仕事人

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東京都に関連のある仕事人
1975年 生まれ 出身地 大阪府
黒田くろだ 博樹ひろき
子供の頃の夢: プロ野球選手
クラブ活動(中学校): 野球部
仕事内容
プロ野球の試合を見ながら,試合について語る。
自己紹介
まわりをしっかり見てしんちょうに物事を進めるせいかくです。子どものときは,前の日にじゅぎょうじゅんをして学校へ行き,プロ野球選手になってからも,投手としてしっかりじゅんをして試合にいどんでいました。
出身高校
出身大学・専門学校

※このページに書いてある内容は取材日(2018年06月29日)時点のものです

プロ野球の試合を見ながら,試合について語る

プロ野球の試合を見ながら,試合について語る

わたしはプロ野球かいせつしゃをしています。野球場で試合を見ながら,じっきょうのアナウンサーの方のしつもんに答えたり,自分の感じたことをテレビの前のみなさんに伝える,という仕事です。
試合の前には,試合に出るチームの他の試合を見たり,バッターやピッチャーのじょうたいを調べたりということをします。試合当日はアナウンサーの方やスタッフの方と打ち合わせをし,選手やチームのじょうたい,そのときの順位,対戦チームとの勝敗データなどをかくにんしていきます。
もちろんデータもふまえてかいせつをするのですが,そのときに感じたことをお話しすることも多いですね。わたしげんえき時代,ピッチャーだったので,やはりかいせつではピッチャーのことについて話すことが多くなります。アナウンサーの方からの思わぬしつもんこまることも時にはありますが,じゅんをしておけばだいじょうです。

打ち合わせをしてちゅうけい

試合ちゅうけいの日は球場に入り,スタッフとの打ち合わせをしたあと,ちゅうけいが始まるとかいせつたんとうし,ちゅうけいが終わればその日の仕事はしゅうりょうとなります。
かいせつしゃによっては,早く球場に入って試合前にグラウンドに出て,選手やかんとくと話をする方もいます。ただわたしの場合,まだいん退たいしてあまり時間がっていないこともあり,知っている年下のげんえき選手もたくさんいます。そのため,わたしがグラウンドに出てしまうと,気をつかってあいさつに来る選手もいて,かれらのウォームアップのルーティンをくずしてしまう。だから,あえて試合前には選手に会わないようにしています。
また,わたし自身は広島東洋カープにしょぞくしていましたから,カープにはよく知っている選手がたくさんいますし,かいせつではかれらのせいかくとくちょうあくしながら話ができます。でもきゅうだんの選手に関しては,じんの深いところまではわからない。だからそういう部分でのむずかしさはありますね。ではよく知っているのがいいのかというと,ぎゃくに「知っていても話してはいけないこと」というのもありますので,よく知りすぎていてもむずかしいですね。

勇気が必要だった,メジャーリーグへのちょうせん

勇気が必要だった,メジャーリーグへの挑戦

プロ野球選手として活動してきたなかでの一番大きなけつだんは2007年,メジャーリーグへ行くことを決めたときです。わたしがアメリカにわたったのは,32さいのときでした。これは今の野球界からすればとてもおそく,選手としてのピークもぎていたと思います。だから,ちょうせんすることには大きな勇気が必要でした。
わたし自身,小さいころからプロ野球選手になりたいとは思っていましたが,最初はぼんやりとしたあこがれでした。しかし,「プロ野球選手になる」というのを目標にしたあとは,そこからぎゃくさんをして,なるために必要な「小さな目標」をまず立てる。そしてその目標をクリアしたら,また次の目標へ向かって努力をしていく。そうやってかいだんを一つ一つ上がってきた気がします。最初から10だんまとめて上がろうとすると,わたしせいかくではちゅうであきらめていたかもしれません。
「メジャーリーガーになる」というのは大きなゆめですが,そこまでの道は,やはり1だんずつなんですね。1だんだん,少しづつ積み重ねたものがあったからこそ,ちょうせんもできたのではないかと思っています。

弱い人間だからこそ「強さ」につなげることができた

弱い人間だからこそ「強さ」につなげることができた

わたしは,自分自身のことを「強い人間」だと思ったことがありません。もともとおさないころからしんちょうというか,良くも悪くも周りをしっかり見るタイプではありました。これはピッチャーというポジションにも生かされたと思います。また,子どものころから,次の日のじゅぎょうに必要な教科書やノートなどは,前の日にカバンの中に入れておくタイプでした。これは大人になり,プロ野球選手になっても変わらなくて,登板の前日にはじゅんませていましたね。先にじゅんをしておくのは「弱いから」なんです。マウンドに上がるのがこわいから,しっかりじゅんをするんですね。
強い人なら,たとえ打たれてしまったとしても「まあそういうこともある」とえることができる。でもわたしは,打たれるのがこわいんです。じゃあどうするかというと,きょうしんがあるからじゅんもするし,相手のこともしっかり調べる。「これで100%だいじょう」ということはなくとも,それに近づけてマウンドに上がるようにしていました。
特にメジャーリーグに行ってからは,わかいときのようにもいかないため,体を動かし,試合に向けてコンディションを上げていくだけでなく,相手の選手のデータを調べたり,の試合のえいぞうを見たりしました。それを毎回積み重ねたことで,長い間,選手として活動することができました。わたしの「弱さ」が,ぎゃくに「強さ」になったんだと思います。くやしい思いをしたこともありますし,ワーッとあばれたい気持ちになったこともあります。でも,そういう気持ちを味わいたくないから,練習やじゅんをするんです。

「メジャーでかつやくできなければ帰らない」と決めていた

「メジャーで活躍できなければ帰らない」と決めていた

2014年に,広島東洋カープにもどることを決めました。当時は40さいに近いねんれいで,次の年には選手としてどうなっているかわからない。そういうじょうたいけつだんするのは,なかなかむずかしいことでした。じっさい,ギリギリまでどうするかまよっていた部分もありましたが,さまざまなタイミングがうまく合ったというのが大きいです。
げんえき生活の最後は日本で,カープでプレーしたいとはずっと決めていました。しかし自分の中で,「メジャーリーグでかつやくできなければ帰らない」と決めていたんです。成功したら帰れるし,成功しなかったら帰れない。そういう思いが「アメリカでもがんろう」というモチベーションになったのはたしかです。
そのため,カープにもどってから,一番最初にホームであるマツダスタジアムで投げた試合は,とても印象に残っています。当然,きんちょう感もありますし,ファンの方の期待も感じていました。ただ帰ってくるだけではダメだと思っていたので,「結果を残さないといけない」というプレッシャーもありました。そんな中の初登板でしたが,その試合で勝つことができました。そのときはうれしさよりも,ホッとしたという気持ちが大きかったですね。

「野球と勉強の両立」を目指した中学生時代

「野球と勉強の両立」を目指した中学生時代

野球を始めたのは小学校1年生のときです。仲がよかった友人が少年野球チームに入るというので,いっしょに入りたいと言ったのがきっかけでした。もともとわたしの父親は元プロ野球選手だったので,そういう意味では,野球をやりやすいかんきょうで育ってきたといえるかもしれません。母は小学校の先生でした。
その後,野球を続け,中学生のころは本当に野球ばかりの毎日でした。でも「勉強は必ずきちんとする」というのが親との決めごとでしたね。もし勉強ができないようだったら野球はさせない,勉強と野球を両立して初めて一流になれる,と両親にはずっと言われていました。
当時から「一度やると決めたことはやり通す」というせいかくでした。中学生のときは「オールすみ」といういきのチームにいたんですが,「3年間はやめない」と自分の中で決めていました。そういう「自分が決めたこと」に関する努力はしていたように思います。

たとえ1番になれなくても,努力を続けることが大事

たとえ1番になれなくても,努力を続けることが大事

けつだんする」というのは,とてもむずかしいことです。二つの方向に同時に進むことはのうですし,どちらか一つを選ばなくてはいけない。そういうときに大切なのは,「自分が進んだ方向が正しかった」と思えるために,努力することではないでしょうか。どちらを選んでも,ぜったいこうかいはあると思います。しかし,選んだ道でせいいっぱいの努力をすれば,「この道を選んでよかった」と思えるはずです。
また,つねに目標を一つ一つクリアすることを心がけてはきましたが,わたし自身,いつも1番だったわけではありません。高校時代,わたしはチームの中で1番のピッチャーではありませんでした。でも高校野球を3年間やり通す中で,次に目指すものが見えてきたんです。
「1番」は,一人しかいません。その一人に選ばれるのは大変なことです。もし1番になれなくても,努力をすれば,次のちがったステージで1番になれるかもしれない。たとえトップになれなくても,のうせいはたくさんあります。でも,努力をしないと,次のステップは出てこないんです。だからまずは,あきらめずにやり続けること。そうすれば,次の光が見えてくるはずです。
みなさんにも,自分の思ったようにならないことも,大変なこともたくさんあると思います。でもゆめをあきらめず,自分の思ったことをつらぬとおせば,まだまだたくさんののうせいがあるはずです。今を楽しみながら,未来へ向けて次のステップに進んでいってほしいなと思っています。

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取材・原稿作成:東京書籍株式会社