「良い木」が育つ「山づくり」をする
苗木を育て,広い山々で木の成長を管理する
長年,受け継がれてきた知恵と,最新の技術を組み合わせて
山の中の作業は,自然を相手ということもあり,体力をつかうこともあります。大変なのは,太陽が照りつける中で,黙々と下草を刈る作業ですね。ほかにも広い山の中を歩いて回るなど,林業では人の力に頼る作業がまだまだ多くあります。 しかし,最近は,ドローンを使って上空から山の様子をチェックしたり,苗木をまとめて大型ドローンで山の上まで運んだり,新しい技術で効率的に山を管理できるようになっています。 もちろん,ずっと昔から受け継がれてきた森林づくりのノウハウ,現場で木を直接見守ってきた人たちの経験も大切です。人の知恵と作業に,最新の技術を組み合わせて,良い木が育つ,価値のある森林づくりにチャレンジしたいですね。
現場で学んだことが,今の自分の財産
わたしはもともと自然が大好きな子どもでした。自然に囲まれたのどかな地域で育ったので,毎日,ザリガニ釣りなどして遊んでいましたね。大学に進学するときも,自然に関わる仕事ができるようにと,林業を学ぶことに。大学では,山の管理の基本を教室で学んだり,山で測量などを体験したりする研修授業などもありました。 大学での学びが活かせる職場として,現在の会社に就職。念願の林業の仕事でしたが,入社してからは,毎日,現場で実践的なことを学べることがとても楽しかったですね。 特に現場で作業する人たちからは,多くのことを学びました。例えば,成長の途中で,手を抜いてしまった森林と,きちんと手入れした森林では,木の育ち具合が明らかに違います。その原因がどこにあるのかなど,長年森林を見てきた人だから分かることを,直接教えてもらえた経験が,今の自分にとって大きな財産になっています。
「山の一生」をデザインする
仕事で一番やりがいを感じているのは,「山の一生をデザインできる」ということですね。ずっと先の将来を考えて,そのためにいつ,何をするか,今,できることは何かを考える,そこにやりがいを感じています。 山は,その土地や場所の条件で,全く違っています。同じように手を入れていても,土地が良ければ「良い木」が育つし,土地に力がないとどんなに世話をしても「良い木」は育ちにくい。 山の条件を過去のデータや今の様子から見極めて,「この先,良い木が育つ山として残していくために必要なことは?」と考えながら,毎日,働いています。木は,成長して伐るまでに50年や100年以上かかることもあります。そのようなときは,未来の担当者に自分の夢を託す気持ちです。 林業は,とても長い時間をかけて取り組む仕事です。今やっていることの結果は,100年後にならないと分からないこともあります。これまでと同じやり方をずっと続けていくだけで,100年先まで続く保証もありません。 ですから,今の時代の林業の担い手として,新しいことにどんどん挑戦していきたいと思っています。それが,この先100年後も,安心して木材を使い続けられることにつながるのだと思っています。