仕事人

社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!

東京都に関連のある仕事人
1992年 生まれ 出身地 東京都
石踊いしおどり 辰史たつし
子供の頃の夢: プロ野球選手
クラブ活動(中学校): 野球部
仕事内容
安全な商品をお客さまにとどけるために,ソースのひんしつを管理する。
自己紹介
ねばづよせいかくです。何か失敗したとき,そこであきらめるのではなく,次はえられるようにがんばります。入社したときに「ねばづよく,日々きゅうしゅう」と目標を立てました。お笑いや音楽が好きで,芸人さんやアーティストのことなど,好きなことはとことん調べるタイプです。
出身大学・専門学校

※このページに書いてある内容は取材日(2020年10月08日)時点のものです

ソースのひんしつを守るためにけんしたり,工場のチェックをしたりする

ソースの品質を守るために検査したり,工場のチェックをしたりする

わたしはソースのせいぞうはんばいを行う「トキハソースかぶしき会社」で働いています。とうきょうきたたきがわに本社と工場があり,そうぎょうは大正12年,とうきょうで一番古いソースメーカーです。トキハソースでは,ものにかけるソースや焼きそばソースなどを自社工場でせいぞうしており,中でも生野菜をこうぶんかいし,熱を加えずに作る「生ソース」は大人気商品です。商品は百貨店やスーパーなどであつかっていただいたり,自社でうんえいするオンラインショップでいっぱんの方向けにはんばいしたりしています。
わたしは本社の「ひんしつ管理部1課」にしょぞくしています。工場はもうひとつ,さいたまけんにもあり,そこには「ひんしつ管理部2課」があります。会社の社員数は26名で,ひんしつ管理部のメンバーはそのうち1課に2名,2課に2名の計4名です。
ひんしつ管理部の主な仕事は,理化学けんせいぶつけんです。かんたんに言うと「ソースのひんしつけんする仕事」です。できあがったソースの成分に何か問題はないか,悪いせいぶつが発生していないかといったことを調べ,そのソースをしゅっしてもよいかどうかをはんだんします。
また,取り引き先のぎょうさまにていしゅつする「かくしょ」の作成も重要な仕事です。これは,ぎょうさまに安心して商品をあつかっていただくために,商品の成分すうせいぞうこうていけんたいせいなどのじょうほうをとりまとめたりょうです。しんの取り引きに関する問い合わせをいただいたときに「かくしょ」をていしゅつしたり,すでにお付き合いのあるぎょうさまにも,食関連のほうりつかいていに合わせてかくしょないようこうしんし,さいていしゅつしたりします。
近年は,食のあんぜんせいへの関心が高まっています。トキハソースでも安全・安心な商品をていきょうするために,食品の安全を守るためのこくさいかくである「ISO22000」を2018年にしゅとくしました。ひんしつ管理部では,ISO22000のじゅんしたがって作られた,社内の“ルールブック”にのっとって,各部署でルールが守られているかどうか,定期的なチェックも行っています。工場のげんから,「こうしたほうがいい」というような声があったら,そうした意見もどんどん取り入れて,ルール自体の見直しも行います。

理化学けんでソースを入念にチェック

理化学検査でソースを入念にチェック

理化学けんでは,ソースのとう,塩分のうさん, じゅうねんせいのほか,アルカリせいさんせいを表すpHのあたいなどを調べます。とう計などのせんようそくていを使うけんもありますが,みなさんが理科の実験で使うような,ビーカーやメスシリンダーなどの道具を使って行うけんもあります。
せいぞうでソースができあがると,ひんしつ管理部にけんようのサンプルソースがとどけられます。わたしは,ソースと薬品をぜて色の変化を見たり,薬品をたらしたときになんてきすうが変わったのかを見たりして,ソースが成分表通りのすうになっているかをたしかめます。さらにかんのうけんといって,じっさいになめたときの味やにおいなどに問題がないかもかくにんします。また,せいぶつけんも行い,ソースのせいぶつの数をチェックします。これは,ソースのせいぞう時やじゅうてん時にあやまった管理によってきんはんしょくしていないかをかくにんする,重要なけんとなります。そして,全てのけんで問題がなければ「しゅっOK」のはんだんをします。
わたしの仕事は朝8時30分から始まります。会社全体のミーティングが終わったら,午前中はけんを行うことが多いです。午後はけんしたデータ結果をまとめたり,工場のげんで使用しているISO関連の書類をかくにんしたりとてきな作業を進めます。17時30分が定時なので,ほとんどの日はその時間に帰ります。しかし,けん数が多かったり,ふくすうぎょうさまへのかくしょていしゅつげんが重なったりするときには,残業をすることもあります。

せいかくけんができるまで,練習をひたすらかえした

正確な検査ができるまで,練習をひたすら繰り返した

わたしは以前,せいぞうしょぞくしていましたが,2019年にひんしつ管理部にどうになりました。それまでに理化学けんけいけんはありませんでしたが,大学で食品関連の勉強をしていたので,あるていしきはありました。しかし,どうしてからしばらくの間は,けんじっさいたんとうすることはなく,毎日,いくつものサンプルを使って練習をかえし,上司にかくにんしてもらうという日々を送っていました。
トキハソースには,「生ソース」だけでのうこうちゅうのう・ウスターの3種類の味があります。さらに「特選」という味わい深いウスターソースや,焼きそばソース,とんかつソースなどもあります。この種類のほうさが,けんの初心者にとってはかべになります。ソースによって,見るべき色の変化や,正しいけんすうがそれぞれことなるからです。練習期間は,上司に結果をていしゅつするものの,「薬品を入れすぎている」「色の変化をきちんと見られていない」などとてきをもらい,何度も何度もやり直しをする日々でした。

ソースのしゅっを最終はんだんする重要なやくわり

ソースの出荷を最終判断する重要な役割

ひんしつ管理部にどうになってから2か月がったある日,ようやく連続で正しい結果に近いすうを出すことができました。そして,上司に「次回から本番のけんをしてもだいじょうだね」と言ってもらえ,ついにけんたんとうすることになりました。晴れて「本番のけんをしていい」と決まったときは,うれしい気持ちでいっぱいでした。しかし,「商品のしゅっが自分のはんだんによって決まる」というせきにんがあると考えたとき,うれしさとは反対にきんちょうや不安がこみ上げてきたのを今でも覚えています。
げんざいは,けんたんとうするようになって1年以上がち,けいけんも積んできたので,自分のけんじゅつに自信をもてるようになりました。ソースごとにちがう色の変化がはっきりと見えたときや,けんすうがしっかり出たときは,みょうに気持ちがいいんですよね。しかし,れてきたからといって気をゆるめてはいけません。商品の成分すうについてけんごとにブレがあると,ひんしつにバラつきが出て,お客さまからの信用をなくしてしまいます。わたしけんの感覚をたもつために,サンプルのソースを使って,練習をするようにしています。つねきんちょうをともなう仕事ですが,それだけにせきにんとやりがいを感じられる仕事です。

自分の意見を伝えることが大切

自分の意見を伝えることが大切

仕事をするうえで,自分の意見をもち,それを他の社員にしっかり伝えることを大切にしています。人数が少ない会社なので,みんなで意見をわしながら会社を成長させていく必要があると考えているからです。以前,上司が作成した書類に気になる点があり,「こうしたほうがいいのではないでしょうか」と,自分なりの意見を伝えたことがありました。また,ファイルの管理の仕方にこうりつの悪さを感じたときに,かいぜん方法をていあんしたこともありました。ていあんみとめられて,じっさいに「やってみていいよ」となったことも,何度もあります。
自分の意見がちがっているかどうかは,あまり気にしません。「それはちがうよ」とてきされたらその意見を受け入れて,どこがちがっているのかをよく考えて話を進めます。一方通行にならないように,つねに意見こうかんをするように心がけています。
トキハソースには,上司も部下も関係なく発言しやすいふんがありますし,意見を受け入れてくれるじょうもあります。とても働きやすい会社だと感じています。

「手作り」のおもしろさ,おくぶかさからトキハソースを選んだ

「手作り」の面白さ,奥深さからトキハソースを選んだ

わたしは大学で食品について学びました。栄養学の研究室にしょぞくし,食に関するさまざまなしきを身につけました。ですから,働くにあたって食品業界を選んだのは自然な流れでした。
しゅうしょく活動中に初めてトキハソースをおとずれたときは,おどろきの連続でした。食品のせいぞうのイメージは,工場に機械がたくさんあって,商品がベルトコンベアで流れていて,人は機械を管理するためにいるものだと思っていました。しかし,トキハソースでは,人の手だけでソースの原料をタンクに入れて,ぜて,ようめて……。そんなこうていを見て「ここまで手作りをする会社があるんだ!」とびっくりしました。しかも,いっぱん向けの商品だけでなく,ぎょうようのソースまでも作っています。それまでは大手の食品メーカーしか知らなかったのですが,「自分たちの食生活をささえている会社には,こういうところもあるんだ」「小さな会社でもこれだけのはばひろい商品てんかいをして,がんばっているんだ」と,深くかんめいを受けました。
さらに,ソースの味にもおどろきました。たくでは,大手ぎょうの商品しか使ったことがなかったのですが,トキハソースのソースを初めて口にしたときは「まったくちがう!」と思いました。同じソースでもこんなにもちがうものかと,食に対するしきが大きく変わったしゅんかんでした。このようなけいけんから,「この会社でちょうせんしてみたい」という気持ちが強くなりました。

野球の練習できたえられたせいしんりょくが,今でも大きな自信に

野球の練習で鍛えられた精神力が,今でも大きな自信に

子どものころは,野球少年でした。小学2年生からなんしき野球を始めて,3年生くらいのときにはプロ野球選手になりたいと思っていました。当時,よみうりジャイアンツにいたとうあきら選手にあこがれていて,毎日,テレビの野球ちゅうけいちゅうになっていました。中学3年生のときにはキャプテンをつとめました。みんなをまとめるのがとても大変で,つらいと思うこともたくさんありました。高校生のときは毎日おそくまで練習にはげんでいました。実力のある子がいる中,がむしゃらにがんりました。時にはかんとくからのきびしいどうもありました。このときの練習のつらさを考えると,仕事上で何かかべにぶつかったとしても,「あの日々をえたのだから,これくらいならだいじょう」と思えることが多いですね。せいしんてきにとてもきたえられたと感じています。
それから,お笑い芸人さんが大好きな子どもでもありました。わたしは人を笑わせることがあまりとくなほうではなかったので,人にがおとどけられるお笑い芸人さんはすごいなとそんけいしていました。今でも変わらず大好きでテレビやDVDを見たり,最近では芸人さんのエッセイ本やじょでんを読んだりしています。

「それってなに?」とどんどんきょうをもってほしい

「それってなに?」とどんどん興味をもってほしい

みなさんには,いろいろなことにきょうをもって,行動してほしいと思います。少しでも気になることが見つかったら,一歩,足をれてほしいのです。そうすると,楽しい,苦しい,くやしいなど,たくさんのことを感じるはずです。そのしゅんかんでしか味わえないことも山ほどあると思います。そうしたけいけんをした先に,本当にやりたいことが見つかるきっかけがあるかもしれません。たとえちゅうせつしてしまったとしても,それがしきとして残って,その後に役立つこともたくさんあると思います。
わたしの場合も,野球を始めたり,お笑い芸人さんを好きになったりしたのは,小さなきょういだいたことがきっかけでした。わたしはプロ野球選手にはなれなかったのですが,そうしたきょうしょうらいの仕事につながっていったり,自分に元気をあたえてくれるしゅになっていったりすると思います。何事に対しても「なにそれ?」とかんたんに終わらせずに,「それってなに?」と考えることから始めてみてほしいですね。

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私のおすすめ本

ハライチ 岩井勇気
読書の習慣があまりなかったのですが,本のタイトルに惹かれて手に取りました。何の変哲もない人生でも視点を変えれば見える景色が変わってくるという,岩井さんのものの見方や考え方に面白さを感じました。この本をきっかけに芸人さんの本をどんどん読むようになりました。
ナイツ 塙 宣之
塙さんが独自の視点で漫才を分析している本です。お笑いは笑えればよいと思っていましたが,この本では,芸人さんの各々のお笑いのスタイルや漫才の歴史などについて,塙さん自身が出場していたM-1グランプリと絡めながら話をしているので,「面白い」ということの奥深さを感じることができました。

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取材・原稿作成:瀬戸川 彩 (Playce)・東京書籍株式会社/協力:城北信用金庫