仕事人

社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!

埼玉県に関連のある仕事人
村野むらの 佑太ゆうた
子供の頃の夢: アニメーション映画監督
クラブ活動(中学校): バスケットボール部
仕事内容
作品の方向せいを決めてアニメーションにまとめる
自己紹介
わりと事なかれ主義しゅぎというか,人の良い所を取ってまとめていくのが昔から好きだなぁと思っていましたが,周りからは「きびしい,怖い」とよく言われます。先日は久しぶりに休みがとれたので,つまとディズニーランドへ行って来ました。
出身大学・専門学校

※このページに書いてある内容は取材日(2015年11月16日)時点のものです

作品の方向せいを決めてアニメーションにまとめる

作品の方向性を決めてアニメーションにまとめる

アニメーション監督かんとくの仕事は,作品の方向せい内容ないようを決め,それを演出家えんしゅつか撮影さつえい監督かんとくなど各部署ぶしょに伝え,一つの作品にまとめていくというものです。アニメーション制作せいさくの流れは,まず脚本家きゃくほんかがシナリオを書きます。そのシナリオをわたしがチェックして,方向せい内容ないようちがうと思う所があれば書き直してもらいます。脚本きゃくほんが仕上がると,演出家えんしゅつかと打合せを行います。4コマ漫画まんがのようなアニメーションの設計図せっけいず(絵コンテ)を作ってもらい,それぞれの場面をイメージしながら話し合います。そこでOKを出すと,いよいよアニメーションのもととなる原画げんがをアニメーターにいてもらいます。キャラクターを1秒動かすために8~12まいが必要です。1まい1まいいてもらったものをきびしく見て,必要があれば修正しゅうせいしてもらいます。作曲家に作曲してもらったり,声優せいゆうさんにキャラクターの声をんでもらったりするときも,作品のイメージとことなれば納得なっとくいくまで直してもらいます。おな作品さくひんでも,一つ一つのおはなしべつ演出家えんしゅつか担当たんとうしているのですが,作品全体の中で特に重要なシーンでは,キャラクターのちょっとした表情ひょうじょう芝居しばいが全体とずれていないか,監督かんとく修正しゅうせい指示しじを出すこともあります。また,新しい作品を作るときはたいてい,監督かんとくが第1話の絵コンテをき,演出えんしゅつもして「この作品は今後,こういう風にしていきます」と制作せいさく関係者にしめします。

きびしいチェックと分かりやすい指示しじをする

厳しいチェックと分かりやすい指示をする

わたしはお昼前後に会社に行きます。出社すると,キャラクターのデザイン案や絵コンテ, 監督かんとく 確認かくにん カット等のチェック物が つくえ に用意されているので,それに目を通し 指示しじ みます。 例えばアニメーターが書いた原画げんがについて,「これでは画面が さび しいので,画面全体を食べ物で めて しいです」「ここの人物はもっと楽しそうに体を大きく動かしてください」という 修正しゅうせい を, 実際じっさい に絵に いて わた します。 わたし はアニメーター出身ではありませんが,大学時代に自主 制作せいさく アニメを 沢山たくさん 作ってきた 経験けいけん を生かして,分かりやすい 指示しじ になるよう絵をのせていきます。こうして丹念たんねんに作品を作りこんでいきますから,作品への思い入れはどんどん深くなります。アニメーターが原画げんが1まい1まい全てに修正しゅうせいを入れてもどしてしまうこともあり,「村野さんのときは,チェックがきびしくていやになってしまいますよ」と笑いながら言われることもありますね。

みんなが円滑えんかつに仕事をできるように

みんなが円滑に仕事をできるように

30分のアニメーション作品を1本作るのに,1ヶ月半から2ヶ月間,大勢おおぜいの人が関わります。これだけの期間と人数で進める仕事なので,関わる人たちが無理なく仕事できるようスケジュール管理には特に気をつかいます。ある人の作業が止まっていて,続いて作業する人の時間が足りなくなってしまうと,制作せいさく現場げんば雰囲気ふんいきが悪くなることもあります。人間関係や部署ぶしょどうしの関係を良くすることも,監督かんとくとして重要な役割やくわりだと思います。また,わたしふくめ,制作せいさくに関わる人が持つ作品へのこだわりと,制作せいさくにかけられる時間とお金を調整することも,つねに考えなければなりません。時間もお金も,かぎられていますからね。

大人数で作り上げていくアニメーション作品

大人数で作り上げていくアニメーション作品

アニメーション制作せいさく現場げんばは,毎日が学園祭前日という感じです。大人数で仕事をするので,一人では出なかったようなアイディアにれたり,いろいろな技術ぎじゅつ感性かんせいれることがあります。わたしのイメージをはるかにえて,それぞれの制作せいさく関係者がすごいものを仕上げてきてくれたときは,この人達と一緒いっしょに仕事ができてよかったと心から思います。思い返すと,一人で作品を作りたいと思ったことはありませんでした。たくさんの人と一緒いっしょに,自分一人では作れない作品を生み出すことが,アニメーション制作せいさくのあるべき姿すがただと思っています。そして何より,自分がたずさわったアニメーションがテレビで放送されるときが一番うれしいですね。しかし,放送を見てから間違まちがいを発見する事がよくあります。制作せいさく途中とちゅう間違まちがいが起こらないよう何度も確認かくにんはするのですが,それでもわずか0.1秒,1まいの絵の色だけが変わっていることに気づいてしまったのです。そのときは,確認かくにんれてしまったとやみました。

視聴者しちょうしゃの求めをとらえて形にする

視聴者の求めをとらえて形にする

「こういうものを作りたい」とはっきりとしたイメージを持つことは大切ですが,ひとりよがりになってはいけません。アニメーション作品を見てくれる視聴者しちょうしゃがいて,視聴者しちょうしゃがどのような作品を求めているのか,つねに考えながら制作せいさくしています。どのような視聴者しちょうしゃに向けた作品なのか,対象を明確めいかくにして,その対象に合わせた見せ方ができるようにも心がけています。

あこがれの大先輩せんぱい方に後押あとおしされる

憧れの大先輩方に後押しされる

子どものころからディズニー映画えいが「ピノキオ」や「アリス」が好きで,大人になったら映画えいがのアニメーション監督かんとくをやりたいと当時は思っていました。高校生のころ,あこがれのアニメ映画監督えいがかんとくに「アニメーションに関わる仕事にきたいのですが,どのような進路を選べば良いですか」と手紙を書きました。すると,なんとその監督かんとくさんからお返事がきたのです。「大学に行きなさい」と。「大学4年間は,専門せんもん的なことを身につけるだけでなく,専門せんもん以外のことも学ぶ時間にして,人間のはばを広げなさい」とアドバイスをもらいました。その言葉通り大学に行きました。アニメーション作品を作ったり,バスケットボールで体をきたえたり,いろいろなことに挑戦ちょうせんしました。そして,大学卒業後の就職しゅうしょく先を考えたとき,尊敬そんけいする芝山しばやまつとむさんがいる会社で働きたいと,現在げんざいつとめる会社を選びました。芝山しばやまさんは,「ドラえもん」や「ちびまる子ちゃん」,「にんたま乱太郎らんたろう」の総監督そうかんとくなどを長くされていた方です。入社すると,制作せいさく部に配属はいぞくされました。アニメーションを直接ちょくせつ作る仕事ではなく,どちらかというとうらささえる仕事でした。制作せいさく部での仕事をしながら,自分の時間を使って絵コンテをき,尊敬そんけいする芝山しばやまさんに見てもらうことができました。あこがれの人に直接ちょくせつ指導しどうしてもらえたことは,とても大きな財産ざいさんです。やがて,テレビで放送されるアニメーションの絵コンテをかせてもらう機会をもらい,徐々じょじょにアニメーション制作せいさく本格ほんかく的な仕事もまかせてもらえるようになりました。その後もいろいろな監督かんとくの下で勉強させてもらい,2015年に初めて監督かんとくまかせてもらう機会きかいました。入社してから8年ぐらいかりました。

リーダーになることが多かった子どものころ

リーダーになることが多かった子どものころ

子どものころから,リーダーになりたがる人間でした。小学校,中学校では毎年学級委員をしていましたし,高校でも生徒会の委員をやりました。また,昔から絵をくのも好きでしたが,友達と外で遊ぶことも多かったですし,小学校から大学まで部活動や趣味しゅみでバスケットボールを続けていました。人前に立ったり,体を動かしたり,行動的な時間をごすことが好きですね。こういう性格せいかくは,今の仕事をする上でもとても役立っています。

決めつけずに全てやってみる

決めつけずに全てやってみる

自分の中で限界げんかいを決めず,今できること全てを大切にしながら挑戦ちょうせんしてみましょう。学校の授業じゅぎょうも,友だちと遊ぶこと,お手伝いも,全てです。アニメーション制作せいさくの仕事は,普通ふつうのことを普通ふつうに考えられることが大事です。たくさんの人と話をしたり,恋愛れんあいをしたりして,人間を学んだ方が良い作品が作れるようになると思います。今していることは必ず将来しょうらい自分のためになると真剣しんけんに取り組み,その中で本当にやりたいものがあれば頑張がんばってみてしいです。学校の宿題をわすれず提出ていしゅつすることだって,将来しょうらいの役に立ちます。知識ちしきが身につきますし,提出ていしゅつ物を決められた期限内きげんないに出す習慣しゅうかんを身につけた大人になれるのですから!

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カレン・クシュマン
高校のときに好きになった本。
名前も持っていなかった孤児の女の子が,自分自身で自分に名前をつけ,村の産婆見習いとして生きていく話。
生きる為に働き,やがて自分が何者かということを見つけ出す。
自分がこれから先どう進路を決めていこうか悩んでいたときにこの本に出会い,主人公の姿に感銘を受けた。

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どんな職場?
取材・原稿作成:株式会社ユニバーサルデザイン総合研究所/東京書籍株式会社