日本財団

海・川の仕事人

コラム

15

漁りょう師しになるには

漁業は多た様よう性せいに富む仕事

 「漁りょう師し」と聞くと,筋きん骨こつたくましい「海の男」をイメージするかもしれませんが,じつは漁業はとても多た様よう性せいに富んだ仕事で,漁りょう師しさんの働き方,生き方はさまざまです。
 実じっ際さい,船ふな酔よいする漁りょう師しさんはけっこういますし,機械化により,筋きん力りょくのさほどない人でも漁業はできます。伝でん統とう的てきな海あ女まさんや夫ふう婦ふで漁をする人だけでなく,最近は1人で漁船に乗って海に出る女じょ性せいもいます。
 通信技ぎ術じゅつの発達で,漁村は世界と直ちょく接せつつながるようになりました。ネット通つう販はんや飲食店との契けい約やく,加工販はん売ばいなどに挑ちょう戦せんする漁りょう師しさんも出てきています。また,鮮せん度ど保ほ持じの工く夫ふうや,資し源げんや環かん境きょうを守る取り組みを発信して,自分がとったり育てたりした水産物をブランド化するなど,努力を消しょう費ひ者しゃにまで伝える動きも進んでいます。

漁業の規き模ぼと働き方

 漁業には,遠洋漁業,沖合漁業,沿えん岸がん漁業があり,漁場や働き方が異ことなります。遠洋漁業は,大きな漁船に数か月から1年も乗り,世界の海で魚を追います。沖合漁業は,数日から数週間の航こう海かいを繰くり返かえします。沿えん岸がん漁業は日帰りで,漁業の種類によっては海上の作業は日に2,3時間で,陸の仕事のほうが多いことさえあります。
 経けい営えいの形や規き模ぼもさまざまで,遠洋漁業や沖合漁業の多くは,漁業の会社が経けい営えいし,漁りょう師しさんは給料をもらって働いています。沖合漁業や沿えん岸がん漁業では,数人が乗り組む中小企き業ぎょうのような漁船もあります。日本で一番多いのは,家族や1人で漁をする独どく立りつ漁りょう師しで,漁だけでなく操そう船せんや機器類の知ち識しきと技ぎ術じゅつ,経けい営えい能のう力りょくも求められます。

雇こ用ようか独どく立りつ経けい営えいかで異ことなる道のり

 漁りょう師しへの道はいくつかあります。まず「雇こ用よう」か「独どく立りつ経けい営えい」か,で分かれます。雇こ用ようの場合は,他の職しょく業ぎょうのように求人を探さがします。求人情じょう報ほうは全国漁業就しゅう業ぎょう者しゃ確かく保ほ育成センターのサイトなどで得えられるほか,漁業の会社側と顔を合わせて相談できるマッチングフェアも東京・大阪・福岡などで毎年,開かい催さいされています。
 独どく立りつ漁りょう師しになるには,研けん修しゅう制せい度ど(1年~数年)を利用するのが近道です。多くの漁法には漁ぎょ業ぎょう権けんが必要で,漁業協同組合(漁協)に加入しないと実じっ質しつ的てきに漁はできないためです。漁協に加入するには,1年以上の漁業の実じっ績せきが必要です。研けん修しゅう中は,師し匠しょうとなる漁りょう師しさんのもとで技ぎ術じゅつを学び,その間は生せい活かつ費ひが助成されます。修しゅう了りょう後には,漁協などが漁船や漁ぎょ業ぎょう権けんの取しゅ得とくなど,独どく立りつの準じゅん備びをしてくれるのが一いっ般ぱん的てきです。
 漁りょう師しは高こう齢れい化かが進み,移い住じゅう者しゃの受け入れに積極的な漁村地ち域いきは増ふえています。漁りょう師しになりたい場合,自分の適てき性せいに合わせて働き方を選べば,漁りょう師しへの道は必ず開けるはずです。

助成:公益財団法人 日本財団
協力:NPO法人 共存の森ネットワーク,愛南漁業協同組合
取材・執筆:大浦 佳代/イラスト:友永 たろ,川島 星河,広野 りお