※このページに書いてある内容は取材日(2017年08月25日)時点のものです
地域の課題を解決し,次世代を育てるファミリーマートのCSRの仕事
私が働いている株式会社ファミリーマートでは,全国で18,000店規模のコンビニエンスストアを展開しています。ひとつひとつのお店は小さいのですが,お店があるそれぞれの地域でお客さまの期待に応え,愛される店舗を目指しています。ファミリーマートでは,環境問題、高齢社会への対応など地域の社会的な課題を解決すること,家庭や学校と一緒に次世代のこどもたちを育てることも大切な仕事だと考えています。このように企業が担う社会的責任のことを「CSR(“Corporate Social Responsibility”の略称。企業の社会的責任)」といいますが,私はファミリーマートでCSRを担当し,どうしたらファミリーマートが社会に貢献できるかを考える仕事をしています。
例えば,環境に配慮して,お弁当などを包んでいるフィルムを工夫し二酸化炭素の排出量を減らし,地球温暖化の防止に貢献することもそのひとつです。また,高校生が森・海・川の名手や名人を訪ねて聞き書きを行い,その知恵や技,ものの考え方や生き方を学ぶ「聞き書き甲子園」,こどもたちの豊かな感性を育てる「ありがとうの手紙コンテスト」,仕事のやりがいや楽しさを学ぶ「職場体験」など,次世代を育成する活動にも幅広く取り組んでいます。
森を守る活動を支援し,自然の恵みを次世代に
私たちファミリーマートでは,CSR活動の一環として店頭募金「ファミリーマート夢の掛け橋募金」を行い,みなさまからの募金に企業寄付をプラスして,森林を守り,残すことにつながる「緑の募金」,「聞き書き甲子園」や,世界中のこどもたちを支援する「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」,飢餓救済のため食糧支援を行う「国連WFP協会」といった団体への支援をしています。
なかでも,森林を守る活動に関して言うと,これからも私たちが豊かな自然の恵みを受けるためには,日本の森を守っていかなければなりません。ファミリーマートもオリジナルの天然水を販売していますが,これも日本の豊かな自然があってはじめて生まれるものです。環境に関する教育や環境の保全に関する活動を支援することで,次世代まで森林を守ることにつながっていけばと考えています。
CSR活動を通してファミリーマートへの信頼や愛着をお客さまに持っていただければ,会社にとっても価値のあるものになります。ファミリーマートのファンが増えたり,お客さまとの関係がより良いものになるようなCSR活動を目指しています。
信念を持って仕事を進める
CSRの仕事で一番苦労しているのは,結果をはっきり見える数字で示すのが難しいという点です。感覚的なところを理解してもらったり,「思い」を共有していかなければ,社内でも先に進むことができません。CSRの取り組みをやめろという人はいませんが,「そこまでやる必要があるのか?」と思う人もいるので,なぜ取り組むのかをきちんと説明し,理解してもらったうえで進めていかなければなりません。そういう意味で,社内に共感してくれる人を増やすのも,仕事のひとつと言えるかもしれません。地道な努力でお客さまとの信頼関係を作ることで,会社の価値を高めているのだということを,社内では常に伝えています。
CSR活動は,強い信念を持って進めていくことが重要だと思っています。結果が出るまでに何年かかるかはわかりませんが,必ず何かにつながっていきます。社会にとっても,そして会社にとってもプラスになることなのだと思いながら,日々,仕事をしています。
感動的な場面に立ち会うことも
お客さまのほか,社員や活動に関わった人から「ありがとう」と言われたり,「いい活動ですね」と言われた時には,やりがいを感じます。こちらから思いを伝えて,それに対して共感の声が返ってくるのはうれしいですね。この仕事は,他の企業と競争して勝った負けたというものではないので,競合の会社から「そこまでやっているんですね。いいですね,うちでもやりたい」という反応が返ってくることもあります。そういう反応に出会うと,会社の枠を超えて,みんなでみんなのプラスになるようなことをやっているのだと感じます。
たとえば,小学生に「ありがとう」の気持ちを文字や言葉にして伝えてもらう「ありがとうの手紙コンテスト」では,表彰式に私も出席して,受賞者には私が直接,表彰状を渡します。このとき,受賞した小学生だけではなく,いっしょに来ている家族も,手紙の内容を聞いて,涙を流しながら喜んでくれることもあります。こうやって感動の輪が広がる場面を実際に目にすると,やっていてよかったなと思います。
自分の役割について考えることを,サッカーを通じて学んだ
実は私はこどものころ,とても内向的な性格で,あまり人前に出たくありませんでした。にもかかわらず,代表として壇上であいさつをしたり,学芸会では主役をやらされたりといった役回りが多くまわってきたんです。なぜ苦手なのに,やらなくてはいけないのか……。それを考える機会を作ってくれたのが,小中学校のころにやっていたサッカーです。
たとえば小学校のころ,私はレギュラーではなく,いつも後半から出場していました。スタメンの子は左利き・左サイドのフォワードで,きちっとセンタリングを上げてチャンスを作るタイプでした。でも,私は左利きでもないし,小さかったし,キック力もないので,とにかくこぼれ球を拾って点をとっていくことに集中しました。そうやって,試合に出るときに,自分はどういうことを期待され,どういう役割で今ここに送り出されているのだろうと考えるようになったんです。自分の役割について考える習慣がついたんですね。社会に出て組織に属すると,自分の役割について日々考えなければいけないので,これは今にもつながる習慣になっていると言えるかもしれません。
身近なところで誰かの役に立つ仕事
私がファミリーマートに入社すると決めたのには,2つの理由がありました。ひとつは,コンビニエンスストア業界がこれから成長していくのではないかなと感じたことです。私が入社した当時はファミリーマートもまだ2,000店舗ぐらいで,規模も小さかったのですが,地域にとっても,お客さまにとっても,もっと身近な存在になるのではと感じていました。2つめは,採用を担当していた人がとても魅力的で,いっしょに働きたいと思ったことです。
入社して30年ほど経ちますが,想像したよりもはるかに会社が成長し,店舗も全国で18,000店規模となり,社員も6,000名を超えています。あのころ,「身近なところで誰かの役に立つ仕事だ」と感じたことに間違いはなかったなと思っています。
やりたいことを仕事に。熱意こそ仕事の原動力になる
自分が好きなことややりたいことが明確にあれば,その道を進んでほしいと思います。できればそれを仕事にするようにがんばってほしいです。とはいえ,就職をする時,そこまで思っている人はなかなかいないでしょうから,仕事内容や働いている人に対して,何か共感できるものがあるか,興味があるか,尊敬できる人がいるか,自分なりにこだわりを持って選ぶといいと思います。
私は入社後,とくに自分から希望したわけでもなく人事部に配属されたのですが,自分なりにこだわりややりがい見つけることができて,20年以上,人事の仕事を続けられました。5年ほど前に現在の部署に異動したのですが,CSRは人事同様,強い思いや信念を持っていないとできない仕事です。これから1人でも2人でも,ファミリーマートでCSRがやりたいという人が入社してくれたら,これほどうれしいことはないですね。