仕事人

社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!

神奈川県に関連のある仕事人
1987年 生まれ 出身地 千葉県
町田まちだ 直樹なおき
子供の頃の夢: 小学校教師
クラブ活動(中学校): 剣道部
仕事内容
しんや台風などのけんから市民を守る。
自己紹介
しゅはスポーツ、ピアノ、えいかんしょうです。5〜10さいまでデンマークに住んでいて、17さいのときにドイツにりゅうがくをしました。せいかくは「ゆるやかにじょうしょうこう」だと思います。
出身高校
出身大学・専門学校

※このページに書いてある内容は取材日(2021年12月23日)時点のものです

さまざまな「しょう」から市民を守る仕事

さまざまな「危機事象」から市民を守る仕事

わたしは、神奈川県のあややくしょしょくいんとして、「管理課」というしょで働いています。管理課の仕事は、さまざまな「しょう」から市民の生命や身体、ざいさんを守ることです。「しょう」には、しんや風水害といった自然さいがいやテロなどのほか、かんせんしょうによるたいふくまれます。そして、管理課には、大きく分けると「ぼうさい」「国民」「ぼうはん」という三つの仕事があります。
まず「ぼうさい」の仕事では、さいがいが起こっても市民がこまらないように、いろいろなじゅんをします。水や食べ物、もうなど、必要なものをちくしたり、いざさいがいせまったら、多くの人にじょうほうが伝わるように、ぼうさい無線やメールサービスなどを使ってじょうきょうをお知らせしたりします。じっさいさいがいが起こったとき、なんじょせっするのもわたしたちの仕事です。しんや大雨などの自然さいがいが起こったらどういう行動を取らなければいけないのか、だんからどうそなえておくべきか、など、小学校や中学校に行ってお話をすることもあります。また、2020年からはしんがたコロナウイルスかんせんしょうへのたいさくわたしたちの仕事となっており、各学校やせつかんせんたいさくてきせつかくにんしたり、しょうどくえきはいせっしたりもしています。
次に「国民」とは、りょくこうげきだいテロなどから市民を守るという仕事で、こちらもそういうたいが起こった場合のたいしょほうを考え、じゅんすることがだんの仕事になります。
ぼうはん」は、市民にぼうはんに関するじょうほうをお伝えするのが主な仕事です。近年はとくしゅなどに関することをお伝えすることが多いですね。

「完全フレックスせい」を利用して子育てと仕事を両立

「完全フレックス制」を利用して子育てと仕事を両立

わたしあややくしょが2021年の4月からどうにゅうした「コアタイムなしの完全フレックスせい」を利用してきんしています。フレックスせいとは、一定の期間についてあらかじめ定められた合計労働時間があり、そのはんないであれば、日々の始業・終業こくや働く時間を、働く人が自由に決めることができるというせいのことです。あややくしょの場合は、「必ずいなければいけない時間」である「コアタイム」がないことで、よりじゅうなんな働き方がのうになっています。こうした形の完全フレックスせいどうにゅうしている自治体は全国的にもめずらしく、県内ではあやが初めてのどうにゅうでした。
わたしは、ひょうじゅんきん時間が8時30分しゅっきん、17時退たいきんのところ、7時30分しゅっきん、16時退たいきんという形で、時間をまえだおしにして働いています。子育てと仕事を両立するためです。今、小学校1年生と4さいの子どもを育てており、つまも働いている共働きのじょうたいです。
しゅっきん時間の関係で、子どもたちをいくえんへ送るのはつまたんとうして、わたしは、いくえんへ下の子どもをむかえに行ったり、学校から帰ってきた子どものめんどうを見たり、夕食を作って食べさせたりといった夕方こうの育児をたんとうしています。このせいどうにゅうされるまでは、時短きんという形できん時間を短くし、わたしがおむかえに行っていたのですが、このせいが始まったことで、他の人と同じ長さの時間、働くことができ、かつ子どもたちにもそくただしい生活を送らせることができるようになりました。

それぞれのじょうに合わせた働き方ができるように

それぞれの事情に合わせた働き方ができるように

わたししゅっきん時間を早くするという形でフレックスせいを利用していますが、あやせいは4週間を1単位として自由にきん時間を決めることができるので、たとえば4週間の中でいそがしい週はきん時間を長くし、いそがしくない週にお休みを土日の2日だけでなく1日追加して、週休3日にする、という使い方もできます。お子さんの習い事のそうげいや、家族の通院のいのためにきん時間を調整するという使い方をしている人も多いようです。
わたしの仕事では、いつしょうが起きるかはわかりません。じっさいにこのせいを利用してきんしてみてわかったのですが、他の人がいない朝早い時間にきんすることで、へいちょうしている時間に何かが起こっていた場合にもそなえができ、かいちょうと同時にたいおうをスタートできるというメリットもありました。そのため、しゅうの人からもこの働き方に関しては前向きに受け止めてもらっています。
また、今の働き方をせんたくしていることで、自分の子どもとコミュニケーションを取る時間はしっかり取れている実感があります。子どものちょっとした成長にも気づくことができるのは、今の働き方のおかげですね。

いつ起こるかわからないしょうたいおうする大変さ

いつ起こるかわからない危機事象に対応する大変さ

この仕事で大変なことは、365日24時間、しょうたいおうできるよう気をっていなくてはいけないことです。たとえば、夜中でもけいほうが発表されると、市民にぼうさい無線などでお知らせしなくてはいけないので、しょうじょうきょうが悪化しそうだとあらかじめわかっているときには、しょくたくで待機しなければいけません。また、しんがたコロナウイルスの流行が始まってからは、ワクチンせっしゅだんりや手配といった仕事も加わりました。今はそれぞれのしょたいおうすべきやくわりめいかくになってきたので、だいぶたんってきましたが、やはり流行の最初のころは、いそがしい時期が多かったです。
そんな中でも、やりがいはたくさん感じられます。たとえば先日もきょたくかいのサービスをていきょうしているせつのみなさんに「しんや台風などさいがいが起こったときにはどう行動すればいいか」「何をそなえておくべきか」といった、ぼうさいについてのお話をしてきたのですが、終わった後に「何をすればいいのかわかった」「他の人にも教えてあげようと思った」という言葉をもらいました。なるべくたくさんの人にさいがいについてのしきが共有され、しきが高まれば、じっさいさいがいが起こったときにすくわれる命がえるはずです。ですから、そうした言葉をもらうと、大切な仕事をしているのだなと実感しますね。

地方こういんだからこそできることがある

地方公務員だからこそできることがある

「地方こういんであることのプライド」を大切にしています。「市役所の仕事だから、決められたことしかできないのでは?」と言う人もいますが、わたしは市民に近いところで働く地方こういんだからこそ、できることがあると思っています。
たとえばさいがいたいおうにしても、いっぱんてきに、しんが起こったときは「車でげるのはけん」だと言われています。しゃちゅうはくはプライバシーを守れる反面、エコノミークラスしょうこうぐんなどのけんせいもあります。そのためけたほうがいいというのは2016年の熊本しんこうぼうさいめんではほんてきな考え方になっています。しかし、あやらす市民のほとんどは、だん、自家用車を利用して生活しています。また、しんがたコロナウイルスの流行下では、なんじょでのかんせんかくだいという新たな問題も発生します。そのため、しゃちゅうはくけんせいをきちんとあくした上で、たとえばだんせいストッキングなど、エコノミークラスしょうこうぐんぼうするためのグッズをきちんとじゅんしたり、ぼうするためのしきを身につけたりしておけば、しゃちゅうはくも安全かくのための大事なしゅだんの一つになるはずです。そう考え、市民の方々に正しいしきを伝える取り組みを行っています。こういうことは、じっさいにその場所に住み、生活のじつじょうを知っている立場だからこそできるたいさくではないでしょうか。
さいがいによるがいふせぐために一番大切なのは、「きちんとじゅんをしておくこと」です。そのために、市民のみなさんに身近なわたしたちだからこそ伝えられることは多いのではと思っています。

働く場所を選んだのは、やりがいを感じられる自治体だから

働く場所を選んだのは、やりがいを感じられる自治体だから

子どものころに海外でらしていた時期が長かったこともあり、最初は外交官になりたいと思っていました。外交官になるための試験はむずかしく、残念ながら外交官になるための試験にはごうかくできなかったのですが、その先のせんたくを自分で考えたさい、「物やサービスを売る」よりは「人のらしをささえる」仕事を選びたい、と思い、地方こういんになることを決めました。あやは人口が約8万4千人と、神奈川県内でも小さい市です。ここだったら自分がやりがいを持って働けるのでは、と思ってぼうしてさいようされ、働くことになりました。また、自然ゆたかなデンマークでようしょうごしたけいけんから、自然がゆたかな場所でらしたいという思いもありましたね。

デンマークと日本でごしたようしょうで知った「人のやさしさ」

デンマークと日本で過ごした幼少期で知った「人の優しさ」

親の仕事の関係で、5さいから10さいまでデンマークでらしていました。日本人学校ではなく、げんの子どもが通う学校に通っていたのですが、友達も多く、楽しくごすことができました。勉強も、当時はクラスメイトにデンマーク語を教えてあげることもあったくらいにはできたおくがあります。その後、日本に帰国して小学校に通い出したのですが、こちらでも周りの人たちがとてもやさしく、とつぜんかんきょうが変わったにもかかわらず、あまり苦労をしたおくがないんですね。このときのけいけんから、人間はどんな国の人であってもきちんと話せばわかりあえるし、いやな人もいれば好きだなと思える人もいる、と、そういうふうに思うようになった気がします。
スポーツも勉強もとくなほうでしたが、高校時代は合唱部でピアノばんそうたんとうしていました。最近、子育てが少し落ち着いてきたこともあり、またしゅでピアノをきはじめました。これがじんてきには一番、楽しい時間です。

たくさんの人と話をして、関わり合いながら育ってほしい

たくさんの人と話をして、関わり合いながら育ってほしい

みなさんには、なるべくいろいろな大人の人と話をしてみてほしい、と思います。わたしの場合は父親が高校の教員で、母親はせんぎょうしゅだったので、身近に知っているしょくぎょうはどうしても学校教育に関わる人にかぎられていました。もちろん、自分が選んだ仕事には満足していますし、毎日もじゅうじつしているのですが、わかいうちにもっといろいろなしょくぎょうの、いろいろな人たちと話をしておけばよかったなと思っています。みなさんは部活のOBのせんぱいだったり、お父さんやお母さんの友達だったり、ぜひ、なるべくいろいろな人と話をしてみてください。その中でさまざまなしょくぎょうを知るのもいいのではないかなと思います。
また、中学生くらいになると、何が良くて何が悪いかというはんだんじゅんが、自分の中にそれなりにできてきているのではないかと思います。そのじゅんは、自分のそれまでのけいけんを積み重ねて作り上げたものだとは思いますが、今のじゅんぜったいだとは思わないでほしいです。もしかしたら年月をてさまざまなけいけんをする中で、そのじゅんが変わるしゅんかんおとずれるかもしれません。自分としては「正しいことを教わった」「ちがっていない」と思っていても、それがぜったいじゅんだとは決して思わないで、人の話に耳をかたむけながら、関わり合いの中で成長してほしいなと思います。

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取材・原稿作成:川口 有紀(フリート)・東京書籍株式会社/協力:横浜銀行