ウェブサイトのコンテンツ制作のかたわら、副業でフリーの編集やPRの仕事も
私は今、一つの会社に所属しながら、他の会社から仕事を請け負う副業もしています。本業で所属している会社は、訪問数やユーザー層などのウェブサイトのデータを解析するサービスを提供している会社で、私は会社のサービスを紹介するウェブメディアで記事の企画や編集、マーケティングなどを行っています。記事で「どんなメッセージを誰にどのように伝えるか」を設定し、ライターやカメラマンから上がってきた原稿や写真をチェックし、記事を作っていくというのが主な仕事です。また「お客さまに自分たちのサービスをよりよくわかってもらうためには、どのようにウェブメディアを改善すればいいか」ということを考えて、ウェブメディアのリニューアルの提案をすることもあります。
副業としては、あるサービスをより多くの人に知ってもらうために、広報やPR担当として働いています。たとえば、今住んでいる武蔵新城という街を紹介するウェブメディアの運営をしたり、コワーキングスペースを宣伝するための記事やチラシを作ったりしています。
「サービスや商品の価値を伝える」ことのお手伝い
いろいろな会社で働いていますが、自分の仕事はすべて「編集」だと思っています。会社がお金を稼ぐために「サービスや商品の価値を他者に伝える」ことは必要ですが、届けたい人に伝わるように言語化するのが難しいんです。そこをお手伝いするのが主な仕事になっています。
基本的に、平日の日中は本業の仕事をしていることが多いです。チームでの会議は週に2〜3回、部署全体の会議は週に1回ほど。また、記事を作るためのインタビューをしに、週に1度くらい取材先に出向くこともあります。それ以外の時間は、原稿をチェックしたり、ライターの方に指示を出したり、という作業がメインになります。もともとリモートワークは認められている会社でしたが、新型コロナウイルスの流行が始まったこともあり、最近では主にリモートで業務をしています。
本業の業務時間外に、毎日1時間くらい副業の業務をしています。本業の会社は、自分の仕事をきちんとこなしていれば問題ないので、うまく時間を調整しながら両立させています。
複数の仕事と生活のバランスを保つことも大切
仕事で難しいのは、記事を作る仕事には「正解」がないところです。だからこそ、どこまで完成度を高め、ゴールをどこにするか、それを見極めるのが難しいです。それを自分の中できちんと決めないと、終わらずにいつまでも時間をかけてしまうことになりますし、ライターさんへの指示出しも曖昧になってしまいます。特に私の作る記事は「記事自体が直接お金を稼ぐ」ようなものではなく、会社のサービスの紹介だったり、ブランドイメージを上げたりするためのものなので、「目的をどうするか」を定めることが大切ですね。
ライターの方に「伝えたい情報」を適切に伝えることも重要なのですが、これも難しいところです。きちんと伝わっていなかった場合、上がってくる原稿が、期待したものになっていないことがあります。そういうときは、「私はこういうつもりで言っているんだけど、相手にはそれが伝わっていなかった」ということが起きていることが多いですね。
また、複数の仕事をしているので「休む時間を確保すること」も大事です。状況によっては土日にも仕事をしているため、「大変そうだね」と言われることもありますが、本業も副業もどちらも好きなことなので、複数の仕事を調整して、並行してやっていくことに関しては、向いているのだと思います。
自分の作った記事の反響が実感できるとうれしい
自分の作った記事の成果を、何らかの形で実感できたときはうれしいですね。記事が新しい受注につながったりすれば、もちろんうれしいですし、SNSで拡散されていたり、自分が取材した方が記事が出たことで喜んでくださったりしていると、大きな喜びを感じます。
加えて、同じくらい、「まわりの人たちとのコミュニケーションに齟齬がなく、スムーズに記事が作れたとき」もうれしいです。たとえばライターさんが、私が言ったことをきちんと理解してくれて、直す必要がない原稿が上がってきたとき。また、最初から最後まで通しで読んでみて、本当にスムーズに読める記事ができ上がったとき。そんなときはテンションが上がりますね。
本業の勤務先はITを専門にしている会社なので、そこで働いていると、「ITに詳しくない人、知識がない人にどうやったら伝えられるか」という視点をつい忘れてしまいがちです。でも副業でいろいろな人と関わっていることで、本業だけでは気づけない視点や感覚に気づくことができます。これは大きなメリットだと思っていますし、自分が活動する「場」をいくつか持つことで、自分のやっていることを客観的に見られたり、視点を切り替えたりすることができます。これは、自分が常に副業を続けたいなと思う、大きな理由の一つです。
きちんと「伝わる」記事が作れているか、まわりの人が楽しめているか
仕事をするうえでは、紹介するサービスや人の「魅力」や「価値」を、きちんと伝わる形の言葉にすることを心がけています。同じような意味を持っている言葉はいくつかあるので、それを表現するときに、果たしてその言葉が一番合っているのか、しっくりくる言葉を選ぶことができているだろうか、というのは常に気をつけていますね。いい記事を作るためには、論理的であるかや、文章の中で出てきた「疑問」に対する「答え」がきちんと明示されているか、のほか、「正しいのか」という正確性も求められます。また、インタビューのときには、なるべく相手の「思っているけど言葉にできていないこと」を引き出す、ということを大切にしています。
また、まわりの人が楽しく仕事ができているかも私にとっては重要ですね。私はチームで仕事をすること自体が好きなので、なるべくチームが円滑に回るよう、まわりの人の気持ちをくんで動けているか、チーム内でコミュニケーションが取れているか、というのは常に意識しています。
「何かを発信する」ことを仕事にしたいと思うように
もともと「何かを文章で表現することや発信すること」は好きで、中学生のころからずっとブログなど何らかの形で発信することを続けていました。ただ、そういったことを仕事にするのは難しいのではないかと思っていたので、大学を卒業して最初に就いたのは、企業の社内コミュニケーションを目的としたイベントの企画や運営を行う仕事でした。次にリノベーション物件の仲介サイトを運営している企業に入り、念願だった、文章や発信に関わる仕事ができるようになりました。2019年に現在の会社に移り、最初の1年は「直接お客さまと接する仕事も経験しておきたい」と思い、営業の仕事をしました。その後、異動して現在のウェブメディアの記事を作る仕事をするようになりました。
社会人になってから、友人のつながりなどでPRやウェブメディアの仕事などは常に行っていました。さらに、今では住んでいる武蔵新城の魅力を発信する仕事をしています。そもそも武蔵新城には、知人に大家さんを紹介されて2018年から住み始めました。便利で住みやすく、とてもいい場所なので、もっと街の魅力をみんなに知ってほしいな……と思っていたところ、大家さんともっとウェブメディアで発信していこうという話になり、現在のような仕事になりました。そのあと、新たにオープンすることになったコワーキングスペースのPR担当としても働くことになりました。
子ども時代の経験から、「場」をつくることの楽しさを知った
小学校のときは英語やピアノ、ペン習字やテニスなど、習い事をたくさんしていました。また、学校の友人と外で遊ぶのも好きでした。中学校のときからはブログを書いていたので、それは今の仕事につながっているのかなと思います。
また、自分が今やってきたことを分析してみると、誰かが誰かと出会い、何かが生まれていくような「場」をつくることが好きなのかな、と思います。大学を卒業してから就いたイベントの仕事や、コワーキングスペース、街づくりに関する仕事はそういう方向ですね。それにつながる子どものときの経験としては、小学校4年生から6年生まで英会話教室に通っていて、そこでは先生の準備を手伝ったり、他のレッスンのサポートをしたりという経験をして、それがとても楽しかったんですね。それが「場」をつくる原体験になっているのかもしれません。
「なりたいもの」がなかなか見つからなくても大丈夫!
「やりたいこと」や「なりたいもの」は、なかなか見つからなくてもいいと思います。私も前からやっていたことが偶然つながって、今の仕事や働き方をするようになっていますが、もともと今のようになりたいと思ってなったわけではありません。
「やりたいこと」がはっきりあってもなくても、いろいろな人と会い、さまざまな経験をすることはしておいたほうがいいと思います。それらの経験を通して、自分の得意不得意や好き嫌いがわかると、徐々に自分にフィットするものがわかってくると思います。「特に意識していなくても、実はさりげなくできていること」というのが、誰にも何かしらあると思うので、まずは自分自身のことを考えてみて、そういうものを見つけてみてください。「自分が無理せずできること」を仕事にするというのも、とてもいいことだと思いますよ。