日本財団

海・川の仕事人

〈航海士〉の仕事

とう かずさん
(川崎汽船株式会社)

わたしかわさきせんという海運会社で,大型貨物船の航海士として働いています。航海士は,船のそうじゅうや貨物の管理がおもな仕事で,国家かくが必要なしょくしゅです。1回の乗船きんは6か月間で,わたしはこれまでにコンテナ船,自動車を運ぶ自動車船,LNG(えき天然ガス)船などに乗り,世界の海を航行してきました。大型貨物船には,船長と航海士3人と,エンジンなどの機械類を管理する機関長と機関士3人のほか,部員が乗船しますが,全員合わせても20人ていです。

そうせんを行う「航海当直」は,一等航海士,二等航海士,三等航海士の3人による1日3こうたいせいです。二等航海士のわたしの当直は0時~4時と12時~16時です。当直はこうはん部員とペアで,航海士は航海計画にしたがそうがんきょうなどで進路をかくにんしながら,こうはん部員にかじを取るようにを出します。港にとうちゃくすると,航海士は貨物を積んだりげたりする「やく」を行いますが,これも4時間交代です。こう中のわずかな時間に下船してこくの町を歩くのが,わたしの楽しみです。

少ない人数で大きな船を動かす航海士は,一人一人のせきにんが重く,わずかなミスが命のけんにつながるためきんちょういられます。とくに航路がせまく船のおうらいが多い東南アジアのマラッカかいきょうや,ヨーロッパの沿えんがんかいいきつうにはしんけいを使います。はんだんまよい,夜中に船長を起こしてあおぐこともよくあります。重いせきにんを負う仕事ですが,日本はしゅつにゅうの99%以上を船による海上そうささえているため,その大切なやくわりを果たすことに大きなやりがいも感じています。

助成:公益財団法人 日本財団
協力:NPO法人 共存の森ネットワーク,愛南漁業協同組合
取材・執筆:大浦 佳代/イラスト:友永 たろ,川島 星河,広野 りお