仕事人

社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!

東京都に関連のある仕事人
1973年 生まれ 出身地 東京都
小久保こくぼ 佳彦よしひこ
子供の頃の夢: プロ野球選手
クラブ活動(中学校): 野球部
仕事内容
せつを利用するこうれいしゃの方がごしやすい場所にするために、しょくいんが働きやすく、働きがいのあるしょくにする。
自己紹介
仕事を楽しむ気持ち、仕事に対するたんきゅうしんきません。野球とお笑い、楽しいこと、不思議なことが大好きです。休みの日は、必ずせんたくそうをします。家の中がきれいになると、とても気持ちがいいです。たまにプロ野球観戦をしたり、草野球チームの試合に出たりもします。
出身大学・専門学校

※このページに書いてある内容は取材日(2023年03月08日)時点のものです

こうれいしゃの方々に幸せにごしてもらうために

高齢者の方々に幸せに過ごしてもらうために

わたしは、東京都こうとうにあるこうれいしゃふくせつふかがわあいその」のせつちょうつとめています。当せつは、ごたくでの生活がむずかしいこうれいしゃの方がえんを受けて生活する「特別よう老人ホーム」事業のほか、ごたくらすこうれいしゃの方をかいする家族が休めるように、こうれいしゃの方が短期間宿しゅくはくできる「ショートステイ」、こうれいしゃの方が日帰りで利用できる「デイサービス」といった事業を行っています。せつには、利用者の方々のお世話をするかいしょくいんかんしょくいんのほか、生活をサポートする生活相談員、ケアマネジャー(かいえんせんもんいんかいを必要としている人やその家族の相談に乗り、さいてきかいサービスが受けられるように調整する)、リハビリを行うのう訓練どういん、食事のこんだてを考えてていきょうする管理えいよう、そのほかにせいそうよういんしょくいんなど、そうぜい90名ほどのしょくいんが働いています。
特別よう老人ホームには、最大80名のこうれいしゃの方がらしています。これまで、わたしたちかいしょくの主な仕事は、「三大ケア」とばれる、はいせつ・食事・入浴のかいじょ(お手伝い)とされてきました。しかし最近では、そうしたさいていげんの生活をささえることに加え、それ以上に、こうれいしゃの方にさいの生活を楽しく送っていただくために何をすればいいのか、どんなごし方をすれば幸せな気持ちになってもらえるのか、ということをそうぞうし、そしてよりよい生活をていきょうしてこうれいしゃうことが、わたしたちの仕事の大事なポイントになってきています。
わたしの仕事は、利用者の方々へのサービスをていきょうするためにせつうんえいほうしんを決め、じっさいに何をするか計画を立てて、進めていくことです。サービスのげんじょうあくし、課題を見つけてかいぜん方法を考えることや、サービスにたずさわるしょくいんさいようや育成、ひょうが主な仕事です。それから、せつうんえいにはお金がかかるので、お金の出入りの管理も必要です。

しき内部の調整のほか、外部との話し合いやこうしょう

組織内部の調整のほか、外部との話し合いや交渉も

毎朝8時半が、わたしほんてきな始業時間です。当せつは24時間たいせいで、しょくいんにっきんきんぶんたんして働いているため、全員そろっての朝礼は行っていません。その代わりに、毎朝、グループウェア(しき内でコミュニケーションやじょうほう共有などをするためのソフトウェア)を使って、その日の予定やさっきゅうに伝えないといけないことをしょくいん全員に向けて発信しています。その後、かくにんが必要な書類やメールに目を通したり、各部署のミーティングに参加したりします。しょくいんの仕事上のなやみやしょくいんかんのトラブルの相談に乗ることも多いです。
せつえんかつうんえいするためにしき内部の調整をしながら、外部との話し合いやこうしょうを行うのもせつちょうやくわりです。東京都やこうとうせつうんえいに関わるルールをかくにんしたり、同区内のほかのふくせつじょうほうこうかんしたりするのが主なところで、せつうんえいするためのじょきんを東京都などからいただく場合は、そのしんせいや交付、ほうこくに必要な書類も作成しています。
また、近年はコロナじっできていませんが、きんりん住民の方にボランティアとして来ていただき、利用者の方々の話し相手になったり、歌を歌ったり、それぞれのとくなことでサポートしていただいており、ボランティアに来ていただいた方々とお話しするのもわたしの仕事の一つです。

リーダーとしてのけつだんまよいが生じたときは、横のつながりも生かす

リーダーとしての決断に迷いが生じたときは、横のつながりも生かす

せつちょうという仕事は、しょくいんや外部の方々と話し合ったことをもとに、何をするかを最終的に自分一人で決定しなければいけないことがたくさんあります。一人でおもなやんでいるとどくな気持ちになりますし、けいえいに関するプレッシャーや、自分がはんだんしたことが本当に正しいのかという不安を感じることが多いです。
そういうときに助けになるのが、同業せつせつちょうどうしの横のつながりです。ほかのせつでは同じような問題をどのようにかいけつしているのか、どういう考えでせつうんえいしているのかなど、同じような立場の人たちとじょうほうこうかんを行う中で参考になることがたくさんあります。例えば、今、しきないのやりとりで使用しているグループウェアも、5年前に同業せつとの勉強会で知ってどうにゅうを決めたものです。ツールをどうにゅうする前は紙やノートにれんらくこうを書いており、じょうほうがばらばらになってしまってまとめづらいこともありました。でも今は、利用者の方のじょうきょうに関するじょうほう共有や日々のスケジュール管理を一つのグループウェアでまとめて行うことができるので、作業のこうりつがとてもよくなりました。

やりがいを感じるのは、しょくいんの成長に気づいたとき

やりがいを感じるのは、職員の成長に気づいたとき

この仕事のやりがいは、まずは利用者の方やそのご家族から「ありがとう」とたくさんかんしゃされることですが、せつちょうという立場になってからは、しょくいんに対しておほめの言葉をいただいたり、しょくいんの成長に気づいたりしたときにやりがいを強く感じるようになりました。特別よう老人ホームは、利用者の方がさいの生活を送る場所です。中にはにゅうきょしてから数か月でくなる方もいますが、たった数か月でも「さいにここに入れてよかった」という声を聞くと、しょくいんがよくやってくれたと思いますし、かつてはたよりなかったしょくいんが利用者の方やご家族からかんしゃされるようになると、かれらの成長を感じます。
また、最初は目の前の仕事をこなすことが中心だったしょくいんも、ベテランになってくると、自分のことだけでなく、チームやしき全体のことも考えなくてはいけません。しき全体のことに目を向けられるようになってくると、会議の中での発言も変わってきます。それに気づいたときは、「成長したな」と感じてうれしくなります。
また、当せつにはベトナム、スリランカ、ミャンマーなどから来た外国人しょくいんが9名ざいせきしており、しょくいん全体の約1わりめています。母国でかいの勉強ができる十分なかんきょうがないため、日本に来て勉強する人が多く、当せつの外国人しょくいんも日本語学校とふくせんもん学校を卒業してからにゅうしょくしています。日本のかいげんけいけんを積んで母国でかいサービスを始めたい、といった大きなゆめや目標に向けてよくてきな人が本当に多く、とてもげきになっています。

オフィスのかべぱらい、気軽に話しかけられるきょ感を大切に

オフィスの壁を取っ払い、気軽に話しかけられる距離感を大切に

しょくいんたちの成長をあとしして、よりよいせつをつくるためには、自分の考えを伝えたり、しょくいんの考えを聞いたりすることが大切です。だから決して自分からしょくいんに対してコミュニケーションの道をざしてしまわないように、いつもしきしています。
しきの長というと、とびらはさんだしつの向こうにいるイメージがありませんか。当せつも、以前はしょくいんたちが働くしつせつちょう室が完全に分かれていました。わたしせつちょう室のドアをノックして入ることにかべを感じていましたし、気軽にいろいろ聞くことができないことがすごくいやでした。
そのため、自分がせつちょうになってから、そのかべぱらって、しつと合わせて一つの部屋にしたのです。今はしつの中央に自分のデスクを置いて、野球のキャッチャーのようにしょくいんみんなが見える席にすわっています。すると、しょくいんからしつもんがたくさん飛んでくるようになり、自分の仕事が進まないくらい大変になりましたが、気軽に話しかけられるくらいの、このきょ感を大切にしたいと思っています。

ちがう分野からふく業界へ、さまざまなかくを取ってステップアップ

違う分野から福祉業界へ、さまざまな資格を取ってステップアップ

わたしふく業界に入る前、ちがう分野の仕事をしていました。大学卒業後、英会話教室をうんえいする会社に入りましたが、4年ほどったころでそのしょくてん開発)が自分に合わないと思うようになり、一人旅に出て自分のしょうらいを考え直しました。そのときに「そうだ、ふくの仕事がやりたかったんだ」と思い出し、この業界に入ることを決めたのです。もともと人が好きなので、人のためになる仕事をしていきたいという思いがありました。
それからホームヘルパーのかくを取り、かいしょくとしての仕事を始めました。しかし、しばらくしてこしいためてしまい、体力面や生活面で同じ仕事を続けるのがむずかしくなってしまいました。そこで仕事の時間を少し短くし、つうしんせいせんもん学校で勉強して社会ふくしょうがいやかんきょう上の理由でにちじょう生活を送るのがこんなんな人の相談に乗るための国家かく)のかくを取りました。そのかくを生かして生活相談員として働くようになり、さらにかいふく、ケアマネジャーのかくも取って当せつてんしょくしました。
わたしは当初、ざいたくかいたんとうしていましたが、ざいたくよりもせつないでのかいに関わりたいと考えていたため、特別よう老人ホームのたんとううつって、生活相談員やかいしょくしゅにんつとめました。その後、ぜんにんせつちょうが体調不良で長く休んでしまったのがきっかけでせつちょうを代行することになり、そのまま正式にせつちょうしゅうにんしてから5年になります。
ふくの世界は、かくがあればそのぶん、仕事のはばが広がりますし、今はふくけいせんもん学校以外にも、卒業と同時にかいふくなどの受験かくられる高校や大学もあり、かくの取り方のはばも広がってきています。

人をづかうことの大切さを学んだ、ようしょうの体験

人を気遣うことの大切さを学んだ、幼少期の体験

子どものころ、わたしせいと話すにも赤面してしまうような内気な部分と、毎日のように男の子たちといっしょに公園に遊びに行くような活発さとを持っていました。しかし小学4年生のころ、一部の友達からされるということがあって、「人との付き合い方ってむずかしいな」と感じたことがありました。つらかったのですが、そのけいけんから、人にやさしくすること、人をづかうことの大切さを学ぶことができたので、今の自分の人生につながるとてもちょうけいけんだったと思います。
また、わたしは勉強がすごくきらいで、本を読むこともきらいな子どもでした。しかし、ある読書感想文の課題で、大好きな野球をテーマにした『二死満塁(ツーダンフルベース)』という児童書を選んで読んでみると、一日で読み終えられたことがあり、それがきっかけで『ズッコケ三人組』シリーズや、『ぼくらの七日間戦争』に始まる『ぼくら』シリーズなどのシリーズものもちゅうになって読むようになりました。大人になってからも、ふくかくを取るための勉強をしたときにはそのないようがどんどん頭に入ってきました。つまり自分は読書や勉強そのものがきらいだったわけではなくて、読書や勉強のないようきょうがあるかどうかが大切だったのです。こうしたけいけんを通して、自分がきょうを持てるものを見つけて自ら努力すれば、道が開けるということを知りました。

自分が本当にやりたいことやきょうのあることに向き合ってほしい

自分が本当にやりたいことや興味のあることに向き合ってほしい

みなさんに伝えたいのは、自分が本当にやりたいことやきょうのあることに向き合ってほしいということです。ゆめや目標というのは人生を通して変わっていくものですし、一つじゃなくてもいいものです。そのことに気づくことがとても大切なので、自分の心の声をきちんと聞いてほしいと思います。
ふくの仕事は、働く人のたいぐうや仕事かんきょうかいぜんが必要だと言われており、いっぱんてきに大変な仕事というイメージがあります。でもその中で、わたしこうれいしゃふくせつせつちょうとして、みんなが働きやすく、働きがいのある業界にしていくことを目指しています。わたしゆめの1つは、かいしょくを「しょうらいなりたい」と言われる仕事にすることです。人と関わるのが好きで、人のためになりたいという気持ちがある人にはぜひ、ふくの世界を目指してほしいです。みなさん、待っています! 

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多くの人は「幸せになりたい」と思っているでしょう。しかし、幸せになるために何をしたらいいか知っている人は少ないと思います。「幸せってなんだろう?」と悩んだり、疑問に感じたりしたときにこの本を読んでみると、心が少しラクになるかもしれません。

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取材・原稿作成:掛谷 泉(Playce)・東京書籍株式会社/協力:城北信用金庫