日本財団

海・川の仕事人

〈カキようしょく
の仕事

岡山県瀬戸内市
ざき すえひろさん

わたしおかやまけんうちで,むすいっしょにカキようしょくなどの漁業をしています。海がおだやかなないかいではカキのようしょくがさかんで,おかやまけんの生産量はひろしまけんみやけんに次ぐ全国3位です。カキのようしょくは,夏に天然のしゅびょうようせい)を集めるところから始めます。さんらんにホタテガイのからをたくさん海にるすと,海中をただよっているしゅびょうが付着するんです。しゅびょうがつくと黒いつぶつぶにくがんでもわかります。

集めたしゅびょうあさきびしいかんきょうに置いて,しばらくの間は成長させません。強い種を残すための間引きとしゅっ時期の調整のためです。よくねん5月に,種がついたホタテガイのからをロープにはさんでいかだから海中にるし,ほんかくてきに育て始めます。夏の間はいかだないわんに置いて台風から守り,秋になるとおきに出してカキにプランクトンをたっぷり食べさせます。しゅっは11月から4月で,からをはずしたむき身にする作業で,りょうおおいそがしです。今は外国人ののう実習生の力も借りています。

ようしょくは生き物を育てる仕事です。カキを思いやって,こまめに世話をすることが大事です。いかだにからんだ1本の流木をのぞくような小さなことでも,積もれば大きなちがいになります。また,りょうしおの流れや地形などからプランクトンが多いかいいきそくし,いかだを置く場所を選びます。しかし自然が相手の仕事なので,不作の年もあります。ふうと努力を重ね,ひんしつのいいものが育ってくれて市場でひょうされると,手をかけただけのことはあったなと,本当にうれしくなります。

助成:公益財団法人 日本財団
協力:NPO法人 共存の森ネットワーク,愛南漁業協同組合
取材・執筆:大浦 佳代/イラスト:友永 たろ,川島 星河,広野 りお