし,当時わたしが通っていたのは,デザインを学ぶ大学だったため,ITのしきはほとんどありませんでした。そこで,まずはITのベンチャーぎょうしゅうしょくし,けいけんを積むことにしたんです。プログラマーを目指して,システム開発のを学び始めました。
プログラマーとしてけいけんを積んでいくと,「そもそも,なぜこのシステムがお客さまに必要とされているのかを知りたい」という思いが,じょじょに高まっていきました。そこで,できるだけえいぎょうたんとうしゃいっしょにお客さまの所へ行き,ちょくせつ,要望を聞くように努めました。お客さまと話していると,なぜこのプログラムが必要なのかを知ることができ,お客さまの課題をかいけつするためのかいぜんてんふうを考えることができるようになりました。こうしたけいけんから,らいされたせっけいをそのまま組み立てるプログラマーよりも,全体を見てシステムをこうちくしていくシステムエンジニアの方が自分に向いていると感じ,今の会社へ入社したんです。げんざいはシステムエンジニアとして,多様なプロジェクトを手がけています。

ITの仕事は子どものころからのゆめ

ITの仕事は子どものころからの夢

子どものころから,しょうらいゆめは「プログラマー」でした。プログラマーをこころざしたきっかけは,ゲームが大好きだったことです。兄がいたこともあり,はやりのゲームは一通りやっていて,高校時代も,学校が終わった後に,友達とゲームセンターに行くのが楽しみでした。ゲームにきょうがあったことから,パソコンのせんもんざっもよく読むようになり,早いだんかいから今の仕事と同じ分野にきょうを持っていたように思います。
また,まんや絵画,デザインなども好きだったため,高校の時にはじゅつに入部しました。そこからデザインの大学へ進学することになりました。結果的には,デザインの道ではなくITの世界へ進むことになりましたが,今やっているデジタル教科書の開発においても,デザインは便べんせいを高めるという点で,重要なやくわりを果たします。そうした意味でも,デザインを学んだけいけんは生かされているように感じています。

しきよりも熱意を持って

知識よりも熱意を持って

ITに関わる仕事というと,けい分野が得意でなければいけないというイメージがあるかもしれませんが,わたし自身,高校時代はぶんけい科目のほうが得意でした。ITの世界へ入ったときも,まったくしきがないじょうたいからのスタートでした。もちろん,がむしゃらに努力はしましたが,かえってみると,しきよりも「好きなことを仕事にしたい」という強い思いを持ち続けたことが,成功のカギだったように思います。やはり,入ってからの努力とやる気が一番大切です。
また,わたしは一見ITとは関係のなさそうなデザインの勉強をした後,今の仕事にきました。回り道をしたようにも思いますが,そのけいけんから「やってみたいことがあれば,いろいろなけいけんをしたほうがいい」とも思っています。知らないことを学ぶのは,とてもおもしろいことですし,になることはありません。きょうを持ったものがあれば,ぜひいろいろなことにちょうせんしてみてください。
ただ,たくさんの回り道やみちをしても,最終的にどの道も選べるように,ほんてきな学業はおこたらないほうがいいと思います。てきな学力をつけた上で,多くのけいけんをすれば,せんたくはどんどん広がっていくと思います。

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ルース・スタイルス・ガネット ほか
子どものころはマンガやテレビが大好きでしたが,その中で「活字もおもしろい!」と思わせてくれた本です。ドラゴンが出てくる冒険ファンタジーの世界は,男の子なら誰もが憧れるはず。読書感想文を書く時にも,この本を選んだことを覚えています。

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取材・原稿作成:船戸 梨恵(クロスワード)・岐阜新聞社 /協力:株式会社 電算システム