日本財団

海・川の仕事人

〈船大工(川船)〉
の仕事

岐阜県美濃市
那な須す 清せい一いちさん

岐ぎ阜ふ県けん美み濃の市しで,アユ漁に使う木もく造ぞう船せんをつくる船大工をしています。これまでに600艘そう以上の船をつくりました。木もく造ぞう船せんはプラスチック製せいの船に比くらべると寿じゅ命みょうが短く手入れも必要ですが,軽くて操そう作さしやすく安あん定てい性せいがよいなどの利点があります。また,船を使う川や使う人の体たい格かくに合わせて寸すん法ぽうや形を調整することもできます。私わたしの師し匠しょうは父で,長なが良ら川がわでのアユ漁も,10歳さいの時から父と一いっ緒しょにしてきました。その経けい験けんが船大工の仕事に生きています。

船は水みず漏もれしないことが命です。木もく造ぞう船せんには,防ぼう水すいの工く夫ふうがいくつもあります。材料の板は,ゆがみが出なくなるまで何年も乾かん燥そうさせます。技ぎ術じゅつ面めんでは,密みっ着ちゃくさせた2枚まいの板の接せっ着ちゃく面めんをのこぎりでひき凸でこ凹ぼこをぴったり合わせる「すり合わせ鋸のこ」,板の接せっ着ちゃく面めんを金づちで叩たたいて軽く凹くぼませる「木殺し」といった技ぎ術じゅつを使います。凹くぼみが水を吸すうと膨ぼう張ちょうして板のすき間をふさぐんです。さらに船底と舷げん側そくの間には,木の皮の繊せん維いをつめて防ぼう水すいします。

木もく造ぞう船せんの技ぎ術じゅつでいちばんむずかしいのは,釘くぎの打ち方です。1艘そうの船には500本以上もの船ふな釘くぎを使いますが,厚あつさ3cmの板の中に太くて長い船ふな釘くぎを真っすぐ水平に打ち込まないといけません。打うち込こむ角度がわるいと板にひびが入り,水みず漏もれの原げん因いんになります。釘くぎの太さなどに合わせて専せん用ようの道具をいくつも使い分け,集中して慎しん重ちょうに作業を進めます。

助成:公益財団法人 日本財団
協力:NPO法人 共存の森ネットワーク,愛南漁業協同組合
取材・執筆:大浦 佳代/イラスト:友永 たろ,川島 星河,広野 りお