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東京都に関連のある仕事人
出身地 鹿児島県
じえいかん自衛官
塚脇つかわき 啓仁ひろひと
子供の頃の夢: 学芸員
クラブ活動(中学校): 野球部
仕事内容
防衛(ぼうえい)防災(ぼうさい)などに関わる業務(ぎょうむ)や訓練の企画(きかく)
自己紹介
楽天的であり,かつ几帳面(きちょうめん)性格(せいかく)です。

※このページに書いてある内容は取材日(2016年09月26日)時点のものです

防衛(ぼうえい)防災(ぼうさい)や訓練の計画を立てるほか,災害(さいがい)派遣(はけん)

防衛・防災や訓練の計画を立てるほか,災害派遣も

(わたし)は陸上自衛隊(じえいたい)・第1師団(しだん)の第1普通科(ふつうか)連隊に(ぞく)しており,東京都の練馬駐屯地(ちゅうとんち)勤務(きんむ)しています。第1師団(しだん)は東京都を(ふく)む1都6県の防衛(ぼうえい)警備(けいび)災害(さいがい)派遣(はけん)・国民保護(ほご)などを担当(たんとう)していますが,その中でも(わたし)幹部(かんぶ)として,主に防衛(ぼうえい)防災(ぼうさい)などに関わる計画を立てたり,さまざまな訓練の企画(きかく)を考えたりする仕事をしています。
例えば,国全体に関わるような非常(ひじょう)事態(じたい)が起こった(さい)自衛隊(じえいたい)が行うさまざまな役割(やくわり)がありますが,そうした場合を想定して,計画を作成したり,修正(しゅうせい)したりします。防災(ぼうさい)などに関わる計画には,自治体をはじめ,多くの機関が関係してきます。それらの関係機関と話し合って,調整を行うのも大事な仕事です。
また,防災(ぼうさい)については,普段(ふだん)災害(さいがい)(そな)えて準備(じゅんび)を進めたり,自治体と連携(れんけい)して,防災(ぼうさい)訓練を企画(きかく)して行ったりしていますが,実際(じっさい)に水害などの災害(さいがい)が起こったときは災害(さいがい)派遣(はけん)現地(げんち)へ行き,初動対処(たいしょ)の活動を行います。

災害(さいがい)派遣(はけん)では,素早(すばや)判断(はんだん)が重要

災害派遣では,素早い判断が重要

災害(さいがい)派遣(はけん)では,いろいろなところに行きました。幹部(かんぶ)になる前は九州の部隊に所属(しょぞく)していたのですが,平成22年,牛や(ぶた)などの家畜(かちく)がかかる,口蹄疫(こうていえき)という伝染病(でんせんびょう)が九州で流行したときには,小隊長として現場(げんば)指揮(しき)をとり,処分(しょぶん)する家畜(かちく)を運んだり,消毒や清掃(せいそう)などの活動を行いました。また,九州は台風が多いので,数日間の災害(さいがい)派遣(はけん)がしばしばありました。
その後,幹部(かんぶ)になり,東京へ異動(いどう)になってからは,平成25年,伊豆(いず)大島で大規模(だいきぼ)土砂(どしゃ)災害(さいがい)が起こった(さい)災害(さいがい)派遣(はけん)を行ったほか,鬼怒川(きぬがわ)堤防(ていぼう)決壊(けっかい)した平成27年の関東豪雨(ごうう)(さい)現地(げんち)に入り,現場(げんば)被害(ひがい)状況(じょうきょう)把握(はあく)し,現地(げんち)のニーズに合わせて救助活動などをスムーズに行なえるように活動しました。
災害(さいがい)が起こった現地(げんち)ではさまざまな情報(じょうほう)が入ってくるので,適切(てきせつ)判断(はんだん)して,現場(げんば)の行動を決めます。救助活動にあたるのは自衛隊(じえいたい)だけではなく,警察(けいさつ)消防(しょうぼう)もおりますので,どこまでは警察(けいさつ)でどこからは自衛隊(じえいたい),というように調整をすることも重要です。いろいろなところから情報(じょうほう)が来て,情報(じょうほう)錯綜(さくそう)することも多いのですが,その中で的確(てきかく)に,素早(すばや)判断(はんだん)して,現場(げんば)指示(しじ)情報(じょうほう)を伝えるのが(わたし)の仕事です。

現場(げんば)の隊員がいちばん大変

現場の隊員がいちばん大変

災害(さいがい)派遣(はけん)の場合,被災(ひさい)された方のニーズを最優先(ゆうせん)し,住民の方の場所をお借りしつつ,活動を行います。ふだんはさまざまな訓練を行っていますが,やはり勝手が(ちが)い,気を(つか)うところです。また,先にお話ししたように,錯綜(さくそう)する情報(じょうほう)を選り分けて判断(はんだん)するというのも,苦労するところではありますね。でも,いちばん大変なのは,やはり現場(げんば)(あせ)をかく隊員たちだと感じています。現場(げんば)の隊員たちがスムーズに働けるよう,適切(てきせつ)情報(じょうほう)をスピーディーに伝えることを心がけています。
また,(わたし)はまだ幹部(かんぶ)になる前に,海外派遣(はけん)に行きました。平成17年の,第8次イラク復興(ふっこう)支援(しえん)(ぐん)です。4ヶ月間,派遣(はけん)されてさまざまな任務(にんむ)を行っていましたが,気温が50度にもなる中,重装(じゅうそう)防弾(ぼうだん)チョッキを着て任務(にんむ)につかなければならないので,とにかく暑くて大変でした。緊張感(きんちょうかん)はもちろん,(つね)にありました。毎日,服がびっしょりになるくらいの(あせ)をかきました。でも,今では自衛隊(じえいたい)整備(せいび)した学校や道路がどんなふうになっているか気になるので,もう一回,行って見てみたい気持ちになります。

国の安全を守るやりがい

国の安全を守るやりがい

自分の働きが国のため,防衛(ぼうえい)のためになるというのは,この仕事をするうえでの大きなやりがいです。普段(ふだん)から,国の安全のために働いているという思いは,強く持っています。この点は,他の仕事にはなかなかないのではないかと思います。
ほかに,災害(さいがい)派遣(はけん)(さい)に,現地(げんち)の方から「ありがとうございました」と直接(ちょくせつ)言われるときもやりがいを感じ,(うれ)しいですね。また,(わたし)防災(ぼうさい)計画の調整で警察(けいさつ)消防(しょうぼう)の方とも関わりますので,そういう方々(かたがた)から,「自衛隊(じえいたい)さん,いつもありがとうございます」と言われると,やっていてよかったと感じますよ。
仕事を進めるうえでは,やはり一人ではできない仕事がたくさんあるので,周りの人たちとはしっかり情報(じょうほう)を共有し,連携(れんけい)して進めていくことを大事にしています。この点は自分の(ぞく)しているチーム内でもそうですし,防災(ぼうさい)警備(けいび)の計画に関わる関係機関との間でも同じことですね。

学芸員か自衛官(じえいかん)

学芸員か自衛官か

(わたし)元々(もともと),博物館の学芸員になりたかったんです。昆虫(こんちゅう)をはじめ,生物が好きで,興味(きょうみ)がありました。でも一方で,小学校から高校までずっと野球をやっていて,体を動かすことも好きでした。それで,体を使う仕事もいいなと思っていました。なかでも,年上のいとこが航空自衛隊(じえいたい)のパイロットだったということもあり,自衛隊(じえいたい)には興味(きょうみ)があったんです。
高校2年生になって進路を決めるとき,学芸員と自衛隊(じえいたい)の間で(まよ)ったのですが,自衛隊(じえいたい)の方が学校に来られて,その勧誘(かんゆう)を受けて,資料(しりょう)を読んだりするうちに,「この仕事は自分に合っているな」と思い,自衛隊(じえいたい)に入隊することにしました。また,幹部(かんぶ)になればリーダーシップを発揮(はっき)できると聞いていたので,頑張(がんば)って幹部(かんぶ)になろうと,入隊のときから思っていました。結果的に努力して,幹部(かんぶ)になれました。今後も努力を(おこた)ることなく,任務(にんむ)(はげ)んでいきたいと思っています。

野球を通じて得た,チームをまとめる経験(けいけん)

野球を通じて得た,チームをまとめる経験

子どもの(ころ)は,虫が好きでした。なかでも(ちょう)が好きでしたね。(つか)まえて,標本を作ったりもしていました。今でも(ちょう)は好きで,飛んでいる(ちょう)を見れば,たいていは名前がわかりますよ。図鑑(ずかん)もたくさん持っています。
小学校から野球を始めて,中学校・高校時代,放課後はほぼ部活ばかりの日々(ひび)()ごしていました。土日も試合や練習がありました。野球部では,中学校でも高校でも,副キャプテンを(つと)めました。練習内容(ないよう)など,監督(かんとく)から指示(しじ)があったのをキャプテンと相談して決めて,それをみんなに伝達したりしていましたね。副キャプテンを(つと)めたことで,チームをまとめる経験(けいけん)ができましたし,このときの経験(けいけん)は今の仕事に生きていると思います。

やりたいことに向けて歩んでほしい

やりたいことに向けて歩んでほしい

自分がやりたいことをやったほうがいいと思います。ただ大学に行くとか,ただ仕事をするというわけではなく,しっかりと自分がやりたいことを目標にして,そのために努力することがいいと思います。
(わたし)もどちらかというと,高校1年生くらいまで「これをやりたい」ということはそんなに深く考えていなかったのですが,高校2年生で「自衛隊(じえいたい)に入りたい」と決めてからは,(きん)トレに(はげ)むなど,目標に向かって努力するようになりました。人から言われて決めたことではなく,自分がやりたいことを頑張(がんば)ってやると,長続きするはずです。(わたし)も,自衛隊(じえいたい)に対する思いは入隊当初から変わっていませんよ。何となく(しょく)について,すぐに辞めてしまう人も多いと聞きますが,そうなってしまわないためにも,みなさんには自分でやりたいことを決めて,そこに向けて努力してほしいと思います。

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昭和45年頃の自衛隊を舞台にした短編集です。作者の実体験をもとにした,とても面白い話であり,当時の時代背景をうかがうことができます。

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取材・原稿作成:東京書籍株式会社