仕事人

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三重県に関連のある仕事人
1979年 生まれ 出身地 三重県
しょうひんかいはつ商品開発
たに 匠平しょうへい
子供の頃の夢: 発明家
クラブ活動(中学校): バスケットボール部
仕事内容
水処理関連の作業機器の商品開発
自己紹介
親しみやすい人と思われるのか、よく人に声をかけられる。図画工作が子どものころから大好きで得意。
出身大学・専門学校
愛知大学 法学部/名古屋デザイナー学院 プロダクトデザイン科

※このページに書いてある内容は取材日(2015年04月22日)時点のものです

工事の作業に必要な機器を開発

工事の作業に必要な機器を開発

わたし勤務きんむしている東産業あずまさんぎょうは,主に浄化槽じょうかそう設置せっち維持いじ管理を行っている会社で,工事現場げんば担当たんとうしている社員も沢山たくさんいます。わたしの仕事は,工事中に危険きけんだったり,機材の運搬うんぱんが大変だったりする作業場の問題点を見つけ出し,解決かいけつできるような機器を開発することです。開発したものは実際じっさいに社内で使用して,何度もテストをしてから全国に販売はんばいします。商品開発のパターンは二つです。工事現場げんばの作業員から改善かいぜん案を聞いて開発を始める場合と,わたし現場げんばへ行って考えたことを提案ていあんする場合です。実際じっさいに足を運ぶことで,新しい発見をすることもありますので,現場げんばを見たり,沢山たくさんの意見を聞いたりすることは重要ですね。

商品開発のスピードが早い理由

商品開発のスピードが早い理由

商品開発の流れを簡単かんたんに説明しますと,工事現場げんばからの要望や,私自身わたしじしんが気づいた課題点を整理します。次にどのような機器があれば,その課題を解決かいけつできるのか,というアイデアをまとめます。そしてラフスケッチをき,形のイメージを作り,パソコン上でデザインしてみます。社内で承認しょうにんが得られたら,設計図せっけいずを作り,製作せいさく工場に試作機の製造せいぞう依頼いらいするのです。その試作機で,さまざまな実験をします。もちろん,実際じっさいの工事でも試験をしたり,意見を聞いて修正しゅうせいしたりして,完成品となります。早い物では,企画きかくから半年ほどで商品になります。これは,他の会社の開発のスピードからくらべるとかなり早いと思います。これほど早く商品開発ができる理由は,工事現場げんばで働く人たちが社内に沢山たくさんいることで,すぐに試験ができ,意見を聞くことができるからなのです。聞いた意見は,できるだけ早く商品開発へ反映はんえいさせます。

アイデアを出すことは何よりも大変

アイデアを出すことは何よりも大変

何と言っても大変なのは,アイデアを出すことです。ヒントを得るために,本を読んだり,ネットで情報じょうほう収集しゅうしゅうしたり,会社の周囲を散歩しながら考えをまとめたりします。社内で一番アイデアがかぶのは倉庫です。あらゆる機材や道具がならんでいるので,実物の道具を見たりれたりする間に思いつくことは意外に多いのです。社外ではホームセンターが一番です。さまざまな商品が山積みされているわけですが,それらの商品を手に取って思いをめぐらせていると,ふと良いアイデアがひらめくことがあるのです。また,自宅じたくではお風呂ふろに入っているときや,家族で会話している時に思いつくこともあります。ですから,新商品のアイデアになやんでいるときは,ほぼ一日中,つねに物を考えているような状況じょうきょうなんです。

アイデアが形になる

アイデアが形になる

思いついたアイデアを商品にするのは,とても楽しい作業になります。だれもこれまでに思いつかなかった物が,徐々じょじょに商品として形になっていく。その過程かていは何度経験けいけんしてもわくわくするものです。その時の気持ちを例えるならば,今まで全くけなかったパズルが,次々つぎつぎけていく感じにていると思います。そして,完成した商品が,現場げんば実際じっさいに使われ,作業員の方から「便利になった」とか「効率こうりつが良くなった」と言われたときは,とてもうれしいです。さらに,その商品が売れたりすると,この仕事をしていて良かったと心から思います。今後はさらに現場げんばで必要とされるアイデアを出していきたいと思っています。

他人のマネは絶対ぜったいにしない

他人のマネは絶対にしない

わたしが商品開発のアイデアを考えている時,つねに思っていることは,他人のマネは絶対ぜったいにしないということです。少しでもマネをして楽をしようとすると,その人の発想力はどんどん減少げんしょうしていきますし,考える力が身につかなくなります。そのような商品を作ると,他愛もない物しかできません。さらに,そのような仕事のスタイルでは,今までに見たことのない新しい商品というものは絶対ぜったいに生まれません。ですから,わたしは商品のアイデアを考える時は,先入観を持たずに自分を無の状態じょうたいにしてスタートするようにしています。このようにしてゼロからスタートし,これまでだれにも考えつかなかった商品を開発できた時,その商品には特別な存在そんざい価値かちが生まれるのです。

一度は別の仕事をしたが…

一度は別の仕事をしたが…

「手にしょくをつけなさい」とわたしの母は子どものころから話していました。そんな教育方針ほうしんの家庭でしたから,家にはエジソンの伝記があって,それを何度も読みましたね。そのこともあって,小・中学生の時は,何よりも工作が好きな子になりました。しかし,高校に入ると,そういう親のしつけがうるさく感じられるようになり,バイクやロックにはまり,大学も,親の希望であった理系りけいではなく法学部に進んだのです。そして大学を卒業して就職しゅうしょくしたのですが,その仕事が全く面白くなかったのです。そこで思い出したのが子どものころの工作の楽しさでした。それで会社を辞め,デザインの専門せんもん学校に通い始め,ものづくりの仕事を始めるようになったのです。

遊び道具は何でも自作で

遊び道具は何でも自作で

の教育方針ほうしん徹底てっていしたもので,おもちゃやゲーム機などは一切買ってもらえませんでした。簡単かんたんな遊び道具も買ってもらえませんでしたので,ボールがしいと思った時は,紙を丸め,糸でいてボールを作ったり,ゴルフをしてみたいと思った時は,板をけずり,ゴルフのパターを作ったりして庭で遊びました。木のえだから釣り竿つりざおも作りましたね。子どものころは毎日そんな風に遊んでいました。中学に入ると当時流行っていた漫画まんが「スラムダンク」の影響えいきょうで,バスケット部に入り,バスケ中心の生活になりましたが,それでも図工と家庭科だけは,いつも成績せいせきは5でした。

大人の声を素直すなおに聞けるようになろう

大人の声を素直に聞けるようになろう

わたしは,ずっと母が言い続けてきた「手にしょくをつけなさい」という言葉の大切さに大人になってから気がつきました。その経験けいけんから言えるのは,大人の言うことは,まず聞いてみようということです。後になって,「なるほど」と思うことが必ず出てきます。わたしの場合は,子どものころからいろいろな物を手作りしてきましたが,今の仕事で,ラフスケッチをくときや試作品を作るときに,その経験けいけんがとても役に立っているのです。また,工場の機械の見えない部分までも想像そうぞうできてしまうのも,子どものころ経験けいけんからくるものだと思っています。みなさんは,大人の話には耳をかたむけながらも,これから沢山たくさん経験けいけんを積んでください。きっと今の経験けいけん将来しょうらいにつながるはずです。

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取材・原稿作成:株式会社ユニバーサルデザイン総合研究所/東京書籍株式会社/協力:株式会社東産業