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神奈川県に関連のある仕事人
1985年 生まれ 出身地 鳥取県
小林こばやし たいら
子供の頃の夢: 柔道の先生
クラブ活動(中学校): 柔道部
仕事内容
日本のミライをつくる新たなしんかんせん「リニア中央しんかんせん」のけんせつを進める。
自己紹介
休みの土曜日は家族と外出し、子どもたちといっしょじゃまわっています。子どもたちがひるしているときには、つまいっしょにいろいろなグルメを楽しんでいます。日曜日は家で本を読んだり、勉強したりしてごしています。
出身大学・専門学校

※このページに書いてある内容は取材日(2023年06月19日)時点のものです

いき住民の方々が安心できる、リニア中央しんかんせんけんせつげんをつくる

地域住民の方々が安心できる、リニア中央新幹線の建設現場をつくる

わたしは、JR東海の土木たんとうとして、東京――大阪間に開通予定のリニア中央しんかんせんの中間駅、神奈川県駅(しょう。以下同じ)のけんせつ工事をたんとうしています。神奈川県駅は、神奈川県相模さがみはらけんせつ中であり、この駅が完成すれば、神奈川エリアから東京・・大阪といった3大都市けんへのアクセスやこくさい空港等へのどうやくてきに便利になります。また、神奈川県駅のできるいきでは、リニア開業に連動して、今後、駅周辺の道路せいや新たな商業せつけんせつなどのまちづくりが計画され、駅のけんせつによるいきはってんが期待されています。
神奈川県駅の工事げんは、多くの人がう橋本駅の目の前に位置しており、すぐ近くにはじゅうたくや商業せつ、学校があります。だいけんせつ工事となり、いき住民の方々にはご不便をおかけするため、工事のないようていねいに説明し、かいしていただくことがとても重要です。わたしは、いき住民の方々にリニア中央しんかんせんけんせつ工事に対して安心感を持っていただき、けんせつげんに親しみを感じてもらうことを目標に、いきとのさまざまなれんけいに取り組んでいます。

住民さんがたのイベントで、けんせつ工事について見て知ってもらう

住民参加型のイベントで、建設工事について見て知ってもらう

つうじょう、工事げんではいき住民の安全かくかんきょうぜんを目的とし、げんの周りをフェンスでかこっています。神奈川県駅の工事げんも高さ3メートルのフェンスでかこっており、外からげんの中の様子を見ることはできません。そのため、いき住民の方々からは「フェンスの中でどんな工事をやっているか分からず心配」というご意見がせられていました。また近年、国内外では気候変動にともなだいさいがいや工事のが多発しており、地下につくる神奈川県駅のけんせつにおいてもだいくっさく工事に対する心配の声が高まっていました。そこでわたしたちは、どうやったらいき住民の方々に工事の安全・安心の取り組みをかいしていただけるかを考え、新たにじょうほう発信の場をつくりました。
その一つが、JR東海の社員とちょくせつ話したり、しつもんをしたりすることのできるスペース「さがみはらリニアブース」です。2022年1月、じゅうたくの一角にかいせつしたこのブースでは、リニア事業ぜんぱんの説明をはじめ、工事の進め方に関するパネル説明や、リニア中央しんかんせんの車両やトンネルのくっさくに使うシールドマシンのけい、お子さま向けのリニアクイズなどをてんしており、いき住民の方々が気軽にれる場所にすることを大切にしています。これまでに1,000名以上の方に来場いただきました。
また2022年の10月には、工事のないようや安全への取組、ばんあんていせいについてかいを深めていただくために、「さがみはらリニアビジョン」という住民さんがたおおがたイベントを工事げんの中で行いました。来場者の方々には、だいけいしゃが急なくっさくしゃめんへのプロジェクションマッピングでリニア中央しんかんせんのイメージえいぞうを楽しんでいただいたり、神奈川県駅工事でくっさくした土をってできた土の山の上を歩いていただいたりしました。工事げんいき住民の方に開放するイベントはこれが初めてでしたが、4日間のかいさいで約2,000名の方に来ていただき、「開通が楽しみ」といった前向きな声もたくさんいただくことができて良かったです。

どうすればいきへのたんを小さくできるか考える

どうすれば地域への負担を小さくできるか考える

だいで長期にわたるけんせつ工事を進めるためには、周辺いきへのをいかに小さくするかということも考えなくてはいけません。地下にできる神奈川県駅の工事では、地下をくっさくした後、駅のこうぞうぶつをつくり、その後、土でもどすというこうていをたどります。つうじょうくっさくした土はダンプカーで場外に運び出しますが、ぼうだいな数のダンプカーがげん周辺を走れば、いきの方や車の通行のさまたげとなり、かんきょうをかけることになります。わたしたちはこの問題をかいけつするため、神奈川県の協力のもとかくできたこの工事げんの広大なスペースを利用して、神奈川県駅工事でくっさくした土の一部を場内にかりきし、そのかりきした土を駅こうぞうぶつこうちく後のもどしに使用することとしました。これにより、場外に運び出す土の量が大きくったため、場外を走るダンプカーの台数がおおはばり、いきへのていげんにつなげることができました。
一方で、工事げん内にかりきした土はげんの外からも見える高さまで積み上がります。「さがみはらリニアビジョン」では、じっさいいき住民の方々にかりきした土の上を歩いていただき、そのあんていせいについてかいしていただくことで、場内にくっさくした土をかりきすることに対するいきの心配の声のかいしょうにつなげることができたと考えています。げんざい(2023年6月時点)、このかりき場は「さがみはらリニアひろば」としていっぱんの方に開放しており、ここからは、今しか見られない工事げんの様子を一望することができます。今後も引き続き、いきとのれんけいを高め、積極的なじょうほう発信を行っていきたいと考えています。

新しいじょうほう発信の取り組みでた、たしかな手ごたえ

新しい情報発信の取り組みで得た、たしかな手ごたえ

わたしがリニア中央しんかんせんのプロジェクトに参加してから約10年がちます。工事が始まる前には、けんせつ予定地の土地のけんを持つ方々に土地をおゆずりいただけないかお願いし、いき住民の方々や自治体に向けては工事計画についての説明会をたびたび行ってきました。そして、工事が始まった後にもいき住民の方々にかいを深めていただく場をつくりたいと考え、「さがみはらリニアブース」や「さがみはらリニアビジョン」という新たなじょうほう発信の取り組みをかくしました。こうした取り組みにより、いき住民の方々からリニア事業や工事に対する前向きな声やおうえんをいただくことができ、事業者として積極的な姿せいじょうほう発信することの大切さを感じました。またこれが一つのきっかけとなって、リニア中央しんかんせんのほかの工事区間でもじょうほう発信の場がかいせつされることになり、良いてんかいにつなげることができてうれしく思います。
リニア中央しんかんせんのプロジェクトは、世界でも前例のないプロジェクトであるため、多くのこんなんや課題がありますが、ノウハウがないぶん、自分たちで新しい方法を切り開いていけるのはとてもやりがいがあります。そしてこれら一つ一つの取り組みを通して、プロジェクトを前進させられたときには、この上ないよろこびを感じます。
また、2さいになるわたし息子むすこが鉄道好きなので、父親として子どもがきょうを持っているものを仕事にできていることはとても幸せなことと感じますし、大変なことがあってもがんることができていますね。

一人でできないからこそ「かかえこまない」ことが大切

一人でできないからこそ「抱えこまない」ことが大切

わたしが仕事で大切にしているのは、「自分一人でかかえこまない」ということです。一人ではかいけつできないことがたくさんあるので、分からないことやまようことがあれば、ほかの人にすぐに聞きに行ったり、打ち合わせの場をつくったりして、なるべく人をきこんでいくことをしきしています。特にリニア中央しんかんせんのプロジェクトは、けんせつ工事を進めるこうがいしゃをはじめ、自治体やいきのインフラぎょうなど、多くの方の協力にささえられています。文化のことなるしきや人が集まれば、意見がぶつかることも多々ありますが、リニア中央しんかんせんじつげんさせるという目的は全員同じなので、どうすれば達成できるのかをみんなでいっしょに考えていくことを大切にしています。
いきに向けたじょうほう発信の取り組みにおいても同じです。駅けんせついちぎょうのプロジェクトとして終わらせるのではなく、いきと一体になって取り組んでいるというしきを持ち、それをいき住民の方々に伝えていくことが大事だと考えています。自治体や地元と協力して行った「さがみはらリニアビジョン」では、そのことを多くの方に伝えられたのではないかと思いますし、今後もこうした取り組みを積極的に行っていくつもりです。

人生をかけてちょうせんしたいと思ったビッグプロジェクト

人生をかけて挑戦したいと思ったビッグプロジェクト

わたしは子どものころから、ものをつくって遊ぶのが好きでした。何かをつくる仕事にきたいと思い、大学ではせっけいや土木のを学び、風が橋にもたらすえいきょうなどを研究しました。卒業後は、大学生活で愛着が生まれた九州でのしゅうしょくも考えましたが、リニア中央しんかんせんというビッグプロジェクトにぜひ関わりたいと思い、JR東海にしゅうしょくすることを決めました。日本にいて、これほどまでにだいな「ものづくり」に長くたずさわれる仕事はなかなかありません。これこそが自分の人生をかけるのある仕事だとかくしんし、入社しました。
入社してから2年ほどは新大阪駅の改良工事をたんとうしました。しんかんせんとなりの線を走る中での作業はせいげんが多くて大変でしたが、工事の安全を守ることやかんきょうはいりょすること、いきれんけいすることといった、けんせつ工事における大事なことを一通り学ぶことができ、今の仕事にも大きく役立っています。

遊びにもスポーツにも本気でいどむ楽しさを学んだ少年時代

遊びにもスポーツにも本気で挑む楽しさを学んだ少年時代

わたしは高校卒業まで、鳥取県よなの山・海・川の大自然にかこまれたかんきょうで育ちました。おさないころはいつも兄弟や近所の友達といっしょに虫とりや魚とりをしたり、海で泳いだり、自然の中で、日々、本気で遊びにぼっとうしていました。小学3年生になると、わたしは当時人気だったサッカー部に入ることを熱望しましたが、母親に地元のじゅうどうじょうに連れていかれ、いつしか練習に通うようになっていました。じゅうどうの練習はきびしくて、最初はいやいや通っていましたが、仲間といっしょに本気でいどむ楽しさやよろこびを感じるようになるうちにだんだんと強くなり、結局、高校3年生まで10年間、続けました。当時のせんぱいや先生にはじゅうどうを通して人生で大事なれいあいさつ、心を強く持つことを教えていただきました。じゅうどうつちかった前向きに取り組むこころがまえは、こんなんにぶつかったさいにも生かされているので、今となっては、じゅうどうじょうに連れていってくれた母親にかんしゃしています。

自分のせいを大切にして、毎日を全力で楽しんでほしい

自分の個性を大切にして、毎日を全力で楽しんでほしい

みなさんの中には、すでにしょうらいゆめに向かって進んでいる人もいれば、不安やなやみでいっぱいの人、ゆめしょうらいについてまだ何も考えられないという人もいると思います。わたしも大人になるまでしょうらいについて考えられないまま、毎日、目の前のことにちゅうごしていました。それでも、げんざい、目の前の仕事に全力で向き合い、大好きなつまと子どもにかこまれた日々をごせているので、ゆめがすぐに見つからなくてもあせる必要は全くないと思います。子どものころの自分にメッセージを残すならば、「だいじょうだ!しょうらいの君はきっと良い仕事と人生のパートナーに出会える。だからもっと毎日を全力で遊んで、部活動や勉強にはげもう!」と言います。そして人とちがう自分のせいを大事にし、思いのままに毎日をごしてほしい、とも伝えたいです。みなさんが大人になるまでにリニア中央しんかんせんいっこくも早く開通できるように、これからも思いきり楽しみながらがんりたいと思います。

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取材・原稿作成:掛谷 泉(Playce)・東京書籍株式会社