仕事人

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東京都に関連のある仕事人
1981年 生まれ 出身地 大阪府
子供の頃の夢: オーケストラ指揮者,ラグビー選手
クラブ活動(中学校): ラグビー部
仕事内容
ラグビーの普及(ふきゅう)活動や,ラグビーを通した社会貢献(こうけん)を行う
自己紹介
好奇心(こうきしん)旺盛(おうせい)で,他人がやらないような,色々(いろいろ)なことにチャレンジするのが好きです。

※このページに書いてある内容は取材日(2016年09月07日)時点のものです

日本のラグビーを発展(はってん)させる

日本のラグビーを発展させる

(わたし)はラグビー選手を引退(いんたい)した後,2016年5月に「日本ラグビーフットボール選手会」を立ち上げ,会長を(つと)めています。選手会とは,「日本のラグビーをもっと発展(はってん)させるために,選手の立場から何ができるか」を模索(もさく)していく組織(そしき)です。
選手会の主な活動は四つあります。一つ目はラグビーの良さや楽しさを広める「普及(ふきゅう)活動」。二つ目は「社会貢献(こうけん)」。例えば,(しょう)がい(しゃ)ラグビーの地位向上をサポートするなどの活動です。三つ目は「教育や次世代の育成」。(わたし)は,選手が現役(げんえき)引退後(いんたいご)も社会で活躍(かつやく)していくことが,ラグビー界の発展(はってん)のために必要だと思っています。ですから,選手会として,そうしたことに関する教育を,選手に対して行っていくのです。そして四つ目は,「選手の環境(かんきょう)を良くすること」。つまり,ラグビー選手が安心・安全にラグビーに取り組める環境(かんきょう)を作ることです。
この四つの活動を通して,日本のラグビーを発展(はってん)させるとともに,ラグビーの良さをいろんな人に知ってもらいたいと考え,選手会を立ち上げました。

選手会活動のやりがい

選手会活動のやりがい

例えば社会貢献(こうけん)の一つとして,チャリティオークションを開催(かいさい)し,集まった金額(きんがく)をウィルチェアーラグビー(車いすラグビー)やデフラグビー(視覚(しかく)(しょう)がい(しゃ)ラグビー)といった(しょう)がい(しゃ)ラグビーの団体(だんたい)寄付(きふ)する活動をしています。先日はウィルチェアーラグビー日本代表の合宿先に行って,ウィルチェアーラグビーを体験するとともに,寄付(きふ)もしてきました。(しょう)がい(しゃ)ラグビーも同じラグビーなので,仲間だという気持ちを持っています。でも,日本ではまだまだマイナーな競技(きょうぎ)なので,もっと注目されてほしいと思っています。
また,選手会の活動(※選手会主催(しゅさい)のラグビー体験イベントなど)を(みな)さんが喜んでくれて,「子供(こども)にもっとラグビーをやらせたい」と言われたときなどは,やっぱりうれしいですね。東日本大震災(しんさい)被災地(ひさいち)での活動で,「勇気をもらいました」というようなことを言われたときにも,すごく充実感(じゅうじつかん)を感じました。

2019年ワールドカップに向けて

2019年ワールドカップに向けて

2019年には日本でラグビーのワールドカップが開催(かいさい)されます。これは日本全国の都市で開催(かいさい)されるのですが,都市によっては地元に強いラグビーチームがないために,ラグビーがそれほど()()がっていないところもあります。そういう都市では,選手会がサポートしてイベントを行うことで,ワールドカップに向けて()()げていければいいなと思っています。実際(じっさい)にはワールドカップ組織(そしき)委員会が各都市でイベントなどを行うのですが,(かれ)らはラグビーチームを持っているわけではありません。選手の力があったほうがイベントを充実(じゅうじつ)させやすいので,選手会と組織(そしき)委員会とが協力して,いっしょに()()げていきたいですね。

シャイで運動好きな少年時代

シャイで運動好きな少年時代

子供(こども)のころは,シャイでした。人前に出るのは好きではなかったと思います。今はよく人前に出るようになってしまいましたけど。ただ,今でも,みんなで(しゃべ)っているときは,そんなに(しゃべ)るほうではなくて,わりと聞いているほうです。
シャイだけど活発で,運動はすごく好きでした。いろんなスポーツをやっていましたね。小学生の後半は,放課後などは毎日サッカーをして,週末はラグビースクールに行って,という日々(ひび)でした。地区大会みたいなのがあるときは,バスケットボールもやりました。あとは,年2回スキーに行って,テニスもちょっとやってと,運動ばかりしていましたね。父が体育の先生だったからということもあると思います。
中学からはラグビー()けの生活で,もう毎日ラグビー。高校では,ラグビーと勉強。そのまま,今につながっています。

ラグビーの魅力(みりょく)は「多様性(たようせい)」と「仲間」

ラグビーの魅力は「多様性」と「仲間」

ラグビーの持っている「多様性(たようせい)」がすごく好きですね。大きい人もいるし,太っている人,足の(おそ)い人,いろいろな人がいて,その人にしかできないポジションがあって。チーム全員がそれぞれ,自分の役割(やくわり)をしっかり果たしたときに,いいチームができあがる。しかもそれで試合に勝ったら,周りの人たちにも喜んでもらえる。こんなにやりがいのあるスポーツはなかなかないと思います。
あと,ラグビーをやっている人は,仲間をすごくだいじにします。目の前にいる人が「ラグビー好き」と聞いただけで,一気に距離(きょり)(ちぢ)まる。そういうところもラグビーの魅力(みりょく)だと思います。

日本代表キャプテンの経験(けいけん)

日本代表キャプテンの経験

(わたし)は日本代表のキャプテンを(つと)めました。このことはすごく(ほこ)らしかったし,光栄だったので,苦労はあっても「たいへんだったな」という思いはあまりなく,「名誉(めいよ)だったな」という思いがあります。でも,「キャプテンではなくなる」と言われた瞬間(しゅんかん)には,なんだかドォーッと(つか)れみたいなものが来たので,やっぱりすごいものを背負(せお)ってたんだということに,そのとき気づきました。
むしろ苦労したのは,キャプテンを終えてからです。日本代表にいた最後の2年はキャプテンではなかったのですが,その間は「自分の居場所(いばしょ)はどこなのか」と(なや)みもしましたし,試合に出る機会も()って,「もう代表から外れてもいいんじゃないか」と思ったこともありました。体にも,ちくのうや肉(ばな)れなど,不調がいろいろ出て,それはたいへんでした。
でも,その中でも,チームのみんなと仲がよかったことは救いでした。また,日本ラグビーを変えたいという強い思いがあったから,もういちど,頑張(がんば)ることができ,ここまで来ることができました。だから,最終的にはすごくハッピーだと思っています。

(※2015年のラグビーワールドカップで,日本代表は過去(かこ)にない好成績(こうせいせき)をあげ,日本にラグビーブームを()()こした。廣瀬さんは日本代表の一員としてチームを(ささ)えたが,試合に出ることはかなわなかった。)

「何のためにやるのか?」が重要

「何のためにやるのか?」が重要

いつも「何のためにやっているのか?」という目的意識(いしき)をだいじにしています。「何のために勝つのか?」がないと,試合にも勝てないと思いますし,勝ったとしても,あまりうれしくない。「何のためにやるのか?」をだいじにして,ぶれないようにすれば,大きく道をそれることはないというふうに,いつも考えています。また,そこをしっかり持てば,必然的に「覚悟(かくご)」が生まれてくる。覚悟(かくご)を持っている人というのは,たとえ少しずつでも進化していけるんじゃないかと,そんなふうに考えていますね。これは選手時代もそうですし,選手を引退(いんたい)した今でも同じです。
そして,既存(きそん)のものに納得(なっとく)がいかないなら,もしくは,「次世代のために,こうすればより良くできる」というものが自分の中に確固(かっこ)としてあるのなら,「じゃあやってみたい,やろう」と動いていくのがカッコイイんじゃないかなと思っています。選手会も,そうやって立ち上げました。

ラグビーを,スポーツを,人生の一部に

ラグビーを,スポーツを,人生の一部に

スポーツほど勇気や感動を(あた)えられるものはないと思っています。そして,勇気や感動を味わうにはライブで見ることがだいじなので,やっぱり会場に来て見てもらいたい。今,ラグビーは企業(きぎょう)の中でやるスポーツで,地域(ちいき)密着(みっちゃく)というにはまだ少し距離(きょり)があります。もっと多くの人にラグビーを見に来てもらうために,もっと地域(ちいき)密着(みっちゃく)して,「オレたちのチーム」みたいなものを作っていきたいという思いがあります。
それから,日本人ってスポーツをやる人が少ない。スポーツをやったほうが(のう)活性(かっせい)化して,仕事のクオリティも高まると,(わたし)は思っています。「仕事が人生」になってしまうのではなく,「人生を楽しむための一つが仕事」というふうに,ちょっと価値観(かちかん)を変えるきっかけになるものがスポーツじゃないかと思っているので,スポーツをする人の数も()やしたいと思っています。
スポーツを通して学ぶことはたくさんあります。特にラグビーはつらいし,(いた)いけれど,そういう中で,自己(じこ)犠牲(ぎせい)精神(せいしん)を学ぶことができる。そういうふうに,みんながスポーツをやりながら,人間として成長できればいいと思います。最後に行き着くところがスポーツじゃなくてもいいんです。それは,企業(きぎょう)で働くのでもいいし,アーティストになるのでもいい。でも,その人生の根底に,スポーツがあったらいいんじゃないかなと思います。

(※「あしたね」取材班(しゅざいはん)補足(ほそく)

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取材・原稿作成:東京書籍株式会社