仕事人

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神奈川県に関連のある仕事人
1989年 生まれ 出身地 福岡県
松坂まつざか 匠記しょうき
子供の頃の夢: プロ野球選手
クラブ活動(中学校): クラブチーム(硬式野球)
仕事内容
ビールを作るていはいされるモルトかすんださいせい「クラフトビールペーパー」のせいぞうを通して、ブルワリー、せい会社、印刷工場の方々といっしょいきの社会課題をかいけつしていく。
自己紹介
0さい息子むすこがいて、休日は家族で遊びに出かけます。友人とキャッチボールやフットサル、ジョギングもします。夏は、好きな高校野球を地方大会から追いかけ、こうえん球場まで観戦に行くこともあります。大人数よりは、気心の知れた友人数人で遊ぶ方が好きです。
出身大学・専門学校

※このページに書いてある内容は取材日(2023年10月20日)時点のものです

お客さまがやりたいことのじつげんに向けたサポートをする

お客さまがやりたいことの実現に向けたサポートをする

わたしは、かぶしきがいしゃkitafuku(きたふく)という会社の代表とりしまりやくつとめています。2019年にふうで起業し、とりしまりやくつまのほかに、げんざいはインターンシップ生として2人の学生と共にチームを組んで仕事をしています。
みなさんは、「クラフトビールペーパー」というさいせいがあるのを知っていますか?新聞やざっなどをさいようして作られた紙を“さいせい”といいますが、クラフトビールペーパーは、さいせいの原料に、ビールを作った後に出るしぼりかす(モルトかす)をぜて作ったものです。わたしは主にクラフトビールペーパーのせいぞう、開発、はんばいたんとうしています。この事業は、本来はてられるものを活用して、新しくのある商品を生み出す「アップサイクル」というもので、SDGsの目標に沿った取り組みです。kitafukuでは今、この事業に力を入れています。
ほかには、ITじゅつを使った事業もあります。例えば、工場で働く人の体調管理などを目的とした「身に着けるタイプのデバイス(そう)」の開発もその一つです。こちらのぎょうはプロジェクトによってチームへんせいことなり、3人から20人ほどのチームで動いています。
わたしたちは、どんな仕事でも「お客さまのこまりごとをにんさんきゃくかいけつする」という共通したじくをもって取り組んでいます。お客さまがやりたいことをじつげんするためのサポートをすることが、わたしたちの仕事です。

ブルワリー、せい工場、印刷工場と共にせいひんを作る

ブルワリー、製紙工場、印刷工場と共に製品を作る

クラフトビールペーパーのせいぞう・開発では、クラフトビールをせいぞうしているブルワリー(ビールをじょうぞうする場所)、せい工場、印刷会社と大きく関わります。まずブルワリーで、モルトかすかいしゅうします。次にせい工場へモルトかすはこみ、原料にぜてさいせいに加工します。さいせいは、印刷会社でめいやポストカード、ギフトボックスなどのせいひんに形を変えていきます。最終的なせいひんは、ブルワリーがうんえいしているレストラン等で使われるほか、かんきょう問題に関心が高い方々に使ってもらっています。またオンラインショップでもはんばいをしています。
わたしたちの仕事は、平日は朝9時半から始めて、10時半までにチームメンバーと会議をします。会議で仕事のゆうせん順位をかくにんした後、各自でたんとうする仕事先にれんらくをとります。特によくれんらくするのはブルワリーの方です。モルトかすかいしゅうだけでなく、レストランで出すビールのコースターなどにクラフトビールペーパーのせいひんを使ってもらっているからです。ですので、モルトかすかいしゅう時間の約束のほかに、だんからこまりごとを聞いたり、せいひんの感想を聞いたりしています。仕事は大体18時に終わらせますが、ときにはブルワリーをほうもんしてクラフトビールを飲みながら、オーナーにビール業界の課題についてお聞きすることもあります。

課題のほんしつにたどり着くために役立つ考え方

課題の本質にたどり着くために役立つ考え方

わたしたちの取り組みに共感してくれる方から、「自分たちの課題をかいけつしたい」とさまざまな相談を受けることがあります。そうした相談に乗ることも大事な仕事です。中には、「課題はあるのだけど、どうもうまく説明できない」という方もいます。そうした場合、どう課題を整理するのか考えることが一番大変です。
ここで、中学校の数学で習ったいんすうぶんかいの考え方が役に立ちます。なやみやこまりごとを少しずつ、ようぶんかいしていきます。ようぶんかいしていって、かいけつに向けて動けそうなように仕分けていきます。その上で、改めてお客さまと相談します。「この中で一番かいけつしたいのはどれですか?」とか、「この順番でかいけつすると、あなたのこまりごとはかいけつされますか?」というふうに、しつもんを通じてコミュニケーションを取るようにしていきます。そうすることで、こまりごとのほんしつてきな部分をきわめていきます。この方法は、手間も時間もかかるので大変なのですが、わたしたちだからこそできるふうだと思っています。お客さまの相談に対しては、言われたことだけをかいけつして終わりではなく、期待されたないようえるていあんをしないと、満足していただくことはできません。

自分たちで手がけたものが、だれかにとって役に立つうれしさ

自分たちで手がけたものが、誰かにとって役に立つうれしさ

クラフトビールペーパーの仕事をしていて、商品が使われているのを見ると、うれしくなります。先日、本のカバーにける帯に、クラフトビールペーパーを使ってもらえることになりました。仕上がりを見たいと思い、わざわざ、書店にならんでいる様子を10てん以上、見に行きました。それくらいうれしかったです。自分のめいにも、もちろんクラフトビールペーパーを使っています。めいこうかんをした方に、紙の風合いや色味、デザインを気に入っていただき、「同じ紙でめいを作りたい」とらいを受けることもあります。それだけでも十分うれしいのですが、さらにその方が、新しくなっためいを話題に別の方と話している姿すがたを見たときは、心がつ思いでした。
一方、ITを使った仕事では、お客さまの声を聞けるところによろこびを感じます。どちらも、自分たちで手がけたものが「だれかにとって役に立つ」「だれかを笑顔えがおにしている」ところに、とてもやりがいを感じます。

お客さまにはにんさんきゃく姿せいつね

お客さまには二人三脚の姿勢で常に寄り添う

わたしたちの会社では「いきの社会課題をにんさんきゃくかいけつする」ことを大切にし、お客さまと同じ方向を向いて、いっしょに歩んでいく姿せいを大事にしています。お客さまがこまっていることには、とことんいます。ですが、わたしたちが課題のかいけつほうを見つけて、お客さまを引っぱるわけでも、みちびいていくわけでもありません。あくまで、お客さまの課題にってかいけつしていく立場である、というかんけいせいしきしています。
また、さいせいあつかう同業他社とはゆうれつや上下関係のしきを持たないようにして、だんから「うちのせいひんは、あの会社のせいひんよりいいですよ」というひょうげんは使わないようにしています。他社のものには他社のよさがあるからです。そういうことを心がけつつ、お客さまには、自社のクラフトビールペーパーのせいひんのよさや特長を、むねって説明するようにしています。
ほかに大切にしているのは、「小さな約束でも守る」ことです。お客さまや取引先と「今度、食事でもしましょう」と軽く言うことがあります。わたしは、そういう会話も覚えておいて、本当に食事に行くようにしています。小さいことですが自分から積極的に約束を守り、関係をきずいていくことで、しんらいを積み重ねていくようにしています。

エンジニアとしてりょう分野に関わったけいけんから、いき課題を考えるように

エンジニアとして医療分野に関わった経験から、地域課題を考えるように

起業する以前、わたしはエンジニアとして、りょうようの電子カルテを作る仕事をしていました。りょう分野に進んだのは、かんとしていそがしそうに働く友人の話を聞いていたからです。自分がかのじょのために何かできないかと考えたところ、学校で学んだITのしきを生かしてしんりょうこうりつさせたいと思い付いたのです。
電子カルテを作成した後には、しんさつげんにも立ち会いました。そして、病気やけがを負って不安をかかえるかんじゃさんのために、助けになる仕組みをほかにも作りたいと思うようになりました。「病気やけがを未然にふせぐには、どうすればいいのか」「そのためには、健康や生活しゅうかんに関わる正しいしきを伝えることが必要だ」「いきのコミュニティがあったら、みんなで健康を考えるきっかけになるかもしれない」などと思考がふくらみ、最終的には、「いきの課題をかいけつすることをじくにする会社を起こそう」と考えるようになったのです。
クラフトビールペーパーを選んだ理由としては、よこはまには「ビールを通していきげたい」というブルワリーがとても多いことが挙げられます。いきのクラフトビール産業がかかえる課題をかいけつすることが、いき社会のために必ず役立つはずだと考えたのです。

コロナの商店街でふとかんだ、一つのもんから始まったちょうせん

コロナ禍の商店街でふと浮かんだ、一つの疑問から始まった挑戦

クラフトビールペーパーの開発は、小さなもんから始まりました。しんがたコロナウイルスかんせんしょうが流行していた2020年ごろ、多くの人がかんせんぼうのために外出をしゅくしていました。地元のよこはまで、商店街のひっそりした光景を前に、小さなもんがわきました。それは「お店の食べ物は、お客さまが来ないと全部になるのかな?」ということです。さっそく飲食店にたずねてみると、フードロスに加えて、ビールじょうぞう後のモルトかすしょこまっている、というじょうきょうでした。よこはまはクラフトビールの生産がさかんですが、市街地では農業をする人があまりいないので、モルトかすりょうりょうに利用できません。各ブルワリーではひと月に1.5トンから2トンのモルトかすが出ることもありますが、どこのブルワリーもほとんどのモルトかすを産業はいぶつにしていました。わたしたちは、この問題に取り組むことが、いきの課題かいけつにつながると考えました。そこで、紙のおろしがいしゃで働く知人の協力をて、さいせいの原料にモルトかすを使うクラフトビールペーパーの開発を始めました。今では、かんきょう問題に関心の高い国内外のぎょうやブルワリーから、「ほかにもせいひんはできないの?」「サンプルを送ってほしい」など問い合わせがえています。

かえし練習することの大切さ

繰り返し練習することの大切さ

子どものころは野球ばかりしていました。ポジションはショートです。小学生のとき、しをして、し先でいきのクラブチームに入りました。そこで友達ができると、練習のない日も公園で野球をするくらい、野球にのめりむようになりました。
試合中、たまにナイスプレーが生まれます。でも、たまたまできたプレーは何度も同じようにできません。そこでナイスプレーが当たり前になるように、かえし練習をしました。日々の練習はつまらないものが多いですが、本番で生きてきます。
子ども時代に学んだ、かえし練習することの大切さは、今にも生きています。わたしは子どものころから人前で話すのが苦手で、今でもきんちょうします。でもわたしの仕事では、会社について、人前で発表する場面が多くあります。そのため、発表の当日にうまく話したいと思い、大事なプレゼンテーションなどの前には、家で50回くらい練習をします。発表用のりょうを作って、それを家族に見せながら、本番と同じように50回かえします。そのため、つま息子むすこは同じ話ばかり、たくさん聞かされています。でも、練習すると、本番できんちょうしないし、自分の苦手な部分がわかるので、とてもいいですよ。

「自分が思う当たり前」だけが当たり前だと思わない

「自分が思う当たり前」だけが当たり前だと思わない

みなさんには、いろいろなことに目を向けてほしいです。よく「相手の立場になって考えよう」といいますが、わかいみなさんのじょうしきしきだけでは、本当に相手をかいするのはむずかしいこともあります。「自分が思う当たり前」だけが当たり前だと思わないようにして、広く物事をたんきゅうしていってほしいです。
起業をしてみたい人は、最初から「地球のかんきょう問題をかいけつしよう」などと考えてもむずかしいので、ぜひ小さいことからためしてみてください。まずは身近な人のこまっていることを見つけて、何でもいいから自分にできることをためしてみるといいと思います。野球で例えると、とにかく打席に立つことが大事です。ボールが飛んで来たら、まよわずバットをりましょう。どんな当たりになってもいいのです。もし、おくれてファウルになってしまったら「次は少し早いタイミングでり始めてみよう」と考えられます。からりなら「次はボールをちゃんと見るようにしよう」と考えられます。今の自分に何が足りないのかは、ためしてみないとわからないものです。ちょうせんに失敗は付き物なので、失敗をおそれないことが大事です。失敗したら、「次は失敗しないように」と考えてためしてみましょう。これを積み重ねていくと少しずつ大きなてんかいぜんさくを考えられるようになり、それがいつか起業につながっていくと思います。

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私のおすすめ本

スティーブン・R・コヴィー
ものの見方、捉え方が変わり、私の価値観を変えてくれた本です。中でも「自分にとっての当たり前は、ほかの人にとっての当たり前ではない」というところに強い印象を受けました。本は、読むタイミングで感じ方も変わります。この本に限らず、気になる本は年に一度は読み返すようにしています。
水野敬也
ストーリーが面白いです。自己啓発にもなっていて、深く学べる内容になっています。いわゆる成功者と呼ばれる方々が、何を大事にしてきたのかがコミカルに表現されています。

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取材・原稿作成:森 友紀 佐藤 理子(Playce)・東京書籍株式会社/協力:横浜銀行