仕事人

社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!

愛媛県に関連のある仕事人
1980年 生まれ 出身地 愛媛県
みかんのうかみかん農家
二宮にのみや 新治しんじ
子供の頃の夢: 漁師
クラブ活動(中学校): バスケットボール部
仕事内容
かんきつ類を栽培する
自己紹介
やりたいことしかやれない。人からもそう言われるし、自分自身でもそう思う。得意・不得意がはっきりしている。

※このページに書いてある内容は取材日(2013年12月09日)時点のものです

1年に60万以上のみかんを収穫しゅうかく

1年に60万個以上のみかんを収穫

わたし愛媛えひめ宇和島うわじま市で,かんきつ類の果物を栽培さいばいしています。一番収穫しゅうかく量が多い品種は温州みかんで,他にもぽんかんやブラッドオレンジ,それから「なつみ」とばれる新品種など,合わせて13種類のかんきつ類を育てています。かんきつ類の栽培さいばいにはあたたかい気候と多くの日光が必要ですので,海に面していて,日当たりの良い山の急斜面きゅうしゃめんに畑が作られています。畑の面積は約2.3ヘクタールあり,小学校の25mプールで言えば50面ほどの広さに当たります。ここにおよそ2000本のみかんの木が生えていて,1年の収穫しゅうかく量はおよそ60トン,みかん1を100gとすれば60万です。えだ剪定せんていや農薬の散布さんぷ・実の間引きなどはわたしと父の2人で,収穫しゅうかくの時期には母とアルバイト2人が加わり計5人で農作業をしています。れたみかんの多くは農協に出荷し,農協を通してお客様におとどけしますが,わたし運営うんえいするNino farmニノ ファームのホームページやカタログを通じて,直接ちょくせつ全国のお客様に販売はんばいもしています。

果実の成長に合わせた農作業

果実の成長に合わせた農作業

品種によって多少のちがいはありますが,温州みかんは春先に花をかせ,夏から秋に実が大きくなり,冬に収穫しゅうかくむかえます。わたしたちみかん農家は,こうした果実の成長に合わせて農作業を行います。花がく前の2月ごろには,上向きに生えていて美味しい実がならないえだや,密集みっしゅうしていて農薬がかかりにくいえだなどを切り落とします。4月ごろになると花のつぼみができるので,手でちぎって間引いていきます。みかんの木は放っておくと,実が多くなる年とあまり実がならない年が交互こうごにやってきます。実が多い年につぼみを落とせば,その年にはそこに実がならず,本来実が少ないはずの次の年に実をつけさせることができ,生産量が安定します。5月ごろに花がいたら,スプリンクラーで農薬をかけていきます。また,みかんの味を良くするために,特製とくせい肥料ひりょうとして魚粉をバケツに入れて,歩きながら手でサッサッと木の根にかけてまわります。

いよいよ収穫しゅうかく

いよいよ収穫

夏の一番暑い時期,7月から9月にかけて,育ってきた実を間引きます。きずのあるもの,大きすぎたり小さすぎたりするものなどを,手でちぎっていきます。秋も深まって冬になる11月ころ,実がじゅくしてきたらいよいよ収穫しゅうかくが始まります。収穫しゅうかくの目安は,実がオレンジ色にまっているか,あまさとっぱさがほどよく付いているかです。色は見れば分かりますが,味は実際じっさいに食べてみて確認かくにんします。あまさをはか糖度とうど計という機械も使いますが,自分のした判断はんだんした糖度とうどと,糖度とうど計のあたいがずれることはほとんどありません。収穫しゅうかくをする時は,はさみを使って1つ1つ実をえだからケースにうつしていきます。1ケースに20kg分のみかんがいっぱいになったら,山の急斜面きゅうしゃめんに作られた小型のモノレールでケースをふもとまで運び,ふもとからは車で倉庫に向けてケースを運び出します。この時期は本当にいそがしく,朝の8時に家を出てから,夜の11時まで収穫しゅうかくや選別作業が続きます。

みかんをきれいにならべて箱詰はこづ

みかんをきれいに並べて箱詰め

わたしは,栽培さいばい販売はんばいに関しては全く別の考え方をしています。栽培さいばい,特に春から秋の管理は,長年を通してつちかわれる技術ぎじゅつ経験けいけんたよりになります。わたしはまだまだ経験けいけんが浅いので,自分一人で色々いろいろな問題に答えを出すよりも,親を始め,経験けいけんゆたかな地域ちいき先輩せんぱい方からアドバイスをいただける関係を作ることを大切にしています。一方で販売はんばいに関しては,お客様に少しでも魅力みりょく的にみかんを感じていただけるよう,独自どくじのこだわりを持って取り組んでいます。例えば,みかんの味にはきびしい基準きじゅんもうけていて,たとえお客様から予約注文があったとしても,基準きじゅんに満たない時は出荷しません。他には,デザインにもこだわっていて,カタログやホームページなどを独自どくじのデザインで統一とういつしています。また,お客様がみかんの箱を開けた時にわぁっという気持ちになっていただきたいので,みかんをきれいにならべて箱詰はこづめしたりもしているんですよ。

美味しかったと言っていただける喜びが,次の工夫へ

美味しかったと言って頂ける喜びが,次の工夫へ

農家をしていて,自分が栽培さいばいしたみかんをお客様に美味しいと言っていただけること以上の喜びはありません。カタログやホームページを通じて直接ちょくせつみかんを販売はんばいしたお客様から,「今まで食べた中で一番美味しかった!」というメールやはがきをいただくと,気持ちがり上がって,次の年はこんな工夫をしてみようという意欲いよくいてきます。実はみかんの木の寿命じゅみょうは30~40年と大変長く,例えば肥料ひりょうを変えるにしても,最低10年は同じものを使わないと,厳密げんみつには良し悪しが分からないと言われています。ですから,あれこれ工夫をしても,すぐに結果が目に見えるというわけではありません。それでも,またお客様に美味しかったと言っていただけるよう,良い結果が出るのを信じて工夫を重ねています。

山や海に囲まれて

山や海に囲まれて

わたし宇和島うわじまに生まれ,山や海が目の前にある環境かんきょうでしたから,小学生のころはよく外で遊びました。竹やぶに秘密ひみつ基地きちを作ったり,海に泳ぎに行ったり。通っていた小学校がとても少人数だったので,学年の上下関係なく野球をして遊んだことを覚えています。当時はファミリーコンピュータが流行し,時には家でゲームをして遊ぶこともありましたね。

好きなことにしか取り組めないという気づき

好きなことにしか取り組めないという気づき

宇和島うわじまにある工業高校を卒業後に就職しゅうしょくしたのは,学校から紹介しょうかいされた,エアコンなどの空調設備せつびあつかう会社でした。しかしこの仕事に興味きょうみが持てず,どうやら自分は好きなことにしか取り組めない人間なのだと気づきました。その時に興味きょうみがあったものは洋服で,京都と滋賀しが拠点きょてんを持つアパレルメーカーに転職てんしょく。このメーカーは,小さい会社ながら企画きかくから製造せいぞう販売はんばいまでを自社で行っており,商品を一から考えてお客様にとどける楽しさを知りました。宇和島うわじまもどるきっかけになったのは,祖父そふの死です。いつか生まれ育った地元で,自分で商品を作って販売はんばいしたい。そのように考え出してから,初めて実家のみかん農園に興味きょうみを持ち,後をぐことを決めました。服の仕事でつちかった販売はんばいのノウハウは,今の仕事にも活かされていると思います。

日本のトップレベルで勝負をしよう

日本のトップレベルで勝負をしよう

みなさんには,日本のトップレベルで勝負をする仕事をしてほしいと思います。わたしの住んでいる宇和島うわじまの場合,流行の最先端さいせんたんを追うということでは,どうしても都会にはかないません。しかし,みかんの栽培さいばい販売はんばいちがいます。わたしのみかんのほとんどは関東や関西に出荷され,日本全国の名産地から出荷されてくるみかんと,どちらがより多くのお客様に食べていただけるかという勝負をすることができます。最近は職業しょくぎょうを選ぶさいに安定志向しこうが高まっているように感じますが,住んでいる街の様子や環境かんきょうは一人一人ちがえども,みなさんも何かこうした日本のトップレベルで勝負できる仕事を見つけ,そして結果の出せる人を目指してほしいです。

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取材・原稿作成:愛媛県農林水産部担い手育成係・(c)学校ネット株式会社